離島農村地域における長寿の要因および健康寿命に関する研究

文献情報

文献番号
200501183A
報告書区分
総括
研究課題名
離島農村地域における長寿の要因および健康寿命に関する研究
課題番号
H16-健康-020
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
吉田 浩己(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 納 光弘(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
  • 秋葉 澄伯(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
  • 竹内 亨(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
  • 馬嶋 秀行(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
  • 郡山 千早(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
  • 嶽崎 俊郎(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
4,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本調査研究は鹿児島県と連携して、離島農村地区と鹿児島県本土の高齢者を対象に環境要因と宿主要因、および医学的所見と健康・長寿との関連を検索し、健やかな加齢に関わる要因を明らかにすることを目的とする。
研究方法
 奄美地地域から無作為に抽出された20歳から100歳以上の男女1400名を対象に調査を行った。調査では、質問票による生活習慣などの調査、栄養調査のほか、採血を行い、医学的解析(DNAマイクロアレイ法及びDNA塩基の酸化損傷)を行った。
(倫理面への配慮)
 アンケート調査及びその解析に関し疫学研究等に関する倫理委員会等にて承認を得た。その上で、対象者に対しては,研究の趣旨及び方法,個人情報に関する秘密保持等について十分な説明を行うとともに,同意に基づいた調査ならびに医学的検査を開始した。
結果と考察
 鹿児島県民の粗百寿率は,21.52と国の10.7に比べ高いが,なかでも奄美群島民においては56.57と大変高い。この地域を対象とし、長寿健康の多因子解析を行なう研究は他に類を見ない研究であり、この成果が奄美から世界に発信し、高齢化社会における長寿健康対策に役に立つものと考える。平成17年度は、長寿環境因子、生活習慣病等長寿因子について詳細に解析するとともに、長寿者から得られた血液を用いた遺伝子発現解析の結果との関連を調べ、得られた健康・長寿に関わる環境・宿主要因、および医学的所見とを比較検討を行い、予防防医学的アプローチを開発する基盤と位置づけた。採取した血液から、医学的解析(DNAマイクロアレイ法及びDNA塩基の酸化損傷)を行った結果、加齢化に伴い、DNAマイクロアレイ法における遺伝子変化と、DNA塩基の酸化損傷の増加が認められ、さらに、食酢の摂取とDNA塩基の酸化損傷との間に負の相関傾向が示された。また、これらの研究で得られた結果を公開講座という形で地域に還元し、地域における健康作りの支援を行った。
結論
 長寿の環境因子、生活習慣病等のアンケート調査を終了し、医学的調査研究である血液採取を終了した。血液サンプルを用いた医学的解析より、加齢化に伴い、DNAマイクロアレイ法における遺伝子変化と、DNA塩基の酸化損傷の増加が認められ、さらに、食酢の摂取とDNA塩基の酸化損傷との間に負の相関傾向が示された。

公開日・更新日

公開日
2006-04-18
更新日
-

文献情報

文献番号
200501183B
報告書区分
総合
研究課題名
離島農村地域における長寿の要因および健康寿命に関する研究
課題番号
H16-健康-020
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
吉田 浩己(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 納 光弘(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
  • 秋葉 澄伯(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
  • 竹内 亨(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
  • 馬嶋 秀行(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
  • 郡山 千早(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
  • 嶽崎 俊郎(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本調査研究は鹿児島県と連携して、離島農村地区と鹿児島県本土の高齢者を対象に環境要因と宿主要因、および医学的所見と健康・長寿との関連を検索し、健やかな加齢に関わる要因を明らかにすることを目的とする。
研究方法
 奄美地域から無作為に抽出された20歳から100歳以上の男女1400名を対象に調査を行った。調査では、質問票による生活習慣などの調査、栄養調査のほか、採血を行い、医学的解析(DNAマイクロアレイ法及びDNA塩基の酸化損傷)を行った。
(倫理面への配慮)
 アンケート調査及びその解析に関し疫学研究等に関する倫理委員会等にて承認を得た。その上で、対象者に対しては,研究の趣旨及び方法,個人情報に関する秘密保持等について十分な説明を行うとともに,同意に基づいた調査ならびに医学的検査を開始した。
結果と考察
 質問票は1461名から回収され、血液は146名から採取された。鹿児島県民の粗百寿率は,21.52と国の10.7に比べ高いが,なかでも奄美群島民においては56.57と大変高い。この地域を対象とし、長寿健康の多因子解析を行なう研究は他に類を見ない研究であり、この成果が奄美から世界に発信し、高齢化社会における長寿健康対策に役に立つものと考える。さらに、長寿環境因子、生活習慣病等長寿因子について詳細に解析するとともに、長寿者から得られた血液を用いた遺伝子発現解析の結果との関連を調べ、得られた健康・長寿に関わる環境・宿主要因、および医学的所見とを比較検討を行い、予防防医学的アプローチを開発する基盤と位置づけた。採取した血液から、医学的解析(DNAマイクロアレイ法及びDNA塩基の酸化損傷)を行った結果、加齢化に伴い、DNAマイクロアレイ法における遺伝子変化、特にミトコンドリア関連遺伝子変化及び、DNA塩基の酸化損傷の増加が認められ、さらに、食酢の摂取とDNA塩基の酸化損傷との間に負の相関傾向が示された。また、これらの研究で得られた結果を公開講座という形で地域に還元し、地域における健康作りの支援を行った。
結論
 長寿の環境因子、生活習慣病等のアンケート調査を終了し、医学的調査研究である血液採取を終了した。血液サンプルを用いた医学的解析より、加齢化に伴い、DNAマイクロアレイ法における遺伝子変化と、DNA塩基の酸化損傷の増加が認められ、さらに、食酢の摂取とDNA塩基の酸化損傷との間に負の相関傾向が示された。

公開日・更新日

公開日
2006-04-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-11-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501183C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 本研究は、世界一の長寿圏である鹿児島県あまみ地域を対象に、アンケート調査に加え、長寿の医学的因子解明の目的に、90歳以上54名を含む135名の住民から血液を採取し、2万個の遺伝子発現変化、及び酸化的DNA損傷を調べている。この結果、特にミトコンドリア遺伝子の発現変化を明らかとし、また、酸化的DNA損傷が年齢ともに増加し、その抑制因子として食酢を高頻度に摂取する食生活習慣との関連を明らかにしている。このような研究は、ヒト長寿研究にとって世界でも類の無い画期的な研究である。
臨床的観点からの成果
 我が国の少子高齢化の進行に伴って、高齢者の疾病の予防、及び、適切な健康指導は欠かせないものとなっている。本研究の成果は、長寿の遺伝子変化及び酸化的DNA損傷を調べているため、長寿のバイオマーカーをも確立する可能性の高い研究となっている。その成果は、国際的に注目されることが予想される。
ガイドライン等の開発
 本研究は2万個の遺伝子発現を調べた関係上、この研究解析に3年を費やし、その複雑系からガイドライン等の作成にはいたらなかった。しかし、加齢に伴い、ミトコンドリア遺伝子の発現に特徴ある変化を認め、またDNAの酸化損傷の増加も認めたため、ヒト長寿研究ではミトコンドリア研究並びに活性酸素研究の重要性を認識した。今後、この事をまとめ、ヒト長寿研究ガイドラインをまとめる予定である。
その他行政的観点からの成果
 少子高齢化を迎え、また、国民の健康に対する意識の向上も見られ、健康で長生きすることは行政的観点からも重要な課題である。長寿研究は、平均寿命世界一の我が国における重要な研究テーマの一つであると認識する。鹿児島県では、平成14年度からあまみ長寿・子宝プロジェクトを推進させ、本研究の長寿の医学的解明研究と会わせ、あまみ地域の特徴づけを行い、長寿産業の推進、観光事業の推進等を行ってきた。
その他のインパクト
 本研究施行中、毎年1回、住民を対象に公開シンポジウムとして、あまみ長寿の医学的成因の成果を発表してきた。
1)与論町、H16/2/11
2)与論町、H17/2/5
3)瀬戸内町、H18/2/11
 新聞に記事が掲載された。
1)南海日日新聞 H16/1/31,2/12,H17/2/7,H18/1/21,2/14
2)大島新聞 H16/2/3,2/12,H17/2/7,H18/1/20,2/13
3)南日本新聞 H16/2/12,H17/2/6
 特許出願を2件行った。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
85件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
32件
学会発表(国際学会等)
26件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計2件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
3件
公開シンポジウム3件 1)奄美長寿を探る,与論町,H16/2/11 2)奄美長寿とアイランド・セラピー,与論町,H17/2/5 3)長寿と奄美の豊かな発展のために,瀬戸内町,H18/2/11

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Matsuoka Y, Fukamachi K, Yoshida H, et al.
Rapid emergence of mammary preneoplastic and malignant lesions in human c-Ha-ras proto-oncogene transgenic rats: possible application for screening of chemopreventive agents.
Toxicologic pathology , 31 (6) , 632-637  (2003)
原著論文2
Hamaguchi T, Matsuoka Y, Yoshida H, et al.
Terminal endbuds and acini as the respective major targets for chemical and sporadic carcinogenesis in the mammary glands of human c-Ha-ras protooncogene transgenic rats.
Breast cancer research and treatment , 83 (1) , 43-56  (2004)

公開日・更新日

公開日
2015-11-20
更新日
-