地域保健分野における規制影響分析の方法論に関する調査研究

文献情報

文献番号
200501205A
報告書区分
総括
研究課題名
地域保健分野における規制影響分析の方法論に関する調査研究
課題番号
H17-健康-012
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
大久保 一郎(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 正英(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
  • 福田 敬(東京大学大学院 薬学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は,我が国の規制改革の文脈のなかで,試行的実施が進んでいる規制影響分析を,地域保健分野での規制政策の策定時に実施するための方法論を確立することである.
研究方法
規制政策の事前評価という規制影響分析は,諸外国での先行する取り組みを受けて我が国に導入されつつあるものであるので,本研究では,先進的な取り組みが見られる諸外国の事例を,我が国の地域保健分野での規制改革の文脈に応用するという観点から,比較検討することを通じて,我が国での試行的実施で提示されている規制影響分析書のフォーマットにしたがってとりまとめる方法論を確立するという方法をとった.2年計画の1年目である本年度は,具体的には,諸外国において,保健医療分野の特殊性に対応したかたちで規制影響分析のとりまとめ方を示した方法論が存在するか否か,また,保健医療行政の実務の中でどのような形で実践しているのか,という2点を中心に,文献調査および渡航してのヒアリング調査を行って収集したデータを,質的に分析した.
結果と考察
まず,我が国に先行して規制影響分析に取り組んできている諸外国においては,規制影響分析一般に関してのとりまとめの方法論は,ガイドライン,ガイダンス,マニュアル等の形で存在しているが,保健医療セクターに特有な問題点に対処するという形ではまとめられてきていないことが明らかとなった.これは,方法論のとりまとめにおいて規制政策の仕組みの多様性が個別のセクターの特殊事情よりも優先されてきたためではないかと考えられる.保健医療行政の実務の中でどのような形で実践しているのか,という点に関しては,特に,イギリスでの事例が示唆的であった.イギリスの保健省では,担当官が経済系技官とともに規制影響分析を実施するが,実践的には,内閣府から提示されたフォーマットに従って,政策決定過程を通じて利害関係者等からインプットされるデータを中立的な立場からまとめていた.つまり,能動的なデータ収集や規範的な判断を行うことなく,業務の一環として取り組まれていた.こうした実務の形態は我が国での現場での運用を考える際に参考になると考えられる.
結論
研究目標である規制影響分析書のフォーマットに従ったとりまとめの方法論の確立に関しては,諸外国での事例の内容にまで踏み込んだ分析が必要であると考えられる.

公開日・更新日

公開日
2006-04-18
更新日
-