文献情報
文献番号
200501144A
報告書区分
総括
研究課題名
輸血用血液製剤の安全性向上に関する研究
課題番号
H17-医薬-057
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
水落 利明(国立感染症研究所血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
血液を介して伝播するウイルスであるHBV, HCV, HIV-1の感染が疑われる輸血用血液製剤、及び血漿分画製剤について、ウイルス感染の血清学的診断法の最適化を目指した検討を行なうことが本研究の目的である。本研究により得られる知見は、今後実施される輸血前後での感染症マーカー検査法の選択において有用な情報を提供することが期待される。
研究方法
genotype別HBs抗原検体:北海道赤十字血液センター、台湾FDAよりの供与、あるいは市販の血漿を用いた。それらの血漿検体からクローニングされたHBV遺伝子の配列を決定し、確認した後、各genotypeのrecombinant HBs抗原遺伝子を発現ベクターに組み込み、HuH-7細胞に遺伝子導入し、培養上清を回収した。HBs抗原検出キット:HBs抗原検出に使用したキットは、国内で販売されている10種類の高感度HBs抗原検出キットである。Genotypeの異なるHCVコア抗原の作成:Genotype 1a, 1b, 2a, 2b, 3aのHCVに感染した肝炎患者よりHCV遺伝子をクローニングし、各gentoypeのコア抗原を、ヒト肝由来細胞で発現させた。Subtypeの異なるHIV-1感染性分子クローンの樹立:様々なsubtype(A, B, C, D, G)及びCRF(組換体)(CRF01_AE, CRF02_AG)のHIV-1感染性分子クローンを樹立した。
結果と考察
現在国内で承認を受けて販売されている10種類の高感度HBs抗原検出キットにおいては、全てのHBV genotype (A - H)由来のHBs抗原を陽性と判定することが確認できた。 これまで、genotype FおよびHのHBVは遺伝子系統樹解析から、他のgenotypeのHBVとは若干類似性が低いことが示されており、そのために、これら2つのgenotype由来のHBs抗原が、現存の検出キットで効率良く検出できるかどうかについては議論があった。しかし、本研究の結果から、これら2つのgenotype由来のHBs抗原も、他のgenotype由来のHBs抗原と同様に感度良く検出できることが示された。
結論
国内で販売されている10種類の高感度HBs抗原検出キットを用いて、これまでに世界中で報告されている全てのHBVgenotype (A - H)由来のrecombinant HBs抗原について測定を行った。その結果すべてのキットにおいて、genotypeの違いにかかわらずHBs抗原を検出できることが確認された。
公開日・更新日
公開日
2009-04-23
更新日
-