文献情報
文献番号
200606029A
報告書区分
総括
研究課題名
統計上の分類項目として活用可能な「共通言語」としてのICFの研究
課題番号
H18-特別-指定-033
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
上田 敏(日本障害者リハビリテーション協会)
研究分担者(所属機関)
- 丹羽 真一(福島医科大学)
- 有田 眞(大分大学、大分県リハビリテーション支援センター)
- 河原 和夫(東京医科歯科大学 政策科学分野)
- 楠 正(日本薬剤疫学会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
“「生きることの全体像」についての「共通言語」”としてのICFの、基本的な考え方及び具体的な分類項目を厚生統計上の分類項目としていかに生かすかの検討を目的として、現在使われている主要な厚生統計の検討、並びに医療機関の間及び介護保険施設と医療機関との間の連携における情報伝達の検討、という異なった2側面から「共通言語」の現状と課題を研究した。
研究方法
1.「厚生統計におけるICFの活用に関する予備的検討」として、代表的な厚生統計調査2種(「国民生活基礎調査」および「中高年者の生活に関する継続調査」)について、全項目をICFの立場から分析した。
2.「入院の際に伝達される情報のICFによる分析:リハビリテーション目的の入院において、連携上必要と思われている内容の現状をみる」として、医療・介護における連携のための情報提供の現状を把握し、その問題点を明らかにするために、入院に際してそれまで関与してきた病院・施設・介護支援専門員等から提供された情報の内容をICFに沿って分析した。
2.「入院の際に伝達される情報のICFによる分析:リハビリテーション目的の入院において、連携上必要と思われている内容の現状をみる」として、医療・介護における連携のための情報提供の現状を把握し、その問題点を明らかにするために、入院に際してそれまで関与してきた病院・施設・介護支援専門員等から提供された情報の内容をICFに沿って分析した。
結果と考察
1.①ICFからみた国民生活基礎調査及び中高年者の生活に関する継続調査への示唆と、逆に②国民生活基礎調査及び中高年者の生活に関する継続調査の内容がICF自体に与える示唆の両面で、多数の非常に有益な示唆が得られた。
2.ICFの「生活機能モデル」の意味するような「統合モデル」にふさわしい「生きることの全体像」を示す情報、すなわち「活動」「参加」に重点をおいた情報伝達はいまだ極めて不十分であり、現状では疾患中心の情報伝達にとどまっていることが明らかとなった。
2.ICFの「生活機能モデル」の意味するような「統合モデル」にふさわしい「生きることの全体像」を示す情報、すなわち「活動」「参加」に重点をおいた情報伝達はいまだ極めて不十分であり、現状では疾患中心の情報伝達にとどまっていることが明らかとなった。
結論
厚生統計の質的向上のためのICFの活用の方向性を考える上で次のような貴重な示唆がえられた。すなわち、1.生活機能の各要素間の相互関連性を重視し、「人が生きることの全体像」を総合的にとらえる、2.「活動」の項目を充実させる(セルフケアにとどめない)とともに、その定義(具体的な活動様式、環境、使用用具、「能力」か「実行状況」か、等)と回答の選択肢(評価点)の厳密化(特に「活動」の普遍的自立と限定的自立、全介助と非実施の区別)の必要、3.「参加」項目の充実と重複の整理、4.「参加」と「活動」の関連性の重視、5.「健康状態」(疾病等)項目の偏りの是正、等である。以上から厚生統計における今後の課題が明らかとなった。
公開日・更新日
公開日
2009-03-26
更新日
-