文献情報
文献番号
200614026A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイルスRNA結合ペプチドを用いたC型肝炎治療薬の開発
課題番号
H16-創薬-031
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 哲朗(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
- 原田 和雄(進化創薬株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
既存の治療薬とは異なる作用機序を有し、より有効かつ副作用の少ない抗HCV薬が開発されることにより、慢性C型肝炎を制圧し、肝硬変、肝細胞癌の発生を防ぐことが可能となる。本研究では、HCVの複製に必須なウイルスRNA領域に対する、選択性の高い結合ペプチドを創製し、C型肝炎治療薬としての開発を目指す。
研究方法
RNA結合ペプチドのHCV RNA複製阻害活性は、HCVサブジェノミックレプリコン細胞(遺伝子型1b)にペプチドを種々の濃度で添加、または発現プラスミドを導入し2または4日間培養した後、細胞内HCV RNAをリアルタイムRT-PCR法で測定することによって評価した。
結果と考察
(1) HCV-RNA結合ペプチドの抗HCV作用:3’UTR内のstem-loop (SL) 2に対する結合をアルギニンリッチペプチドコンビナトリアルライブラリーから探索し、SL2選択的に結合活性を示す3配列を同定した。これらは配列中の特定の位置に共通したアミノ酸残基を有していることから、標的RNAに特異的に結合する構造的特徴を有することが期待された。これらのペプチドを発現するプラスミドを作製し、レプリコン細胞へ導入したところ、1種類のペプチド#5でHCV RNA複製阻害効果が認められた。この#5ペプチドと同様のアミノ酸組成を持ち配列を入れ替えた変異ペプチドではこのような阻害効果は認められなかった。(2) SL2結合ペプチドの再スクリーニング: SL2結合ペプチド・ドープ・ライブラリーから、よりも高いRNA結合活性を示すペプチドの同定を試み、SL2結合ペプチド#5に比べ有意に結合能の高い複数クローンを同定した。(3) HCV翻訳調節に関与するシスエレメントの解析:HCV翻訳調節に重要な新規RNAエレメントとして、コア遺伝子のA rich領域を同定した。RNA結合ペプチド探索の新たな標的となりうる。
結論
HCV 3’UTR SL2領域と選択的に結合するペプチド3種類が同定され、そのうちの1種類に細胞内でHCV RNA複製を抑制する可能性が示された。ライブラリー探索から、さらに高いRNA結合活性を示す「進化型」SL2結合ペプチドを同定した。
公開日・更新日
公開日
2007-04-12
更新日
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