輸血用血液製剤中のエンドトキシンに関する研究

文献情報

文献番号
200501142A
報告書区分
総括
研究課題名
輸血用血液製剤中のエンドトキシンに関する研究
課題番号
H17-医薬-055
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
遠藤 重厚(岩手医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 信博(岩手医科大学 医学部)
  • 諏訪部 章(岩手医科大学 医学部)
  • 浅井 康文(札幌医科大学 医学部)
  • 池田 寿昭(東京医科大学 医学部)
  • 真弓 俊彦(名古屋大学 医学部)
  • 坂本 照夫(久留米大学 医学部)
  • 徳永 章二(九州大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
無菌的手術時に輸血を施行した患者のエンドトキシン値が上昇するという症例を散見(測定時の汚染ではないことを確認済み)し、輸血に用いた濃厚赤血球で5.3%、凍結人血漿で20%、血小板で7.4%のエンドトキシン陽性率を確認した。直接血中に入る血液製剤中においてエンドトキシンが検出されることは、エンドトキシンの有する生物活性を考えると非常に憂慮される問題である。特に大量輸血を行う患者は、侵襲により易感染症の状態にあり、血中のエンドトキシンにより種々の細胞が活性化され何らかの合併症が惹起される可能性も考えられる。血液製剤の安全性を確立するために、血液製剤中のエンドトキシン陽性率、エンドトキシン陽性の血液製剤の生物活性について検討する必要がある。また、プロカルチトニン、可溶性CD14サブタイプ、炎症性サイトカインの測定により、検出されるエンドトキシンが献血由来であるのか、献血後の血液の処理過程における汚染なのかを検討する。
研究方法
大量に輸血を行う機会の多い全国の救命救急センターを中心に、輸血用に供給される赤血球、凍結人血漿、血小板中のエンドトキシン値を測定する。
血液製剤中の可溶性CD14サブタイプ、プロカルチトニン、IL-6等の炎症性サイトカインのマーカーとなる因子について測定する。
結果と考察
濃厚赤血球278検体、凍結人血漿13検体、血小板67検体、計358検体について比濁時間法を用いたエンドトキシン高感度測定法で測定した結果、その値は濃厚赤血球で平均48.3pg/mL(1.03?514.2pg/mL)、凍結人血漿で平均7.73pg/mL(15.0?6.23pg/mL)、血小板で5.8pg/mL(3.8?12.2pg/mL)であり、我々が研究当初に確認していたエンドトキシン陽性率に変化は認められなかった。
結論
血液製剤中のエンドトキシン陽性例については全て再検を行ったが、陽性率については研究当初の認識を覆す結果は得られなかった。これまでの測定では濃厚赤血球を中心に行ってきたが、今後は凍結人血漿、血小板についても検体数を増やし、血液製剤中のエンドトキシンの検出について同定すべきと考える。また、一部の検体において真菌感染症の診断マーカーとして用いられたβ-グルカンも上昇することが判明したため、今後エンドトキシンと同時に測定する予定である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
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