文献情報
文献番号
200606048A
報告書区分
総括
研究課題名
屋内ラドンの肺癌リスク研究の現状評価と課題
課題番号
H18-特別-044
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 元(国立保健医療科学院 生活環境部)
研究分担者(所属機関)
- 杉山 英男(国立保健医療科学院 生活環境部)
- 山口一郎(国立保健医療科学院 生活環境部)
- 緒方 裕光(国立保健医療科学院 研究情報センター)
- 笠置 文善(放射線影響研究所 統計部)
- 藤原 佐枝子(放射線影響研究所 臨床研究部)
- 米原 英典(放射線医学総合研究所 放射線防護研究センター)
- 毛利 一平(労働安全衛生総合研究所 研究企画調整部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
1,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
屋内ラドンが我が国でどの程度の肺癌寄与リスクを示すのかを試算し、もって政策決定に資することを目的とした。
研究方法
屋内ラドンの肺癌リスクおよび屋内ラドン測定に関する代表的な内外の文献を調査し、屋内ラドンの健康影響に関する知見を整理した。さらに、米国のBEIR VI委員会が鉱山労働者のラドン被ばくと肺癌の疫学調査で得られたパラメータを用いて開発し、環境保護庁(EPA)が発展させた屋内ラドンの肺癌リスク推計モデルを援用し、我が国の肺癌リスク寄与リスク推計を行うための調査研究を行った。
結果と考察
過去、全国の屋内ラドン調査は2回行われている。このうち、人口密度や家屋構造の分布を反映し、全国の家屋ラドン濃度の平均を反映した第1回目の屋内ラドン調査結果を本研究では採用した。この調査は、全国5,718家屋の屋内ラドンを測定している。トロンの関与があり、実際の屋内ラドン濃度より10%内外過大評価している可能性のある第1回全国屋内ラドン調査結果ではあるが、97.5%の家屋は67Bq/m3以下、99.5%の家屋は138Bq/m3以下であり、150Bq/m3以上の家屋は、全国で 10万軒あると推定された。今回、米国の屋内ラドン濃度の50%の値(0.0905WLM/y)という0.0905WLM/y当たり(20.27Bq/m3)の我が国の肺癌寄与リスクを試算してみた。0.0905WLM/yというラドン曝露量は、第1回屋内ラドン濃度調査結果の0.0924WLM/yよりは低く、第2回屋内ラドン調査結果の0.0692WLM/yより高い値である。仮想上の曝露量ではあるが、0.0905WLM/yという屋内ラドン曝露による肺癌寄与リスクは、我が国の喫煙男女(禁煙者を含む)で4.4%、非喫煙男女で9.0%と試算された。今回の試算は、全国屋内ラドン濃度平均による推計ではない。しかし、我が国でも肺癌の4%前後が屋内ラドンに起因する可能性を示唆している。
結論
本調査によって、将来、より精度の高い屋内ラドン濃度平均値が求められた場合に、リスクを推計する体制ができた。
公開日・更新日
公開日
2007-05-08
更新日
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