移植医療に対する情報提供のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200606019A
報告書区分
総括
研究課題名
移植医療に対する情報提供のあり方に関する研究
課題番号
H18-特別-指定-043
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 友紀(東邦大学医学部 社会医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 城川 美佳(東邦大学医学部 社会医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
移植医療が社会に定着するには、一般人の理解と協力が不可欠である。これまでの一般人向けの普及啓発活動の状況、国民の知識・意識を明らかにし、今後の適切な移植医療の啓発普及方法のあり方について検討を行う。
研究方法
①世論調査など各種社会調査の手法と結果についてレビューを実施した。②一般人を対象にした移植医療の普及啓発活動についてヒアリングを実施し、マーケティングの観点から分析・評価した。③5大紙に掲載された移植関連記事を検索し、掲載状況と掲載内容を検討した。④電話調査を実施し、移植医療についての知識・意識について明らかにした。
結果と考察
①世論調査は内閣府により3回実施されている(1998、2000、2002年)。いずれも面接法が用いられ、主任研究者らの先行研究では、より高齢者の回答が増幅され、移植については否定的な意見が反映されやすいことが明らかにされている。それにもかかわらず、死後の臓器提供を希望するもの、意思表示カードを所持するものはこの間増加していた。②製薬会社の協力による移植医療の普及啓発活動は、FMラジオ番組、番組主催のイベント、新聞広告、地下鉄車内のポスター、イベント開催などを通して行われている。イベント参加者に対する調査では好意的な結果を得ているが、情報提供量の絶対的な不足のため、地域住民を対象にした調査では明らかな効果を認めなかった。③新聞記事の検索では、臓器移植法が施行された1997年、脳死下臓器提供の第1事例があった1999年をピークとして記事総件数は減少している。内容からは、「個人的な情報-臓器移植のシステム・体制」、「国内-海外」の成分に分けられ、「個人的」な「海外」に関連した記事が多く認められた。2006年には宇和島事件の報道が多くを占め、いずれも制度面に触れた記事は少なかった。④電話調査を実施し東京、名古屋、大阪の居住者607人から回答を得た。移植医療について知りたい情報が得られのは34%に過ぎず、印象に残った報道としては臓器売買、宇和島事件、渡航移植事例が多く挙げられた。
結論
移植医療の普及啓発活動は継続的に提供する必要がある。メディア報道では、個別事例の報道、臓器売買など社会的問題を取り上げたものが多く、現状では臓器移植に関するシステムや体制などの情報提供のツールとはなっていない。メディアへの十分な情報提供が必要と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2007-04-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200606019C