違法ドラッグの有害性評価の方法に関する研究

文献情報

文献番号
200606042A
報告書区分
総括
研究課題名
違法ドラッグの有害性評価の方法に関する研究
課題番号
H18-特別-022
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
花尻(木倉) 瑠理(国立医薬品食品衛生研究所 生薬部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
2,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、平成18年に薬事法が改正されたことに伴い新しく導入された指定薬物制度に対応し、指定薬物として緊急に対応すべき薬物及び植物をリスト化し、これらの薬物について有害性情報を収集整理するとともに、得られたデータ等から、物質の有害性の蓋然性について科学的に評価する手法を検討することを目的とする。 
研究方法
化学合成系25化合物、麻薬成分類縁物質を含有する植物、その他違法ドラッグ市場に流通している代表的な13植物について文献調査・収集を行い、薬理作用(有害性)情報を中心に整理し、指定薬物として対応すべき薬物及び植物をリスト化した。また、植物については、流通実態調査(活性成分分析、基原植物鑑別等)を行う必要があるもの、鑑別を行う際に指標成分となりうる化合物等について検討を加えた。
結果と考察
文献情報が得られなかった2化合物を除き、化学合成系23化合物について文献情報をまとめた。すでに麻薬原料植物に指定されている植物以外でN,N-ジメチルトリプタミン類縁物質を含有する植物について調査を行った結果、13植物科65種について存在が明らかとなった。違法ドラッグとして流通している植物で中枢作用を有するものについて文献情報をまとめたところ、Salvia divinorumのみが、平成18年11月現在で植物として規制範囲が明確で、成分的にも指定薬物として指定可能であると判断された。その他、市場に流通しているが文献情報が乏しい植物について検討を行った結果、4植物にアルカロイド成分が含まれ、且つ、麻薬様作用を示すことが明らかとなった
結論
本研究は、指定薬物として規制するための基礎的情報を提供するものであり、国の監視指導行政に直接貢献するものである。平成18年11月に行われた薬事・食品衛生審議会指定薬物部会において、審議参考資料に本研究結果が直接利用されたことは成果のひとつと考えられる。今回は、植物は1種類のみが指定薬物として指定されたが、規制が厳しくなった化学合成系違法ドラッグに代わり、植物系はますます問題化していくことが予想される。植物系違法ドラッグをどのように取り扱っていくかが今後大きな課題になると思われるが、本研究結果はこの課題に対し有用な情報を提供するものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2015-06-17
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
200606042C

成果

専門的・学術的観点からの成果
平成18年に薬事法が改正されたことに伴い新しく導入された指定薬物制度に対応し、問題となる違法ドラッグについて文献調査・収集を行い、薬理作用(有害性)情報を中心に整理し、指定薬物として対応すべき薬物及び植物をリスト化した。また、植物については、流通実態調査(活性成分分析、基原植物鑑別等)を行う必要があるもの、鑑別を行う際に指標成分となりうる化合物を明示した。本研究結果は、違法ドラッグを指定薬物として規制するために必要な基礎的情報を提供するものであり、国の監視指導行政に貢献するものである。
臨床的観点からの成果
本研究は臨床研究ではなく、違法ドラッグの監視指導行政に貢献するために行われている
ガイドライン等の開発
平成18年11月9日に行われた薬事・食品衛生審議会指定薬物部会において、審議用参考資料として本研究結果が直接利用された。特に植物については、違法ドラッグとして流通している植物で中枢作用を有するものについて文献情報をまとめ、Salvia divinorumのみが平成18年11月現在で植物として規制範囲が明確で、成分的にも指定薬物として指定可能であることを示した。今後も、随時、問題となる薬物、植物が指定薬物として規制されることになるが、本研究結果はこれらの指定に対し有用な情報を提供すると考えられる。
その他行政的観点からの成果
本研究でとりまとめられた違法ドラッグに関する文献調査結果は、問題となる化合物・植物(成分)を指定薬物として規制するために必要な基礎情報以外の用途として、厚生労働省が行う食薬区分において、対象化合物(植物)が「専ら医薬品」としてリスト化されるべきかどうかの判断根拠としても直接利用された。また、違法ドラッグ成分メチロンを麻薬に指定して厳しく規制を行うために必要な基礎的情報としても利用された。
その他のインパクト
全国の地方衛研の担当者が集まる全国衛生化学技術協議会において違法ドラッグの全国流通実態調査結果を説明するとともに、指定薬物制度について自由集会を開催し討論を行った。また、日本における違法ドラッグ流通状況等について、本研究結果の一部をまじえ、台湾、韓国、米国の規制薬物担当部局において講演を行い、国際的にも情報収集・提供を行った。さらに、本研究結果の一部をまじえ、平成19年度日本法中毒学会のシンポジウムにおいて講演する予定である。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
4件
平成18年11月9日に行われた薬事・食品衛生審議会指定薬物部会への資料提供、食薬区分における専ら医薬品成分指定のための資料提供、指定薬物分析標準品の提供、メチロン麻薬指定化のための情報提供
その他成果(普及・啓発活動)
4件
海外(台湾、韓国、米国)を対象とした講演、及び地方衛研を対象とした講演

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-17
更新日
-