最新の科学的知見に基づく水質基準の見直し等に関する研究

文献情報

文献番号
200501217A
報告書区分
総括
研究課題名
最新の科学的知見に基づく水質基準の見直し等に関する研究
課題番号
H16-健康-066
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
眞柄 泰基(北海道大学創成科学共同研究機構)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 禎彦(京都大学大学院工学研究科)
  • 遠藤 卓郎(国立感染症研究所)
  • 国包 章一(国立保健医療科学院)
  • 西野二郎((社)日本水道協会)
  • 江馬 眞(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 長谷川隆一(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 伊藤 雅喜(国立保健医療科学院)
  • 秋葉 道宏(国立保健医療科学院)
  • 安藤 正典(武蔵野大学薬学部)
  • 西村 哲治(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 松井 佳彦(北海道大学工学研究科)
  • 浅見 真理(国立保健医療科学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
74,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
水質基準に定められているか改訂の対象となる無機物質、一般有機物質、微生物、消毒副生成物、農薬、水道水質管理およびリスク評価に関して調査した。
研究方法
主任研究者、分担研究者の他、水道事業体等技術者、研究者の研究協力者からなる分科会を設け、実態調査や室内実験等をおこなった。
結果と考察
アルミニウムは凝集pH値等の影響を受ける。ナノろ過では、鉄系凝集剤ではファウリングがおきにくい。PVC管から有機スズが検出される例がある。健康影響リスクから硬度やモリブデン等のデータの蓄積が必要である。
TOCは2mg/lを越えることは少ない。塩化ビニルは、定量下限値未満であった。PFOS、PFOAは水道水で検出された。BaPを含む6種の多環芳香族炭化水素は塩素と反応して一塩素置換体、二塩素置換体を生成する。下水処理場から2-MIB、ジェオスミンが検出される。資機材由来のトルエンの臭気閾値は他4物質とは2桁低濃度であった。
原水、活性炭層の生物叢は16S rRNA遺伝子のクローンライブラリーから異なることが示された。浄水から線虫やピコプランクトンの不快生物が認められた。AOCは塩素処理を行うと増加する。
従属栄養細菌・一般細菌は同一試料で菌数に1log 以上の差がある。耐塩素性病原微生物の検査方法として最確値法や遺伝子検査法としてLoop Mediated Isothermal Amplification法を検討した。後者についてはプライマーセットの開発を行った。
 臭素酸濃度の注入率・溶存オゾン濃度制御併用法や薬剤保存管理の影響を明らかにした。気道経由THM曝露量は経口曝露量に対して多い。NDMAは数ng/Lレベルで浄水に存在する。
全国11水道事業体で検出された農薬は、原水及び浄水で97及び45種であった。P=S結合を有する有機りん系農薬の塩素と反応して生成するオキソン体の多くは浄水に存在している。
「水安全計画」は水質管理の適正化につながる。鉛濃度は15分滞留水が流水に比べて高い。カルキ臭は、アンモニアと塩素との反応により生成されるトリクロラミン等生成物が主である。
1,1-ジクロロエチレン等6化学物質の有害性評価手法を調べた。化学物質に対する新生児の感受性について、6種の化学物質についての新生児ラットおよび若齢ラットでの毒性試験より比較した。新生児が若齢より2-5倍高感受性である例が多い。
結論
18年4月に行われる水道法に定める水質基準の逐次改定のための科学的資料として活用される。しかし、多くの課題についてさらに詳細な研究が必要であることから、次年度以降も引き続き研究を進める必要がある。

公開日・更新日

公開日
2006-04-18
更新日
-