受精および初期胚発生における糖鎖の役割解析とその応用に関する研究

文献情報

文献番号
200614021A
報告書区分
総括
研究課題名
受精および初期胚発生における糖鎖の役割解析とその応用に関する研究
課題番号
H16-創薬-023
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
藤本 純一郎(国立成育医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 北島 健(名古屋大学生物機能開発利用研究センター)
  • 木全 弘治(愛知医科大学・分子医科学研究所)
  • 宮戸 健二(国立成育医療センター研究所・生殖医療研究部生殖細胞機能研究室)
  • 安江 博(独立行政法人農業生物資源研究所)
  • 前田 浩(生化学工業株式会社中央研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
受精、初期胚発生ならびに器官形成過程における細胞表面糖鎖ならびにその関連分子が果たす役割を解析し、受精不全(不妊症)や不育症などの障害克服、幹細胞を用いた再生医療に応用可能な基盤情報を整備することを目的とする。
研究方法
抗ヒトEC細胞抗体6E2の反応特異性を生化学的・細胞生物学的に解析した。
ウニ精子ラフト局在フラジェラシアリンの構造解析をホモロジーサーチで行った。
排卵誘発剤投与マウスの卵巣mRNAを用い糖転移酵素・レクチン検出1200遺伝子アレイ解析を行った。
受精膜融合の機序解明のため、CD9やCD81KOマウス等で解析した。
ヒト男子不妊、オスウシ不妊責任遺伝子CDYLの発現パターンをマウスおよびウシ精巣で解析した。
結果と考察
6E2抗体がSSEA-4と反応し、マウス受精卵との反応性が従来の抗体とは異なることが判明した。SSEA-4の機能解析に応用可能な情報となる。
ウニ精子の運動性と関連する新規分子フラジェラシアリンの相同分子は哺乳類には無かったが、糖含有量が多く分子量40-80Kdと不均一の指標ではマウス精子のラフトに局在する糖蛋白の性状に近かった。受精機能に関連する新規分子として注目できる。
マウス排卵誘発剤投与後の卵巣で発現変化する遺伝子約270個を同定した。卵成熟に係る分子同定へのアプローチとして有望である。
受精膜融合に必須のCD9のC末端に結合する蛋白質を同定するとともに近縁分子CD81もCD9とは異なるステップで膜融合に作用することを示した。不妊治療への展開が期待される。
結論
SSEA-4の機能解明への手がかりができた。
受精機構における精子の運動機能、精子と卵の膜融合機序、卵成熟機構に係る重要分子が複数同定された。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200614021B
報告書区分
総合
研究課題名
受精および初期胚発生における糖鎖の役割解析とその応用に関する研究
課題番号
H16-創薬-023
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
藤本 純一郎(国立成育医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 北島 健(名古屋大学生物機能開発利用研究センター)
  • 木全 弘治(愛知医科大学・分子医科学研究所)
  • 宮戸 健二(国立成育医療センター研究所・生殖医療研究部生殖細胞機能研究室)
  • 安江 博(独立行政法人農業生物資源研究所)
  • 前田 浩(生化学工業株式会社中央研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
受精、初期胚発生ならびに器官形成過程における細胞表面糖鎖ならびにその関連分子が果たす役割を解析し、受精不全(不妊症)や不育症などの障害克服、幹細胞を用いた再生医療に応用可能な基盤情報を整備することを目的とする。
研究方法
SSEA-4解析は、Raft.2や6E2抗体とマウスEC細胞やヒトEC細胞との反応特異性等によった。
精子上の硫酸化シアル酸の解析は、生化学的解析等で行った。
SHAP-ヒアルロン酸共有結合複合体形成機構の中で基質の一つである血清中ITIのELISA定量法を確立した。
受精膜融合でのCD9の機能解析を、未受精卵DNA導入、機能分子局在変動追跡、会合分子の同定、CD9可視化卵の作成と観察等を行った。
精巣での発現遺伝子解析の効率化はブタプロタミン遺伝子をモデルとして条件設定し、センス・アンチセンス遺伝子発現を解析した。
結果と考察
F9細胞やヒトNCR-G3ではSSEA-4は糖蛋白としても存在し、蛋白部分がラミニン結合蛋白であることが判明した。6E2抗体がSSEA-4と結合し、従来の抗SSEA-4抗体とは全く異なる反応性を示すことが判明した。SSEA-4の機能を解明する上で重要である。
ウニ精子上で硫酸化シアル酸をもつ新規糖蛋白を同定しフラジェラシアリンと命名。アミノ酸配列では哺乳類相同分子は同定できなかったがラフト局在の構造類似候補分子は見つかった。精子上の受精関連分子として注目できる。
妊娠での卵丘組織細胞外マトッリクスの機能解析を行いSHAP-HA複合体の中心的な役割を解明した。同複合体は受精に関わる分子のひとつと注目された。同複合体のELISA定量測定法を改良し、感度向上に成功した。ヒト不妊の原因の一部となる可能性がある。
受精卵膜融合に必須のCD9の機能にC末端の7アミノ酸が重要であり複数分子と共役することを示した。CD81も膜融合に必須であるがCD9とは作用ステップが異なることを解明した。
精巣でのセンス遺伝子とアンチセンス遺伝子発現を解析できる系をブタで確立しTAS1R3はセンス遺伝子のみ、Prdx2とNcam1ではセンス遺伝子とアンチセンス遺伝子の両者が局在を違えて発現していることが判明した。
結論
受精機構における精子の運動機能、精子と卵の膜融合機序、卵成熟機構に係る重要分子が複数同定された。

公開日・更新日

公開日
2007-04-23
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200614021C

成果

専門的・学術的観点からの成果
受精メカニズムや初期胚発生での糖鎖の発現様式について理解が深まったといえる。
臨床的観点からの成果
基礎研究の成果に留まった。
ガイドライン等の開発
該当なし。
その他行政的観点からの成果
今回の研究の範囲では、行政面への波及効果は得られていない。
その他のインパクト
特になし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
30件
その他論文(和文)
3件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
15件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-