文献情報
文献番号
200501230A
報告書区分
総括
研究課題名
働き盛りの農村住民、都市住民、大企業勤務者男性の循環器疾患発症リスクとそれを規定する生活習慣要因、ヘルスプロモーションサービスに関する比較研究
課題番号
H16-健康-025
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
中川 秀昭(金沢医科大学・医学部健康増進予防医学)
研究分担者(所属機関)
- 上島 弘嗣(滋賀医科大学 医学部)
- 岡村 智教(滋賀医科大学 医学部)
- 岡山 明(国立循環器病センター 循環器病予防検診部)
- 笠置 文善(財団法人放射線影響研究所 疫学部)
- 喜多 義邦(滋賀医科大学 医学部)
- 日下 幸則(福井大学 医学部)
- 杉原 秀樹(公立高島総合病院 循環器科)
- 武林 亨(慶應義塾大学 医学部)
- 中村 保幸(京都女子大学 家政学部)
- 山縣 然太朗(山梨大学 大学院医学工学総合研究部)
- 大和 浩(産業医科大学 産業生態研究所)
- 由田 克士(国立健康・栄養研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
3,387,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は3集団(農村部住民、都市勤務者、地方勤務者)の働きざかりの男性(60歳未満)を対象として、健康づくりの現況と健康状態の一指標である循環器疾患の危険因子を厳密に比較し、現在の農村部住民の健康上の問題点およびその改善方策を明らかにすることを目的とする。
研究方法
申請者らが関わった複数の先行研究の調査票を整理し、地域・職域の両方で使用可能な問診票を作成した。血圧測定や血液検査については、国際的に通用する標準化を実施することとし、事業所集団と地域住民のデータが相互比較可能なシステムを構築した。また受療状況や塩分摂取量(尿中の電解質排泄量から1日の塩分排泄量を推計)も調査し集団間の比較を行った。調査対象は、1)農村部住民として滋賀県T郡の基本健診受診者552人、2)大都市企業勤務者として東京都と大阪府の一部上場企業3社の勤務者2,168人、3)地方企業勤務者として非都市的な地域に位置する工場勤務者1社の勤務者1,460人とした。
結果と考察
3群を比較した結果、農村部住民で収縮期血圧値、拡張期血圧値、塩分排泄量が高く、HDLコレステロール値が低い傾向を認めた。またBMIも農村住民で最も大きくなっていた。一方、血糖値と飲酒率は勤務者のほうが高かった。なお都市部と地方の勤務者を比較すると、塩分排泄量は地方のほうがやや高いものの両群の血圧レベルには差がなかった。またHDLコレステロールレベルは地方のほうが高い傾向を示したが、血清総コレステロールと喫煙率は都市に比べて高い傾向を示した。また受療率、服薬率は各群であまり差を認めなかったが、食事療法や運動療法など非薬物療法を実施している者の割合は、農村部住民で低かった。その結果、既存のコホート研究のCox回帰式から算出した虚血性心疾患発症リスクは、地方勤務者を1.00とした場合、都市勤務者で 0.94、農村部住民で 1.54となり、農村部住民のリスクは約50%高いことが示された。
結論
農村部住民では、依然として塩分摂取量が多く、血圧値が高いことが問題点として浮かび上がった。また、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病等の薬物治療率には農村部住民と都市勤務者で大きな差はなかったが、食事療法や運動療法などの“生活習慣の改善”を実施している人の割合は農村部住民で低く、今後、農村部住民を対象として生活習慣改善のための手法を浸透させていく必要がある。
公開日・更新日
公開日
2006-04-18
更新日
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