偽造医薬品防止対策を含めた医薬品個人輸入制度の研究

文献情報

文献番号
200606046A
報告書区分
総括
研究課題名
偽造医薬品防止対策を含めた医薬品個人輸入制度の研究
課題番号
H18-特別-046
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
木村 和子(金沢大学大学院自然科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 谷本 剛(同志社女子大学薬学部)
  • 奥村 順子(金沢大学大学院自然科学研究科 )
  • 本間 隆之(金沢大学大学院自然科学研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,510,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
インターネット上の医薬品個人輸入代行サイトでは、未承認薬や処方せん医薬品が取り扱われ、偽造品が送付される事例も表面化している。インターネットによる個人輸入に帯同する保健衛生上の問題を把握し、消費者が適切に医薬品を入手する環境整備を考察する。
研究方法
緊急避妊薬、脳機能改善薬並びに抗うつ薬(先発品及び後発品)各1品目を「個人輸入or 輸入代行」と成分ごとのキーワードを入れ、yahoo 及びgoogle の上位30サイトを同定し発注した。
結果と考察
1.サイトの信頼性
 緊急避妊薬は22サイトで発注し受領。脳機能改善薬は27サイト発注し26サイトで受領。抗うつ薬先発品は24サイト発注し22サイトで受領、抗うつ薬後発品は16サイト発注し15サイトで受領。未承認薬や処方せん医薬品の写真や効能等の記載サイト、発注できないサイト、サイト表示とは異なる包装単位、製造国や銘柄の送付、振込みに反応しないサイト、国内発送サイトがあった。
2.製造者と発送者
緊急避妊薬も脳機能改善薬のうち、64サンプル(87.6%)がタイと香港から発送された。製造業者からの直接送付はなく、流通業者が介在。同じ製造国の同一製品でも取扱業者は複数存在する。
3.処方箋薬の非処方箋販売
当該脳機能改善薬は日本で内服液が処方せん薬で承認され、抗うつ薬は未承認だが同様の選択的セロトニン再取り込み阻害作用の薬は処方せん薬である。個人輸入では、消費者は医師、薬剤師の指導を受けずに、処方せん薬を添付文書や説明書を見て自己判断で服用することになる。
4.添付文書と説明書
添付文書に日本語はなく、製造国や再包装国の言語で記載。日本語説明書が挿入されているものもあるが、内容は発送業者ごとに異なる。添付文書とは違う用法用量、効能効果、注意、副作用が記載されていた。








結論
個人輸入代行によって消費者は処方せん医薬品や未承認薬を海外の流通業者から容易に入手可能である。しかし、輸入代行業のサイトには業態の不透明不安定なもの、表示と違う商品の送付、触法の虞のある行為が認められた。また、添付文書は外国語だけであり、流通業者により挿入される日本語説明書には過ちが頻発した。消費者は個人輸入の保健衛生上の危険性を認識し、安易に手を出さないよう徹底することが必要である。一方、日本向け医薬品の発送業者は香港、タイに集中しており、これらの流通業者の協力を得て保健衛生上の危害の防止を図ることが望まれる。

公開日・更新日

公開日
2015-06-17
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200606046C

成果

専門的・学術的観点からの成果
個人輸入代行によって消費者は処方せん医薬品や未承認薬を海外の流通業者から容易に入手可能である。しかし、輸入代行業のサイトには業態の不透明不安定なもの、表示と違う商品の送付、触法行為が認められた。また、添付文書は外国語だけであり、流通業者により挿入される日本語説明書には過ちが頻発した。消費者は個人輸入のこれらの危険性を認識し、安易に行わうべきではない。一方で、日本向け医薬品の発送業者は香港、タイに集中しており、これらの流通業者の協力を得て保健衛生上の危害の防止を図ることが望まれる。
臨床的観点からの成果
インターネット上の輸入代行業を通じて個人輸入した医薬品は処方せん薬であっても医師、薬剤師の指導を受けずに使用する。消費者は製品の添付文書や説明書から使用方法を学ぶ。しかし、添付文書は製造国や再包装国の言語で記載されている。日本語説明書が添付されていても内容は発送者ごとに異なり、用法用量や効能効果の甚だしい違いは、使用者の健康を脅かす。医師や薬剤師の指導を受けて国内で類似薬を入手するか、海外から取り寄せる場合は必ず専門家に相談の上、信頼できるソースから入手すべきである。
ガイドライン等の開発
医薬品個人輸入対策マニュアル
1. インターネット上の輸入代行業による医薬品個人輸入に帯同する公衆衛生上の問題点を列挙する
2.問題の発生原因、発生場所を特定する
3.公衆衛生上の問題回避の方策を示唆する
その他行政的観点からの成果
厚生労働省ウェブサイト医薬品等の個人輸入に関するページの掲載内容を2007年8月7日に「医薬品の個人輸入における保健衛生上のリスクについての注意喚起を全面に掲載する内容」に改訂するの背景となった。
その他のインパクト
今後学会発表、投稿を行う予定

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-17
更新日
-