特定給食施設における栄養管理の実施状況とその基準に関する研究

文献情報

文献番号
200501181A
報告書区分
総括
研究課題名
特定給食施設における栄養管理の実施状況とその基準に関する研究
課題番号
H16-健康-018
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
石田 裕美(女子栄養大学給食・栄養管理研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 由田 克士(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
  • 村山 伸子(新潟医療福祉大学医療技術学部)
  • 平田 亜古(お茶の水女子大学生活科学部)
  • 井上 浩一(関東学院大学人間環境学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
7,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
特定多数の人々に継続的に提供する給食は、利用者の「食環境」として位置づき、利用者の健康の維持・増進、QOLの向上に寄与するよう機能することが求められている。本研究は、自治体の給食施設支援・指導のシステムモデル、給食施設の栄養管理システムの構築を行い、栄養管理の実施水準の向上が利用者の健康増進に果たす役割を明らかにすることを目的とした。
研究方法
平成16年度に作成した「自治体における給食施設支援・指導システムモデル」の検証を目的に保健所の支援・指導へ介入し、対象保健所管内の事業所給食施設での栄養管理の実施状況の変化を観察した。また、事業所給食施設に介入し、利用者への給食の影響を検討した。さらに、自然災害対策を前提とした給食施設の危機管理対策の基礎資料を得るために新潟県中越大震災被災地において実態調査を行った。
結果と考察
自治体は給食施設支援・指導のための法的基盤整備、実態把握、事業計画、支援の実施、施設の評価と結果のフィードバック、自治体の事業評価の一連をシステム化すること、施設は自らが栄養管理の実施状況を改善するためのシステム化が重要であった。両者が共有できるツールとして作成した栄養管理報告書は、施設の栄養管理状況のアセスメントを効率的に実施できた。また、施設自らが課題を発見することができ、自発的な改善を支援する有効な方法であった。さらに、得られた評価は、利用者の栄養や健康に関する知識・態度と関係が認められた。事業所への介入実験では、昼食1食でも、適切な食事と栄養情報に継続的にアクセスすることにより利用者の食事内容を適正なものに変化させることが可能であった。そのために利用者自身が継続的に食事内容を確認できる、あるいは継続的な食事選択内容から個別の指導を行う方法が有効であった。給食施設を地域の資源として有効に機能させるためにも、自治体は自然災害時にも給食施設がどのように機能すべきかを明確にし、それに沿った対策を考える必要がある。
結論
栄養管理の基準に基づき栄養管理の実施プロセスを評価できる栄養管理報告書は、単に栄養管理の実施水準の良好性を判断するにとどまらず、利用者への影響を視野に入れた栄養管理の質的な評価につながることが示唆された。また、昼食1食でも継続的に適正な食物と情報にアクセスできる給食は利用者の食物選択状況に影響する。

公開日・更新日

公開日
2006-05-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200501181B
報告書区分
総合
研究課題名
特定給食施設における栄養管理の実施状況とその基準に関する研究
課題番号
H16-健康-018
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
石田 裕美(女子栄養大学給食・栄養管理研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 由田 克士(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
  • 村山 伸子(新潟医療福祉大学医療技術学部)
  • 平田 亜古(お茶の水女子大学生活科学部)
  • 井上 浩一(関東学院大学人間環境学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康増進法を背景に、特定給食施設が主体的に栄養管理の水準の向上に取り組める仕組みとして、自治体の施設支援・指導および施設の栄養管理の実施の「アセスメント・計画・実施・評価の一連のシステムの構築」を目的とした。その上で、給食施設の栄養管理の実施水準の向上が利用者の健康増進に果たす役割を明らかにする。
研究方法
127の自治体に対する特定給食施設支援・指導の法的整備状況調査及び全国の特定給食施設の約1%にあたる562施設を対象に栄養管理の実施状況調査を行った。これらの結果を踏まえ、研究者、自治体および特定給食施設の管理栄養士による検討会を立ち上げ、「自治体における特定給食施設支援・指導システム構築ガイドブック」及び、厚生労働省が示す栄養管理の基準にそった栄養管理の方法の事例収集に基づく「特定給食施設等における業務改善・高度化のための事例集」を作成した。最終年度に、ガイドブックで提案した自治体の特定給食施設の支援・指導システムモデルの検証を、栄養管理報告書案、自己確認票案、事例集等のツールを用いて、自治体で実施した。
また、平成16、17年度に事業所給食施設において、継続的な給食の利用状況を観察するシステムを開発し、利用者自らが選択する食事内容の履歴を閲覧したり、食事内容に基づく栄養情報提供を受けることの効果を検証した。
結果と考察
自治体は給食施設支援・指導のための「法的基盤整備、実態把握、事業計画、支援の実施、施設の評価と結果のフィードバック、自治体の事業評価」の一連のシステム化が、施設は自らが栄養管理の実施状況を改善するためのシステム化が重要である。自治体、施設が共有できるツールになりうる栄養管理報告書は、栄養管理の基準を栄養管理の実施のプロセスにそって確認できる書式にすることで、栄養管理の質的評価につながることが示唆された。また、昼食1食でも、継続的に適切な食事と栄養情報にアクセスすることで利用者の食事内容を適正なものに変化させることが可能であった。給食施設は健康づくりの推進上、地域において重要な資源であり、自然災害時をも想定したその役割を明らかにしておくことが必要である。
結論
給食施設の栄養管理の水準の向上には栄養管理報告書を用いたアセスメント、計画、実施、評価の一連のシステム化が重要である。また、利用者の健康増進に給食が寄与するためには、栄養管理の質的評価が不可欠である。

公開日・更新日

公開日
2006-05-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501181C

成果

専門的・学術的観点からの成果
特定給食施設である事業所給食施設の栄養管理の実施水準が、利用者の栄養や食に関する知識・態度に影響することが確認された。昼食1食でも継続的に利用する施設の給食の栄養管理の実施水準は利用者に影響していることより、健康づくり対策に給食を活用すること、利用者の食環境として整備することの重要性が示された。さらに、自治体が施設に提出を求める「栄養管理報告書」は、健康増進法施行規則の栄養管理の基準に照らしてアセスメントできる書式にすることで、自治体、施設共通のアセスメントツールとして重要であることが示された。
臨床的観点からの成果
給食施設における継続的な食事の選択内容は利用者のBMIと関連が認められ、BMIが高い者の方が有意に脂質エネルギー比率の高い食事を選択していた。昼食1食でも自由に選べる食事の選択行動は体格と関係していることが明らかとなった。
ガイドライン等の開発
自治体の特定給食施設支援・指導に関して、アセスメント・計画・実施・評価の一連のシステム化のモデルを構築し、その有効性を検証した。そのために、「自治体における特定給食施設支援・指導システム構築ガイドブック」、「特定給食施設等における業務改善・高度化のための事例集」、アセスメントツールとして「栄養管理報告書」を作成し、これらを用いた自治体の施設支援・指導の有効性、実現可能性が確認された。
その他行政的観点からの成果
自治体における特定給食施設支援・指導は、特定給食施設が主体的に栄養管理の水準の向上に取り組めるような方向転換が必要であること、またこの方向転換は効果的な支援・指導につながることが明らかとなった。そのために自治体が施設に提出を求める「栄養管理報告書」の内容が重要である。施設側が栄養管理報告書を作成することで栄養管理の実施水準が確認できる書式は、自らの課題発見につながり、施設自らが改善計画をたてられるような自己管理力をつける支援が効果的であることが明らかとなった。
その他のインパクト
事業所給食施設において、利用者の購買内容(料理名。エネルギー及び栄養成分)のデータを利用者本人の手を煩わせることなく継続的に収集するためのシステム(非接触ICカード「Felica」を用いた電子マネー「Edy」による個人識別・決済技術の応用)の健康管理への応用が可能であることが本研究により確認され、電子マネーサービスにより健康管理サービスが提供できる可能性が示唆された。電子マネーは急速に普及しており、今後健康管理領域での応用が期待できる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
3件
「栄養日本((第48巻4号2005年)」の中に特集として、「特定給食施設における栄養管理の水準の向上に向けて」を組み、研究班の成果を発表 
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
14件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-11-20
更新日
-