エンドトキシン認識・刺激伝達機構の解明と医療への応用に関する研究

文献情報

文献番号
200614025A
報告書区分
総括
研究課題名
エンドトキシン認識・刺激伝達機構の解明と医療への応用に関する研究
課題番号
H16-創薬-030
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
西島 正弘(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 田中康仁(国立感染症研究所)
  • 川崎清史(国立感染症研究所)
  • 熊沢義雄(北里大学理学部)
  • 小林芳郎(東邦大学理学部)
  • 明田川純(生化学工業株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
従来のリムルステスト法の問題点を補完する、新しいエンドトキシン検出法を作出するため免疫担当細胞(マクロファージ等)によるエンドトキシン認識・刺激伝達機構の解明とそのエンドトキシン検出法への応用に関する研究を行う。
研究方法
リムルス活性は、リムルス試薬(エンドスペシーES-50M、生化学工業株式会社)を用いて常法に従い測定した。
結果と考察
(1)リピドAは化学構造によってリムルス活性が異なる。化学構造の異なるリピドAが共存した場合、リムルス活性は単独で測定した場合の合算値とは異なった。この現象はリピドAの混合比および反応液のリピドA濃度の影響を受けた。リムルス反応は反応溶液中のリピドAの存在様式、すなわちミセル構造に大きな影響を受けた。(2)Toll like receptor-4はリポ多糖の活性部位リピッドAを認識するがその認識機構の詳細は不明である。リピッドAでマウスマクロファージを刺激した際に産生されるIL-1bの量がリピッドAの分散状態の違いによる影響を受けた。また、リピッドAと同様にToll like receptor-4のリガンドであるオルニチンリピッドでも同様の結果が得られた。このことはリガンドの分散状態がToll like receptor-4によるリガンド認識に大きな影響を与えると事を示している。(3)リポ多糖 (LPS)でマクロファージ刺激する際に抗体でCD14をブロックすると、Smooth型LPS (S-LPS)刺激よるtype I-IFNの産生が阻害された。LPSをliposomeに封入したナノ粒子を用いてマクロファージを刺激するとCD14の有無に関わらずtype I-IFN が産生され、CD14非依存的にMyD88非依存経路が活性化されることが明らかとなった。(4)未熟樹状細胞がアポトーシス細胞を貪食する際に好中球が共存すると未熟樹状細胞上のMHC class IIの発現が低下し、好中球に対するケモカインのうちKC産生が低下した。これらのことより好中球は免疫寛容の成立を補助する作用を持つと推測された。はリピドAの混合比および反応液のリピドA濃度の影響を受けた。
結論
リムルス反応は反応溶液中のリピドAの存在様式、すなわちミセル構造に大きな影響を受ける事が判明した。また、リガンドの分散状態がToll like receptor-4によるリガンド認識に大きな影響を与える事が示された。未熟樹状細胞がアポトーシス細胞を貪食する際に好中球が共存すると未熟樹状細胞上のMHC class IIの発現が低下し、好中球に対するケモカインのうちKC産生が低下することが示された。

公開日・更新日

公開日
2007-04-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200614025B
報告書区分
総合
研究課題名
エンドトキシン認識・刺激伝達機構の解明と医療への応用に関する研究
課題番号
H16-創薬-030
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
西島 正弘(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 田中康仁(国立感染症研究所細胞化学部)
  • 川崎清史(国立感染症研究所)
  • 熊沢義雄(北里大学理学部)
  • 小林芳郎(東邦大学理学部)
  • 明田川純(生化学工業株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
従来のリムルステスト法の問題点を補完する、新しいエンドトキシン検出法を作出するため、免疫担当細胞(マクロファージ等)によるエンドトキシン認識・刺激伝達機構の解明とそのエンドトキシン検出法への応用に関する研究を行う。
研究方法
リムルス活性は、リムルス試薬(エンドスペシーES-50M、生化学工業株式会社)を用いて常法に従い測定した。
結果と考察
(1)リムルス反応は反応溶液中のリピドAの存在様式、すなわちミセル構造に大きな影響を受ける事が示された。(2)リピッドA及びオルニチンリピッドの分散状態がToll like receptor-4によるリガンド認識に大きな影響を与えると事が示された。(3)スフィンゴ糖脂質GSLはTLR4/MD2を介してマクロファージを活性化したが、リムルス活性をもたなかった。フラボノイドは、LPS刺激を受けたマクロファージ細胞膜でのラフト集積を抑制し、シグナル伝達の下流も抑制し、その前投与により、エンドトキシンショックが抑制された。(4)ケルセチン、ルテオリンはLPS刺激によるIkBの消化、Aktのリン酸化、p38のリン酸化を抑制したがPMA刺激によるNFkB活性化は抑制しなかった。またLPS刺激によるラフト集積を抑制した。(5)LPSをliposomeに封入したナノ粒子を用いてマクロファージを刺激するとCD14の有無に関わらずtype I-IFN が産生され、CD14非依存的にMyD88非依存経路が活性化されることが明らかとなった。(6)アポトーシス細胞の貪食に伴って産生されるIL-6は樹状細胞を未熟な状態にとどめるのに部分的に関わることにより、自己抗原に対する応答を未然に防いでいる(7)未熟樹状細胞がアポトーシス細胞を貪食する際に好中球が共存すると未熟樹状細胞上のMHC class IIの発現が低下し、好中球に対するケモカインのうちKC産生が低下した。これらのことより好中球は免疫寛容の成立を補助する作用を持つと推測された。
結論
リムルス反応は反応溶液中のリピドAの存在様式、すなわちミセル構造に大きな影響を受ける事が判明した。また、リガンドの分散状態がToll like receptor-4によるリガンド認識に大きな影響を与える事が示された。未熟樹状細胞がアポトーシス細胞を貪食する際に好中球が共存すると未熟樹状細胞上のMHC class IIの発現が低下し、好中球に対するケモカインのうちKC産生が低下することが示された。

公開日・更新日

公開日
2007-04-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200614025C

成果

専門的・学術的観点からの成果
リムルス反応は反応溶液中のリピドAの存在様式、すなわちミセル構造に大きな影響を受ける事が判明した。また、リガンドの分散状態がToll like receptor-4によるリガンド認識に大きな影響を与える事が示された。未熟樹状細胞がアポトーシス細胞を貪食する際に好中球が共存すると未熟樹状細胞上のMHC class IIの発現が低下し、好中球に対するケモカインのうちKC産生が低下することが示された。
臨床的観点からの成果
特になし。
ガイドライン等の開発
特になし。
その他行政的観点からの成果
特になし。
その他のインパクト
特になし。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
35件
その他論文(和文)
11件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
78件
学会発表(国際学会等)
11件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計14件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
3件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Takimoto, H., D. Wakita, K. Kawaguchi et al.
Potentiation of cytotoxic activity in naïve and tumor-bearing mice by oral administration of hot-water extracts from Agaricus blazei fruiting bodies.
Biol. Pharm. Bull. , 27 (3) , 404-406  (2004)
原著論文2
Kawaguchi, K., S. Kikuchi, R.Hasumuma et al.
Suppression of infection-induced endotoxin shock in mice by a Citrus flavanone naringin.
Planta Med. , 70 , 17-22  (2004)
原著論文3
K. Okemoto, K. Kawasaki, K. Hanada et al.
A potent adjuvant monophosphoryl lipid A triggers various immune responses, but not secretion of IL-1beta or activation of caspase-1.
J. Immunol. , 176 , 1203-1208  (2006)
原著論文4
M. Kobayashi, S. Saitoh, N. Tanimura, K. et al.
Regulatory roles for MD-2 and TLR4 in ligand-induced receptor clustering.
J. Immunol. , 176 , 6211-6218  (2006)
原著論文5
Shibata, T., Nagata, K., and Kobayashi, Y.
A suppressive role of nitric oxide in MIP-2 production by macrophages upon coculturing with apoptotic cells.
J. Leukoc. Biol. , 80 , 744-752  (2006)
原著論文6
Shiratsuchi, Y., Iyoda, T., Tanimoto, N et al.
Infiltrating neutrophils induce allospecific CTL in response to immunization with apoptotic cells via MCP-1 production.
J. Leukoc. Biol. , 81 , 412-420  (2007)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-