国際疾病病分類-腫瘍学第3版のわが国への適用のあり方及び国際標準分類改正に向けての科学的根拠の集積に関する研究

文献情報

文献番号
200606020A
報告書区分
総括
研究課題名
国際疾病病分類-腫瘍学第3版のわが国への適用のあり方及び国際標準分類改正に向けての科学的根拠の集積に関する研究
課題番号
H18-特別-指定-005
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
西本 寛(国立がんセンター がん対策情報センター がん情報・統計部)
研究分担者(所属機関)
  • 味木 和喜子(国立がんセンター がん対策情報センター がん情報・統計部 )
  • 今村 由香(国立がんセンター がん対策情報センター がん情報・統計部 )
  • 早田 みどり(財団法人 放射線影響研究所)
  • 山城 勝重(独立行政法人 国立病院機構 北海道がんセンター)
  • 海崎 泰治(福井県立病院)
  • 固武 健二郎(栃木県立がんセンター)
  • 大井 利夫(日本病院会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
Internatinal Classification of Disease for Oncology. 3rd Edition(ICD-O3)は、2000年に世界保健機関より発行され、わが国においては社会保険審議会統計分科会疾病、障害及び死因分類腫瘍学委員会での検討を経て、2003年に発行された。その後の医学的な知見の変化による不整合や地域がん登録における項目の継続性の問題(分類の変更による医療統計に対する影響)などについては、過去3年の間に関係者の間で強く認識されるに至っている。そのため、WHOのFIC Network Meetingなどでの議論の調査・報告、さらには米国における利用の状況調査をもとに、地域がん登録、院内がん登録、臓器がん登録などの各がん登録関係者や臨床病理医などから参加を得て、標準的使用法を策定する。ステージ分類の変更によるがん統計データの変動・影響を最小限に抑えることを目的として米国で行われているCollaborative Staging(CS)に関連する検討を行い、ICD-O3の適用への影響も併せて検討する。
研究方法
ICD-O3のわが国における適用について、主たる利用者であるがん登録実務者や臓器がん登録、あるいは関連学会からの参加を得ての適用モデルに関する検討を行った。
また、上述の検討を踏まえて、翻訳の整合性や追加的説明を加えた形で日本語版ICD-O3の電子媒体を作成した。
米国において実際のCSの運用状況を視察するとともに、利用者である腫瘍登録士(Certified Tumor Registrar)との協議を通じて、運用の実態を把握し、わが国における適用の可能性とICD-O3への影響を検討した。
結果と考察
わが国で使用されている癌の組織分類名に、ICD-O3索引からの検索では類似組織とは異なるコードとなるものが存在した。
CSについては改善途中であり、他システムとの整合性の問題も含め、わが国において直ちに採用すべき状況にはないものと考えられた。
結論
ICD-O3について、わが国で適用すべきコーディングルールを策定した。検討を踏まえて、ICD-O3の序論部分などの翻訳を新たに作成すると共に、番号順リスト、索引について、変更することが望ましい個所について提案の上、電子版の基本データを作成した。

公開日・更新日

公開日
2009-03-26
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200606020C

成果

専門的・学術的観点からの成果
がん登録において用いられるICD-O3のわが国の適用についての包括的検討は初めてであり、わが国の癌取扱い規約などとの整合性について検討し、コーディングルールを提示した点で画期的である。また米国のCollaborative Stagingに関しての研究も初めてのものであり、わが国のがん登録の精度向上のため、継続研究の必要性があることが判明した点は大きな意義がある。
臨床的観点からの成果
臨床的にはわが国独自の「取扱い規約」などが頻用されるが、それらに示される部位名称や組織形態にはわが国独自の名称や使用ルールが存在し、そのままではICD-O3のコードと整合しないことが判明した。このため、整合させるためのルールを策定し、これをがん登録実務者に普及・啓発した。今後は、取扱い規約の改定に際して、こうした不整合点の検討の解消に努める必要があるが、その基盤整備が本研究において行うことができた。
ガイドライン等の開発
ICD-O3の翻訳の検討や独自ルールの検討から、「国際疾病分類-腫瘍学-第3版」の改版の基礎資料となるものを提示できた。また、がん登録を行う一般医療機関からの要望の高いICD-O3の電子版の基礎データを作成・提供した。
その他行政的観点からの成果
今後のがん登録の普及において、きわめて重要な基礎情報のコード体系であるICD-O3について、改版などを検討する基礎資料が策定できた。
その他のインパクト
がん登録実務者に対する研修会(全国8カ所で開催・基本的には公開)において、本研究で検討した内容について講義を行い、普及・啓発に努めた。

発表件数

原著論文(和文)
3件
メディカルレコード誌、癌の臨床誌で、院内がん登録に関わる原著論文を発表
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
日本癌学会において「がん登録システム」、日本診療録管理学会において「がん登録実務者育成プログラム」に関して発表
学会発表(国際学会等)
1件
WHO-FIC Network Annual Meetingにおいてわが国のがん登録におけるICDファミリーの利用について発表
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
8件
がん登録実務者研修会(全国8カ所で開催)において、本研究の成果をもとにICD-O3のコーディングルールを普及

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-27
更新日
-