文献情報
文献番号
200614032A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト肝細胞で置換された肝臓を持つマウスの医薬品開発への利用-非拘束マウスの胆汁採取分析技術の確立-
研究課題名(英字)
-
課題番号
H16-創薬-037
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
吉里 勝利(広島大学大学院理学研究科 生物科学専攻・動物科学講座)
研究分担者(所属機関)
- 堀江 透(㈱フェニックスバイオ)
- 小林 英司(自治医科大学 分子病態治療研究センター 臓器置換研究部)
- 絵野沢 伸(国立成育医療センター研究所 移植・外科研究部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ヒト肝細胞キメラマウスは、マウス肝臓の70%以上がヒト肝細胞で置換されており、置換されたヒト肝細胞は、薬物代謝に関わるヒト型酵素系をドナーと同様のレベルで発現している。医薬候補品の胆汁排泄動態や胆汁中代謝物をキメラマウスで同定出来れば、ヒトにおける薬物動態の予測が可能となるため、キメラマウスを用いた非拘束胆汁排泄試験モデルを確立することを目的とする。
研究方法
本年度は昨年度に引き続き、非拘束胆汁回収装置及び技術の改良を行った。さらにキメラマウスの非拘束胆汁排泄モデルの有用性を示すため、非拘束胆汁回収装置に接続したキメラマウスに2種類の化合物を用いた投与試験を行った。
結果と考察
開発した胆管カニュレーション施術を施したマウスに膵炎の兆候がみられたが、胆嚢カニュレーションで回収した胆汁と成分に変動はなかったため、短期間の胆汁回収には適用可能と思われる。 次に胆汁回収の安定化について装置と維持について検討を行った。装置とマウスの接続にハーネスを導入し、マウスの動きを緩衝するシーベルを吊るアームが振り子のように動く機構を加えたことで負荷が軽減され、さらに自由に動き回れるようになった。また、胆汁回収の維持については、施術には20 g以上のマウスを選定し、2日に1回、体外部のカニューレ交換をすることにより、キメラマウスから2週間以上安定的に胆汁回収をすることが可能となった。
キメラマウスからの胆汁回収が安定的になったため、実際に非拘束状態のキメラマウスに化合物を投与して胆汁を回収し、親化合物および代謝物の分析を行った。ナテグリニドの投与試験では胆汁にヒト特異的な代謝物であるグルクロン酸抱合体が排泄されていることが確認された。また、キメラマウスに化合物を反復投与し、経時的に胆汁を採取することで単回投与時のときよりも大量にヒト特異的代謝物を回収できることが確認された。また、アトルバスタチンを投与した試験ではキメラマウスで投与翌日から7日目までアトルバスタチンが減少することが確認できたことから、ヒトで半減期の長い胆汁代謝物の回収がキメラマウスの非拘束胆汁回収モデルで可能であることがわかった。
キメラマウスからの胆汁回収が安定的になったため、実際に非拘束状態のキメラマウスに化合物を投与して胆汁を回収し、親化合物および代謝物の分析を行った。ナテグリニドの投与試験では胆汁にヒト特異的な代謝物であるグルクロン酸抱合体が排泄されていることが確認された。また、キメラマウスに化合物を反復投与し、経時的に胆汁を採取することで単回投与時のときよりも大量にヒト特異的代謝物を回収できることが確認された。また、アトルバスタチンを投与した試験ではキメラマウスで投与翌日から7日目までアトルバスタチンが減少することが確認できたことから、ヒトで半減期の長い胆汁代謝物の回収がキメラマウスの非拘束胆汁回収モデルで可能であることがわかった。
結論
非拘束胆汁回収装置に接続したキメラマウスへの化合物投与実験により、キメラマウスの非拘束胆汁排泄モデルは生理的条件下に近い状態でヒトの薬物動態を予測できる非常に優れたモデルであると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2007-04-17
更新日
-