文献情報
文献番号
200614010A
報告書区分
総括
研究課題名
成長制御機構の解明と成長障害治療法の開発
課題番号
H16-創薬-011
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
緒方 勤(国立成育医療センター)
研究分担者(所属機関)
- 奥山 虎之(国立成育医療センター )
- 田中 弘之(岡山大学医学部歯学部附属病院小児科)
- 鈴木 徹(日本ケミカルリサーチ株式会社研究センター)
- 引地 一昌(株式会社エスアールエル遺伝子・染色体解析センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 政策創薬総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
成長障害は,一般集団の2.3%に認められる極めて頻度の高い病態である。本研究の目的は、ヒト成長遺伝子SHOX導入マウスの成長解析、胎児期後期・乳児期の成長機序の原因解明、低身長児における包括的遺伝子・染色体異常スクリーニングにより、成長制御機構を解明し、成長障害治療法を開発することである。
研究方法
ヒト成長遺伝子SHOX導入マウスの成長解析:対象は、典型的なLeri-Weill軟骨骨異形成症を有する3家系である。3’領域を主にFISH解析、マイクロサテライト解析、SHOX変異解析、PCR欠失解析を行った。その後、in silico解析で進化上保存されている領域を検出し、ルシフェラーゼ活性解析でエンハンサー領域を同定した。また、SHOXcDNAは全長を合成することで作製した。これを発現ベクターに組み込み、遺伝子導入を行った。
胎児期後期・乳児期の成長機序の原因解明:子宮内発育不全患者72例において、第7染色体母親性ダイソミーとH19-DMRとのメチル化解析を行った。
低身長児における包括的遺伝子・染色体異常スクリーニング:低身長〔-2SD以下〕同胞例が存在する52家系と正常身長者50例である。相関解析は、成長ホルモン受容体プロモーターのrs4314405にたいし行った。
胎児期後期・乳児期の成長機序の原因解明:子宮内発育不全患者72例において、第7染色体母親性ダイソミーとH19-DMRとのメチル化解析を行った。
低身長児における包括的遺伝子・染色体異常スクリーニング:低身長〔-2SD以下〕同胞例が存在する52家系と正常身長者50例である。相関解析は、成長ホルモン受容体プロモーターのrs4314405にたいし行った。
結果と考察
ヒト成長遺伝子SHOX導入マウスの成長解析:SHOXエンハンサーを3’領域の800 bpに限局した。また、現在5ラインのSHOX導入が確認されたマウス系統が確立された。現在、発現量を解析中である。
胎児期後期・乳児期の成長機序の原因解明:シルバーラッセッル症候群の患者52例中3例で第7染色体母親性ダイソミーが、16例でH19-DMRの低メチル化が見出された。臨床症状の解析から、詳細が判明した全例において胎盤形成不全が見出された。
低身長児における包括的遺伝子・染色体異常スクリーニング:rs4314405Gアリル頻度は、正常者14%、低身長患者12%で同等であった。
胎児期後期・乳児期の成長機序の原因解明:シルバーラッセッル症候群の患者52例中3例で第7染色体母親性ダイソミーが、16例でH19-DMRの低メチル化が見出された。臨床症状の解析から、詳細が判明した全例において胎盤形成不全が見出された。
低身長児における包括的遺伝子・染色体異常スクリーニング:rs4314405Gアリル頻度は、正常者14%、低身長患者12%で同等であった。
結論
本年度の成果は、以下のように集約される。ヒト成長遺伝子SHOXの発現調節領域をSHOX 3’領域の800 bpに限局しえた。また、SHOX遺伝子導入マウスを作製しえた。特発性低身長においては、成長ホルモン受容体のプロモーター多型に優位の相関は認められなかった。現在、罹患同胞対を用いて文献に報告された座位を解析中である。子宮内発育不全では、シルバーラッセル症候群52例を含む72例の解析を行い、3例で第7染色体母親性ダイソミーが、16例でH19-DMRの低メチル化が同定された。そして、臨床症状が判明した全例において胎盤低形成が判明した。
公開日・更新日
公開日
2007-04-16
更新日
-