化学物質の経気道暴露による毒性評価手法の開発、高度化に関する研究

文献情報

文献番号
200501166A
報告書区分
総括
研究課題名
化学物質の経気道暴露による毒性評価手法の開発、高度化に関する研究
課題番号
H17-化学-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
小川 幸男(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター毒性部)
研究分担者(所属機関)
  • 菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター毒性部)
  • 長野 嘉介(中央労働災害防止協会日本バイオアッセイ研究センター病理検査部)
  • 辻村 和也(財団法人化学物質評価研究機構 日田事業所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
150,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
気化性化学物質の吸入リスク評価の基盤整備として、網羅的な遺伝子発現変動解析手法を吸入毒性学に適用する事により、日常生活に於いて使用、あるいは受動的に暴露される様々な気化性化学物質の安全性確保の為の、毒性発現メカニズムに基づいた、より迅速且つ正確・精密な吸入毒性評価システムを作成することを目的とする。このために、シックハウス症候群を念頭に置いた極低濃度吸入暴露実験系を確立し、網羅的遺伝子発現情報を基にした吸入トキシコゲノミクスデータベース(吸入DB)の生成・分析を実施する。
研究方法
研究班は、吸入DBに特化した吸入暴露システムの開発・改良、及び吸入DB生成・分析の2部構成とし、前者についてはマウスを用いた低濃度短期暴露初期応答実験、及び、極低濃度持続暴露影響実験の研究、後者は吸入DB生成研究及び、吸入暴露と経口暴露の比較研究による分析促進研究から構成した。
結果と考察
吸入暴露システムの開発・改良研究として、現有暴露施設を極性気化性物質にも対応可能な低濃度暴露施設に改修し、ホルムアルデヒド低濃度ガス発生法と濃度の検出法を確定した。これを用い、マウス短期暴露(2時間)後の、肺及び肝の初期変動遺伝子発現を網羅的に取得した。本結果及び別途実施されたホルムアルデヒド経口暴露実験のデータとの比較解析から、暴露経路に依存した異物代謝系、エネルギー代謝系、DNA修復系等に関わる遺伝子発現が肺のみならず肝に於いても見出された。ホルムアルデヒドを例に、シックハウス症候群に対応する極低濃度に於ける持続暴露実験に対応する施設の整備に向け、過去の知見及び現在の吸入暴露技術等の資料を分析し、100 ppbから1 ppbの濃度で毎日22時間7日間吸入暴露する方法を検討し、次年度以降に実施すべく、極低濃度持続暴露実験方法として提案した。また、高感度有害性指標としての有用性を検討するために、シックハウス症原因4物質を経口投与したマウス血漿中のヒスタミン濃度を定量・検討した。
結論
ホルムアルデヒドについて、低濃度短期暴露のための施設改修を完了し、肺・肝の網羅的遺伝子発現情報を取得した。これにより、低濃度域での化学物質の経気道暴露による生体反応変化を捉えるために、網羅的遺伝子発現解析手法が有効であることが示された。また、次年度以降の極低濃度持続吸入暴露実験の実施に目処がついた。

公開日・更新日

公開日
2006-06-06
更新日
-