若年献血者数増加の為の非献血者の意識構造に関する研究

文献情報

文献番号
200501143A
報告書区分
総括
研究課題名
若年献血者数増加の為の非献血者の意識構造に関する研究
課題番号
H17-医薬-056
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
田久 浩志(中部学院大学人間福祉学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
2,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、申請者の所属する福祉系大学学生とネットを利用した調査会社の協力により得られる若年対象者に、なぜ献血に来ないかの意識を調査し、若年者の献血に対する意識構造を検討し、献血未経験者を実際に献血行動に移させるための効果的な手法を検討するものである。
研究方法
 最初に対象としたG県C学院大学の学生337人に、献血の参加の回数、ここ一年の献血の参加の有無、献血への理解の程度、献血への協力の意思などを質問した。その後、献血に行かなかった者にその理由とどうすれば参加するかなどを質問した。回答者全員に、献血時の採血の痛み(経験の無い者にとっては痛みの予想)、健診の採血の痛み、健康を害する可能性、感染の可能性への不安、どの程度までの痛みなら献血にいくかを質問した。
痛みの評価は5段階のフェーススケールを用いた。調査票で献血の意義や重要性を提示して回答者に簡単な学習をさせた前後での、献血への理解の程度、献血への協力の意思、実際に献血に行くかの変化を求めた。
 注射、採血の痛みを気にする者は、気にした段階で献血から逃避する傾向があり、これらの非献血協力者を対象に、プロモーション活動をするのは効率が悪いと考えた。そこで献血に協力する気持ちのある者のみをネット上で調査した。
結果と考察
 ネットを用いた調査会社の協力を得て、全国の19-26歳、1698名を対象とした。
 大学学生で事前に得た実際の献血の痛みの値と共に、献血の意義をネット上の者に提示した。そして、今後、献血を行うであろうと答えた者の、今まで献血をしなかった理由をロジスティック回帰分析で求めた。その結果、男性では、不安が感じなくなればオッズ比=2.08、女性では、注射が痛くないと献血会場の場所の情報を得る、の両方の条件を満たせばオッズ比=3.16と上昇することが明らかになった。
結論
 本調査では献血に協力する気持ちのある者1698名が、どの程度実際に献血にいくかを定量的に明らかにした。しかし、回答者の実際の献血行動を求めたものではない。一方、今回の調査の仕組みを用いるとネット上で同一人物に再調査が可能である。そのため今後は、実際に献血に行くと言った者を追跡調査し、実際に献血にいった者と行かなかった者のケースコントロールスタディが必要であることを指摘したい。

公開日・更新日

公開日
2007-04-13
更新日
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