漢方医学の証のコード化妥当性検討

文献情報

文献番号
200606028A
報告書区分
総括
研究課題名
漢方医学の証のコード化妥当性検討
課題番号
H18-特別-指定-032
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 賢治(慶応大学医学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
2,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在医師の7割以上が日常診療にて漢方薬を処方しており、幅広く臨床の現場で用いられているが、西洋医学的保険病名の基に使用されているため、漢方医学的統計が存在しない。現在WHO西太平洋地区のプロジェクトとして、日中韓を中心にICDの東アジア伝統版を作成中である。日中韓の伝統医学は古代国家「漢」にその起源を辿れる点で共通点が多いが、医療事情が国家間で異なるために少し事情が異なっている。わが国では医師が用いるため、西洋医学的診断名が必須であり、それに漢方医学的「証」を勘案して漢方薬を使用している。従って現在WHO西太平洋地区で作成中の1)伝統医学病名コード2)証コードのうち、2)証コードのみが必要である。ICD-10準拠の疾病分類と「証」分類のダブルコードが将来の目標である。本研究ではそのための基礎作りりのため、わが国で作成した証分類が妥当かどうかを検討する。
研究方法
1. 証分類についてのアンケート
証分類(200項目)は日本東洋医学サミット(JLOM)が作成しWHO西太平洋地域に提出したものを用いた。対象は日本東洋医学会代議員197名で、証分類が妥当かどうかを問うアンケート調査を実施した。
2. 証分類の実際の運用についての調査
日本東洋医学会認定漢方専門医を有する同学会理事15名に依頼し、ランダムに選出した患者のうち、漢方薬を処方した患者において、
1) ICD-10に基づいた西洋医学的コード
2) 「証」コード
を付与してもらい回収した。
結果と考察
1. 証分類についてのアンケート
197名中43名から回答が得られた。その結果、200項目のうち必要性があると答えた評議員が60%以下の項目が2つあった。また、20%以上の代議員が不必要と考えた項目が一つあった。残りの197項目は支持された。
3. 証分類の実際の運用についての調査
6名が証コード付与に参加した。合計70名の患者情報が得られた。
以上の結果を3月13日から15日に東京で開催された第2回東アジア伝統医学国際分類会議にて報告した。
結論
JLOMで作成した漢方医学証分類は漢方医学の専門家からは支持された。しかし、漢方医学を専門とせず、日常診療に漢方薬を用いている医師から支持されるかどうかについてさらなる検討が必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2007-05-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200606028C