コネキシン遺伝子の癌抑制機能の網羅的解析;癌予防および治療への応用

文献情報

文献番号
200614019A
報告書区分
総括
研究課題名
コネキシン遺伝子の癌抑制機能の網羅的解析;癌予防および治療への応用
課題番号
H16-創薬-021
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
矢野 友啓(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 山崎 洋(関西学院大学 理工学部)
  • 斉藤 豪(札幌医科大学)
  • 朝元 誠人(名古屋市立大学医学部)
  • 浅野 隆司(日本大学 獣医学科)
  • 石橋 直人(興和創薬株式会社)
  • 三浦 大作(食品農医薬品安全性評価センター)
  • 栗下 昭弘(日本アムウエイ株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
12,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Cx(コネキシン)遺伝子の臓器特異的な癌抑制機構を細胞レベルで解析するグループ、Cx遺伝子の癌抑制機構を臨床材料や病態モデルを用いてin vivoで解析するグループ、Cx遺伝子を標的とした癌化学予防・治療法の構築の可能性を探るグループ、Cx遺伝子の発現や機能を指標にした癌化学予防物質や非変異原性発癌物質の鋭敏で特異性の高いスクリーニング法を開発するグループの4グループを構成し、機能的な研究を遂行し、Cx遺伝子の特異的な癌抑制機能を使った臓器別および転移癌に対する化学予防および治療法を構築することを目指す。
研究方法
各Cx遺伝子別の癌抑制作用機序を詳しく解析するために、Cx遺伝子を発現させた各癌細胞株を用いてmicroarray、proteaome等の網羅的解析を行うと同時に、臓器特異的機能的Cx遺伝子ノックアウトラットを使って臓器特異的なCx遺伝子の癌抑制作用の解明を行った。また、新たに樹立したCx遺伝子をターゲットにした癌化学予防物質および非変異原性発癌物質のスクリーニング系を使って、主に癌化学予防物質の網羅的なスクリーニングを行うとともに、スクリーニングされた候補物質の抗癌活性をモデル動物系で確認した。さらに、子宮内膜癌や腎臓癌の細胞培養系や腫瘍移植モデル系を用いたCx26とCx32をターゲットにした癌治療の実用化の可能性を評価した。
結果と考察
本年度はとくにCx32遺伝子の持つ癌抑制作用の解明が進み、新たにCx32がいくつかのhypoxia adapatationに関係する遺伝子の発現を制御することにより、癌の浸潤・転移を抑制することが明らかにされた。また、Cx26およびCx32の癌抑制機能に立脚した治療法が子宮内膜癌および腎臓癌で臨床応用の可能性が高いことが確認された。また、Cx遺伝子の発現・機能を指標にした癌予防および非変異原性発癌物質を迅速かつ的確にスクリーニングする方法により新たな癌予防・治療成分の絞り込みが実現した。特に、大豆由来成分BBIのCx43をターゲットにした癌予防および治療法が実現可能であることが動物モデルを用いて確認された
結論
Cx遺伝子の新たな癌抑制機能が明らかになり、そのCx遺伝子の癌抑制機能に立脚した新たな癌予防・治療法の臨床応用の実現性がいくつかの癌で明確に示された

公開日・更新日

公開日
2007-04-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200614019B
報告書区分
総合
研究課題名
コネキシン遺伝子の癌抑制機能の網羅的解析;癌予防および治療への応用
課題番号
H16-創薬-021
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
矢野 友啓(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 山崎 洋(関西学院大学 理工学部)
  • 斉藤 豪(札幌医科大学)
  • 朝元 誠人(名古屋市立大学医学部)
  • 浅野 隆司(日本大学 獣医学科)
  • 石橋 直人(興和創薬株式会社)
  • 三浦 大作(食品農医薬品安全性評価センター)
  • 栗下 昭弘(日本アムウエイ株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Cx(コネキシン)遺伝子の臓器特異的な癌抑制機構を細胞レベルで解析するグループ、Cx遺伝子の癌抑制機構を臨床材料や病態モデルを用いてin vivoで解析するグループ、Cx遺伝子を標的とした癌化学予防・治療法の構築の可能性を探るグループ、Cx遺伝子の発現や機能を指標にした癌化学予防物質や非変異原性発癌物質の鋭敏で特異性の高いスクリーニング法を開発するグループの4グループを構成し、機能的な研究を遂行し、Cx遺伝子の特異的な癌抑制機能を使った臓器別および転移癌に対する化学予防および治療法を構築することを目指す。
研究方法
各Cx遺伝子およびその各種変異体を発現させた癌細胞株を樹立し、婦人科癌の手術材料、新たに樹立した癌転移マウスモデル、Cx32 dominant-negative mutantを肝臓特異的に発現させたトランスジェニックラットおよび犬乳腺腫瘍発生モデルを用いて、Cx遺伝子の役割を生化学・分子生物学・組織化学的に解析すると同時に、Cx遺伝子を標的とした癌化学予防・治療法の構築の可能性を検討した。また、in vitroでCx遺伝子のGJIC機能を評価するハイスループット法の確立を行うと同時に、多臓器同時発癌モデルを用いてin vivoでのCx遺伝子の機能評価に非変異原性発癌物質を迅速かつ的確にスクリーニングする方法の確立を目指した。
結果と考察
明らかにされてきた各Cx遺伝子の新しい癌抑制機能 (AP26によるCx26の癌抑制機能の制御;Cx32によるSrc活性化抑制)に立脚した新たな癌予防・治療法の構築がいくつかの癌(腎臓癌、子宮内膜癌等)で臨床応用の可能性が高いことが確認された。また、Cx遺伝子の発現・機能を指標にした癌予防および非変異原性発癌物質を迅速かつ的確にスクリーニングする方法が樹立され、そのスクリーニング法を使って新たな癌予防・治療成分の絞り込みが実現した。
結論
Cx遺伝子の新たな癌抑制機能が明らかになり、そのCx遺伝子の癌抑制機能に立脚した新たな癌予防・治療法の臨床応用の実現性がいくつかの癌で明確に示された。また、Cx遺伝子の発現・機能を指標にした癌予防物質および非変異原性発癌物質を迅速かつ正確にスクリーニングする方法論の確立がされ、その有用性が示された。

公開日・更新日

公開日
2007-04-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200614019C

成果

専門的・学術的観点からの成果
各コネキシン(Cx)遺伝子の癌抑制機能解析により、Cx遺伝子の持つ抑制機能の新しい側面が明らかにされ、その機能を利用した癌予防・治療法の試みが行なわれ、 本研究事業の最終目的であるCx遺伝子の癌抑制機能に立脚した新しい癌予防・治療法がいくつかの癌で可能になった。また、Cx遺伝子の発現・機能を指標にした癌予防物質および非変異原性発癌物質を正確にかつ迅速にスクリーニングできる方法が確立され、 この方法により迅速に有望な癌予防成分のスクリーニングが可能になった。
臨床的観点からの成果
Cx遺伝子が発癌プロモーション段階からプログレッション段階(転移も含む)の各癌化段階に抑制的に働き、かつ癌化過程で不活性化されるCx遺伝子の機能を回復させる薬物的な方法論がin vivoで樹立されたこと、さらには現在の抗癌剤治療に対して抵抗性を示す難治性癌にたいして、Cx遺伝子がその抵抗性を軽減する作用が認められたことから、Cx遺伝子の機能に立脚した癌治療の臨床応用の可能性が拡がった。
ガイドライン等の開発
ヒューマンサイエンス振興財団平成16年度ゲノムワーキング会議、2004年9月2日
その他行政的観点からの成果
ヒューマンサイエンス振興財団調査報告書「ゲノム科学と医療ーそのフロンテイアを探るー」(平成17年4月発刊)作成のための資料を提供した。
その他のインパクト
Cx癌抑制機能とその臨床応用の可能性を、第11回ヒューマサイエンスバイオインターフェースー創薬のための知的相互交流ーで紹介し、国際公開シンポジウムInternational conference on physiological and pathological importance of gap junctionsを主催した。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
27件
その他論文(和文)
7件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
45件
学会発表(国際学会等)
18件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計1件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Saito T et al.
Overexpression of estrogen receptor-alpha gene suppresses gap junctional intercellular communication in endometrical carcinoma cells.
Oncogene  (2004)
原著論文2
Asamoto M et al.
Connexin 32 dominant-negative mutant transgenic rats are resistant to hgepatic damage by chemicals
Hepatology  (2004)
原著論文3
Fujimoto E, Yano T et al.
Connexin 32 as a tumor suppressor gene in a metastatic renal cell carcinoma cell line
Oncogene  (2005)
原著論文4
Shirai S, Yano T et al.
Prevention of renal cell carcinoma from hemodialysis patients by regulating epigenetic factors
Kidney International  (2005)
原著論文5
Nagasawa K, Saito T et al.
Possible involvement of gap junctions in the barrier function of tight junctions of brain and lung endothelial cells
J Cell Physiol  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-