文献情報
文献番号
200606024A
報告書区分
総括
研究課題名
インフルエンザ(H5N1)の死因となる急性肺障害(ARDS)の病態解析とモデル動物の作製に関する研究
課題番号
H18-特別-指定-018
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 和男(国立感染症研究所 生物活性物質部第三室)
研究分担者(所属機関)
- 河内 正治(国立国際医療センター 手術部)
- 前原 康宏(国立国際医療センター 麻酔科)
- 布井 博幸(宮崎大学医学部小児科)
- 本間 栄(東邦大学医学部呼吸器内科)
- 松下 竹次(国立国際医療センター 小児科)
- 尾崎 由佳(国立国際医療センター 麻酔科)
- 松谷 厚子(国立国際医療センター 麻酔科)
- 鈴木 洋平(国立国際医療センター 麻酔科)
- 中山 俊憲(千葉大学大学院医学研究院免疫発生学)
- 山本 健二(国立国際医療センター研究所)
- 大島 正道(国立感染症研究所 免疫部)
- 永田 典代(国立感染症研究所 感染病理部)
- 荒谷 康昭(横浜市立大学木原生物学研究所)
- 川上 和義(東北大学医学部保健科学検査技術科専攻)
- 大川原 明子(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
世界的脅威のインフルエンザ(H5N1)は、WHOパンデミックフェーズ4以上の新型への移行の可能性が大きい。ベトナムでは初期病態での死亡例があり、ARDSが主要死因となっている。しかし、わが国では、インフルエンザ(H5N1)患者の発生はなく、それに最も近い病態のARDS患者の初期における肺胞洗浄液(BALF)中および血清中のサイトカインストーム・因子とその産生機構を特定する必要がある。本研究では、1)インフルエンザ(H5N1)型ARDSのベトナムでの調査と病態解析、2)急速型ARDSモデル動物作製、3)サイトカインストーム・産生細胞の解析法の確立を目的とし、19年度以後の研究プロジェクトの推進に役立てる。
研究方法
患者の血液・血清の使用は、各所属施設の倫理委員会規定に従い実施し、個人情報はコード化し、プラーベート情報の漏洩がないよう万事を期した。また、さらに、動物実験に関しては、各施設の実験動物委員会の許可を得て、動物愛護のもとに研究を実施した。
結果と考察
インフルエンザ(H5N1)は、新型への移行により、サイトカインストーム爆発によるARDSによる死亡者の増大が推定される。本研究では、以下のような成果が得られた。1.臨床班分科会:1)ARDSの病態にかかわるサイトカインが明らかになった。2)小児のインフルエンザ脳症の病態に関わる因子がわかった。3)ALI/ARDSの基礎疾患による差異が認められた。2.ベトナムにおけるARDS調査分科会では、トリインフルエンザの病態がわかり、新型インフルエンザの対策に重要となると考えられた。3.基礎分科会では、ARDSモデルマウスおよびサイトカインストームおよび免疫機能異常が確認された。以上から、インフルエンザ(H5N1)のサイトカインストームに関連したARDSの病態をいかに食い止め、死亡率低減を図ることが行政対応の面からも必須である。
結論
インフルエンザ(H5N1)型ARDSの病態調査と解析を行うと共に、劇症型ARDS モデル動物作製とサイトカインストーム・免疫機能についての解析法を確立することを目的とした。本研究により、ベトナムでのインフルエンザ(H5N1)型ARDS病態調査と解析、モデルマウスの作製とサイトカイン・免疫機能解析について計画通り成果を得ることができ、インフルエンザ脳症の病態解析も加えた。
公開日・更新日
公開日
2009-04-08
更新日
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