地域での新型インフルエンザ対策の現状と対策推進に関する調査研究

文献情報

文献番号
200606038A
報告書区分
総括
研究課題名
地域での新型インフルエンザ対策の現状と対策推進に関する調査研究
課題番号
H18-特別-指定-045
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
押谷 仁(東北大学大学院医学系研究科微生物学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 小坂 健(東北大学大学院歯学系研究科国際保健分野 )
  • 賀来 満夫(東北大学大学院医学系研究科感染制御・検査診断学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新型インフルエンザが出現し世界規模の大流行(パンデミック)を起こした場合、莫大な健康被害のみのとどまらず社会全体に大きな影響を与えると想定されている。そのような事態に備えるために日本でも政府の新型インフルエンザ対策行動計画が策定されたが、今後地域における体制を整備・推進する必要があるために現状の把握および教材等の開発を行った。
研究方法
研究は大きく分けて地域における新型インフルエンザ対策の現況に関わる研究および新型インフルエンザ対策推進に関する研究という2つの観点により、以下のような項目についての研究を行った。
1)新型インフルエンザ対策に関する地方自治体あるいは地域の現状の把握
2)海外における新型インフルエンザ対策の把握
3)対策に必要であると考えられるトレーニングやシミュレーション、啓発のための教材の開発


結果と考察
宮城県でのアンケート調査では、新型インフルエンザに関する知識および対策に関する議論が十分に進んでいないことが明らかになった。また宮城県内の担当者と有識者を交えてグループディスカッションを行なったが、行政の戦略的な対策の推進と各分野の連携および法的根拠の整備の必要性などが指摘された。
インターネット上のホームページで新型インフルエンザに関する情報を掲載している行政機関や研究機関の一覧を作成することで効率的な情報収集を行ったが、国内でなかなかそのような情報を収集することは難しく、今後の各機関の情報発信の充実が期待される。
リスクコミュニケーションの一環として高病原性鳥インフルエンザH5N1亜型がパンデミック株になると仮定したシナリオおよび医療機関におけるパンデミック時の対応に関する知識普及のための素材を作成した。
また仙台都市圏でのibm (individual based model)によるシミュレーションを行った。仙台市内の初発例による感染伝播・拡大を想定しているが地域的な広がりに関してはほぼ同じように広範囲に広がっていくことが明らかになり今後の対策に有効であると考えられる
結論
新型インフルエンザパンデミックに対する意識および対策には更なる対応が必要であることがわかった。これに対し、現在までにわかっている知見や情報源をまとめたことで今後の対策の一助とすることができた。またシミュレーションの開発により具体的な対策を今後検討することができるとともに視覚化により多くの人の理解を深めることができた。今後はシミュレーションモデルによる地域での対策評価などを進めていく必要があると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2009-04-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200606038C

成果

専門的・学術的観点からの成果
地域における新型インフルエンザ対策は、早急に対策を進める必要のあるものである。本研究において、我々は仙台都市圏での感染拡大について数理モデルを使用したシミュレーションを行った。またこれまでに対策の基礎となっているエビデンスを網羅することにより、将来における地域での新型インフルエンザ対策に対する提言を行った。
臨床的観点からの成果
パンデミック時には多くの患者が発生するために、医療体制を維持することは新型インフルエンザ対策としても重要な課題である。我々は、行政、医療従事者、大学の専門家とともに宮城県における新型インフルエンザ対策の現状および今後の取り組みについてグループディスカッションを行った。また分担研究者である東北大学大学院医学系研究科の賀来満夫教授により病院におけるパンデミック時の対応に関する啓発用ビデオが作成された。
ガイドライン等の開発
本研究においてガイドラインなどの開発は行っていないが、研究協力者である岩崎恵美子仙台検疫所長(当時)とともに市民へのインフルエンザパンデミックに関する啓発ビデオが開発されている。また前述のとおりパンデミック時の医療体制に関して啓発ビデオを開発している。
その他行政的観点からの成果
地域での新型インフルエンザの現状をアンケート調査により把握し、さらに数理モデルを利用して仙台都市圏での新型インフルエンザ感染のシミュレーションを行い、施策を立てる上で参考になる資料を提供した。またグループディスカッションを行うことで様々な自治体における取り組みに関して意見交換を行った。また研究代表者は厚生労働省新型インフルエンザ専門家会議の委員として本研究の成果を用いて国のガイドライン策定に寄与した。
その他のインパクト
研究代表者は、地域での新型インフルエンザ対策を推進するためにシンポジウムや研修会等に参加して、本研究によって得られた成果などを使って講演などを行っている。また、新聞・テレビにも多数取り上げられている。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
12件
その他論文(英文等)
2件
学会発表(国内学会)
19件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
14件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-28
更新日
-