GCPの運用と治験の倫理的・科学的な質の向上に関する研究

文献情報

文献番号
200501138A
報告書区分
総括
研究課題名
GCPの運用と治験の倫理的・科学的な質の向上に関する研究
課題番号
H17-医薬-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
景山 茂(東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター薬物治療学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 大橋 京一(大分大学医学部臨床薬理学)
  • 渡邉 裕司(浜松医科大学医学部臨床薬理学講座)
  • 小林 真一(聖マリアンナ医科大学薬理学)
  • 堀内 龍也(群馬大学大学院医学系研究科)
  • 藤原 康弘(国立がんセンター中央病院第一領域外来部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,630,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 わが国における治験の現状を踏まえ、GCPの運用改善と治験の倫理的・科学的な質の向上を検討することが本研究の目的である。
研究方法
 治験に関する豊富な経験を有する専門家により構成された本研究班の各分担研究者による国内外の調査・分析、研究班会議における検討、厚生労働省「治験のあり方に関する検討会」への情報提供および検討会の検討結果の分析等により、制度改正・運用改善の要点・方法を明らかにする。
結果と考察
(1) 治験審査委員会の設置・治験審査のあり方
 GCP第27条の一部改正により、専門分野の委員の確保が難しい場合などに、外部のIRBに審査の一部または全てを行わせること、および、特定非営利活動法人(NPO)がIRBの設置主体となることを可能とすべきとする政策提言を行った。また、IRBの質を確保するための条件、研修のあり方、登録制度、IRB設置主体となり得るNPOの条件等についても明らかにした。
 成立要件を満たす委員の出席を求めずに審査を行う「簡略審査」(名称は未確定)のあり方についても検討し、簡略審査の対象となる事象、成立要件、手順などについての考え方を明確にした。
(2) 効果安全性評価委員会および治験調整委員会のあり方
 設置が任意であるためこれまで実態把握・標準化が行われなかったこれら委員会について、アンケート調査等により、実態把握が行われた。概ね適切に活用されていることが明らかとなった。
(3) 治験における安全性情報の伝達
 医師主導型の効能追加治験における海外個別症例報告を当局への報告義務の対象から除外し、被験者の安全性に直接関わるような安全性情報に、より焦点が絞られるよう政策提言を行った。
(4) 医師主導治験の実施のあり方
 医師主導型の効能追加治験における治験薬入手経路の拡大、概要書作成の際の負担軽減を提言した。
結論
 治験を実施することは可能であるが、IRB委員の確保が難しい施設においては、外部のIRBに審査の一部または全てを委託することが可能になった。これにより多施設共同治験においては中央IRBシステムが可能となった。また、NPOにもIRBの設置を認めたことにより、良質なNPOによるレベルの高いIRBが設けられることが期待される。
 効能追加治験において海外個別症例報告は、製薬企業と医師主導治験実施グループの双方から当局に報告され、治験実施グループの負担が過大であったが、この負担が軽減されることにより、医師主導治験が促進されるものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2006-04-25
更新日
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