医薬品の取り違え防止の視点に立った薬剤師業務のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200501379A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の取り違え防止の視点に立った薬剤師業務のあり方に関する研究
課題番号
H16-医薬-027
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 秀昭(社団法人日本病院薬剤師会)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,260,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
病院薬剤師は、医療チ-ムの担い手として医療事故を未然に防止するための多くの役割を担っている。病院薬剤師の業務実態調査に基づき、各業務実施の有無とインシデントの発現頻度、処方監査による疑義照会等との関連性から、医薬品の取り違え等医療事故を防止するための病院薬剤師の業務フロ-(案)について検討した
研究方法
病院薬剤師の業務調査票(235設問)を280施設に郵送し、回答を得た186施設から(有効回答率77.8%)インシデント数を記載した一般病床114施設について検討した。疑義照会の現況調査のための「疑義照会実施状況に関する調査票」を479施設に郵送し、280施設から回答を得た(有効回答率58.4%)。(社)日本麻酔科学会に登録している352施設に、薬剤部(科)に回答いただく調査票-1と調査票-3及び手術部の麻酔科医等に回答いただく調査票-2からなるアンケ-ト用紙を郵送し、236施設から回答を得た(有効回答率67%)。業務項目ごとに実施施設と未実施施設でのインシデント発現頻度(インシデント報告数/平均入院患者数)の平均値を算出し、業務分類ごとにその平均値を比較した。
結果と考察
①患者情報に基づいた処方鑑査などの処方鑑査業務、医薬品の取り扱いなどの情報提供の業務、調剤済薬の払い出しの仕方の業務では、実施施設と未実施施設でインシデントの発現頻度に有意差(P<0.05)が認められた。②業務手順書による適正な処方鑑査、患者情報に基づいた処方鑑査、患者情報の医師への提供が、処方変更に大きく影響していることが判明した。③薬剤師のかかわりが強い施設は、手術部内の薬剤の管理及び取り扱い業務の実施率が高いことが判明した。④病棟での保管する医薬品の見直し、疑義照会の在り方、注射薬剤の混合及び注意事項などの情報提供などについて、いくつかの検討事項があがった。
結論
各薬剤師の業務と直接関連するインシデントとの比較ではなく、医薬品に関連するインシデントの発現頻度と比較することにより、病院薬剤師の活動が医療安全にどう関連するかと言うことを明らかにした点で非常に有益であった。これらの結果を踏まえ、医薬品の取り揃え等の医療事故を未然に防止するための病院薬剤師の業務フロ-(案)を作成した。

公開日・更新日

公開日
2010-06-01
更新日
-

文献情報

文献番号
200501379B
報告書区分
総合
研究課題名
医薬品の取り違え防止の視点に立った薬剤師業務のあり方に関する研究
課題番号
H16-医薬-027
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 秀昭(社団法人日本病院薬剤師会)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、医療の質の向上と安全の確保へ貢献するための薬剤師の業務の有り方について検討した。特に、処方鑑査による疑義照会のあり方と手術部の薬剤管理業務について検討し、薬剤師の業務フロ-(最終案)を提示した。
研究方法
1. 疑義照会の現況調査のための「疑義照会実施状況に関する調査票」を479施設に郵送し、280施設から回答を得た(有効回答率58.4%)。
2.  病院の薬剤師の業務実態調査結果(平成16年度厚生労働省科学研究報告書参照)と入院の内用剤・外用剤、注射剤の処方鑑査による処方変更率を比較した。
3.  (社)日本麻酔科学会に登録している352施設に、薬剤部(科)に回答いただく調査票-1と調査票-3及び手術部の麻酔科医等に回答いただく調査票-2からなるアンケ-ト用紙を郵送し、236施設から回答を得た(有効回答率67%)。
4. 看護師との談話会を開催し、薬剤師業務のあり方について意見交換
結果と考察
1. 業務手順書による適正な処方鑑査、患者情報に基づいた処方鑑査、患者情報の医師への提供が、処方鑑査による処方変更に大きく影響していることが判明した。
2. 麻酔科医は、危機管理の一環として薬剤の適正管理が非常に重要な業務と位置付け、薬剤の専門知識を学んだ薬剤師が責任を持って薬剤を管理すべきとした。しかし、各薬剤の管理業務への薬剤師の積極的なかかわりが求められた。
3. 談話会より、薬剤師は調剤済薬についても積極的な情報提供が重要である、病棟での保管する医薬品の見直し、疑義照会の在り方、注射薬剤の混合及び注意事項などの情報提供などについて、いくつかの検討事項を明らかにした
結論
薬剤師は、薬の専門家として適正な処方せんの確定、手術部内の薬剤の適正な管理に積極的に取り組み、医療の質の向上と安全の確保に貢献すべきである。

公開日・更新日

公開日
2010-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-09-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501379C

成果

専門的・学術的観点からの成果
各薬剤師の業務と直接関連するインシデントとの比較ではないが、医薬品に関連するインシデントの発現頻度に病院薬剤師の業務が関連していることを明らかにした点で非常に有益であった。
臨床的観点からの成果
医薬品の取り違え等の医薬品関連の医療事故を未然に防止するための病院薬剤師の業務フロ-(最終案)の作成に有用であった。今後、「質の高い安心・安全な薬物療法の実現」に向け、病院薬剤師としての責任ある業務を推進するための資料として有用である。
ガイドライン等の開発
医薬品の取り違え防止にかかわる医療事故を防止するための病院薬剤師の業務指針(手術室も含め)を提示した。この提示は、医薬品の安全使用のための業務に関する手順書作成の参考資料として有用されている。
その他行政的観点からの成果
「入院時に患者が持参した薬(持参薬)の安全管理」等医療安全の対策を講じる参考資料として使用された。
その他のインパクト
佐藤秀昭、他、医薬品の取り違え防止の視点に立った薬剤師業務のあり方、
  第60回国立病院総合医学会 シンポジウム(薬剤業務の更なる展開-医療安全への貢献-3)

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
佐藤 秀昭、遠藤 一司
医薬品の取り違え防止の視点に立った薬剤師業務のあり方
国立医療学会誌 医療 , 61 (10) , 673-675  (2007)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-