文献情報
文献番号
200501170A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノマテリアルの安全性確認における健康影響評価手法の確立に関する研究
課題番号
H17-化学-012
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター総合評価研究室)
研究分担者(所属機関)
- 菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所・安全性生物試験研究センター毒性部)
- 本間 正充(国立医薬品食品衛生研究所・安全性生物試験研究センター変異遺伝部)
- 徳永 裕司(国立医薬品食品衛生研究所・環境衛生化学部)
- 中澤 憲一(国立医薬品食品衛生研究所・安全性生物試験研究センター薬理部)
- 津田 洋幸(名古屋市立大学大学院医学研究科・生体防御総合医学専攻・生体機能分子医学講座)
- 高月 峰夫((財)化学物質評価研究機構・安全性評価技術研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
新機能や優れた特性を持つ物質を作り出す技術ナノテクノロジーの中心的存在であるナノマテリアルの物理化学的性状は、同一組成を持つ、より大きな構造体とは著しく異なり、この違いが産業的に新しい用途への開発として期待されているが、一方で生体影響については多くの点で未知である。その物理化学的特性を考慮した毒性試験法や有害性評価手法の開発の必要性に迫られる中、今後の評価に必要な基礎的知見の収集を目的とした。
研究方法
製品としての均一性や生産量を考慮して、フラーレンや酸化チタン粒子などを対象物質として、生体試料中での測定法、in vitro系の生体影響評価法および、in vivo系における投与方法や生体内動態の検討、国際動向調査に関する研究を行った。
結果と考察
生体試料での測定方法の検討については、フラーレン・酸化チタンについて、LC-MS/MSおよびICP-MSを用いての生体試料中での測定法に目処が立ち、体内動態の解析を開始できるところまできている。今後、in vivo実験において体内動態、酸化チタンの皮膚投与における吸収性に適用できる体勢が整ったところである。一方、in vitro系においては、シクロデキストリンやTween80などの補助剤の適用により、細胞評価系への適用が可能になった。その結果、遺伝毒性試験系では、わずかながら小核誘発能を検出することができた。しかし、補助剤を用いての実験結果解釈や培地中での分散性の確認などに問題は残り、さらなる培地添加法の模索が必要であると考えられた。また、フラーレンのコーン油への溶解性を考慮すると、脂質成分との相互作用に注目した研究展開が要であると考えられた。国際動向的には、OECDも含めて試験法の標準化やその際の基準ナノマテリアル物質の確立に向けた気運が高まりつつあり、これに向けた実験手法の開発が急がれる。
結論
フラーレンや酸化チタン粒子などを対象物質として、生体試料中での測定法の検討、in vitro系の生体影響評価法の検討、in vivo系における投与方法や生体内動態の検討、国際動向調査を展開してきて、体内動態解析や補助剤を用いてのin vivo系試験系への適用は可能になったが、多層型カーボンナノチューブの産業展開の加速や国際的な関心の高まりを受け、吸入暴露も考慮した評価系の確立や、国際的な安全試験法の調和に向けた試験法の確立が早急に必要であると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2006-06-07
更新日
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