健康診査の精度管理に関する研究

文献情報

文献番号
200501385A
報告書区分
総括
研究課題名
健康診査の精度管理に関する研究
課題番号
H17-健康-008
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 清明(国際医療福祉大学付属三田病院検査部)
研究分担者(所属機関)
  • 奈良 昌治(日本人間ドック学会)
  • 吉田 勝美(聖マリアンナ医科大学 予防医学 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では生活習慣病予防のために、健康診査の企画から始まり最終的に健康診査によって受診者が適正な健康を保持できるように至るまでに必要な健診全体の精度管理を行うための基準を策定する事を目的とする。
研究方法
本研究の実施に当たっては臨床検査、人間ドック、健診の専門家からなる3研究班を組織し検討を行った。
結果と考察
a) 健康診査別にみた対医療費効果に関する研究では30?49歳では人間ドック受診群において年間医療費の減少が認められた。また、大崎国保加入者コホート研究で求められた生活習慣別の医療費を元に医療費の変化を算出した結果、運動不足、肥満および喫煙という3つの生活習慣上のリスク保有者が人間ドックを受診することで、行動変容を行うものが増加し、医療費削減に役立つと考えられた。
b) 健康診査の問診の組み合わせにより、効率的に健診項目の異常者を抽出する手法を開発し、それぞれの問診項目の感度特異度を得た。
c)健診の必須項目としては25項目を選択し妥当性を確認した。ただし、臨床検査専門医の検討では、腹囲、体脂肪率などの項目も必要との結果が得られた。
d) 検体検査の標準化については、問診、身体計測、血圧は別にして、少なくとも生活習慣病予防に重要な臨床検査の測定値は統一すべきである。
e)健康診査の判定区分は6区分とし、各健診項目の判定基準および指導区分を作成した。
f) 事後指導の質的向上を目指した研究では有所見の検出に関係するそれ以前の検査成績のROC曲線を検討すると、3年前まで左上に移動し、その後戻ることが示され、過去1-3年を使用したモデルの開発が有用であることが示された。
g)実施体制に関しては、健診施設の基準判定、人員の資質の向上、運営に関するマニュアル作成と情報管理、健診施設の評価・認定の基準として、評価実施要領を作成した。
h)個人健康データベースの構築に関しては、事業目的とそのメリットを参加者と共有しておく必要がある。方法論的には、データの共有のための交換規約を整備するとともに、個人情報保護のためのユニバーサルIDの整備が必要であり、個人匿名化を図ることで個人情報保護を整備する。
結論
全ての健康診査(特に一般健康診査)において、健診項目も含め、検査とその結果を踏まえた事後指導も包括したTQMという観点から、大局的な健康診査の精度管理の枠組みを確立すべきである。

公開日・更新日

公開日
2006-06-09
更新日
-