建築物衛生における健康危機管理のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200501215A
報告書区分
総括
研究課題名
建築物衛生における健康危機管理のあり方に関する研究
課題番号
H17-健康-019
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
池田 耕一(国立保健医療科学院 建築衛生部)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 信介(東京大学 生産技術研究所)
  • 柳   宇(国立保健医療科学院 建築衛生部)
  • 鍵直樹(国立保健医療科学院 建築衛生部)
  • 並木則和(金沢大学)
  • 伊藤雅喜(国立保健医療科学院 水道工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
今年度では次年度以後の研究に必要な基礎資料や数値解析・実験方法などを得るために,多数の人が集まる建築物において予測せぬ健康ハザードのような緊急事態が発生した場合を想定し,まず今までの関連研究報告を収集し,既存の知見を整理する。次に建築環境,取り分け建築物内,空調システム内に病原性微生物や毒性化学物質が発生した(放出された)場合において,その汚染物質の建築物全体への拡散特性や居住者の被暴などの予測に関する数値流体解析,およびエアフィルタによる微生物を含めた粒子状物質の捕集性能に関する実験的な検討を行った。
研究方法
分担研究者の加藤信介は,3次元解析モデルとマクロモデルの連成解析手法に関する研究を行った。分担研究者の柳宇は,国内,海外におけるBCテロの対策の現状を調査し,建築物を対象としたBCテロが起きた緊急時の対応方法などに関する研究を行った。分担研究者の鍵直樹は,エアフィルタからの化学物質の発生と透過特性に関する実験的な検討を行った。分担研究者の並木則和は,エアフィルタの付着粒子量分布の導出方法に関して理論的な検討及び実験装置を用いた検証を行った。分担研究者伊藤雅喜は,国内におけるクロスコネクション,逆流等の事故事例を調査し問題点を抽出した。
結果と考察
建築物を対象としたBCテロを想定する場合,空調システムを介したBCテロの可能性が最も高いと考えられる。BCテロの対策は,室内気流の適正な計画,エアフィルタによる病原体などの捕集性能に関する検討が重要である。数値解析による検討では,建築物全体にわたる移流拡散過程の予測が可能になり,また空調システムにおけるBCテロ対策の適用もできることが明かになった。また,エアフィルタによる粒子状物質の捕集性能に関する検討により,その捕集性能がある程度予測できることが分かった。これらの研究結果を踏まえた上での次年度の研究成果は,BCテロの対策においてより実用性の高いものになると考えられる。
結論
日本政府における健康危機管理体制などの現状を調査し本研究の位置付けを明確にした。建築物を対象としたBCテロが起きた緊急時の対応方法は,基本的に病原体または毒性化学物質の拡散を防ぐこと,即ち,空調と個別ファンを止め,居住者の避難通路を確保することである。これに関して室内気流の適正な計画が必要である。今年度では,BCテロなどを想定した対策を作成するために,汚染質が建築物全体における一次元移流拡散過程及び各場所における濃度分布を予測できる数値解析手法を開発した。また,エアフィルタによる粒子状物質の捕集性能が予測可能であることがわかった。

公開日・更新日

公開日
2015-11-20
更新日
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