献血時の問診、説明と同意に関する研究

文献情報

文献番号
200501128A
報告書区分
総括
研究課題名
献血時の問診、説明と同意に関する研究
課題番号
H17-医薬-054
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
中島 一格(東京都赤十字血液センター)
研究分担者(所属機関)
  • 清水 勝(杏林大学医学部)
  • 高橋 孝喜(東京大学医学部)
  • 山口 一成(国立感染症研究所)
  • 佐竹 正博(東京都赤十字血液センター)
  • 平山 文也(大阪府赤十字血液センター)
  • 俵 国芳(日本赤十字社血液事業本部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
献血者に対する問診票を用いた問診は、献血者の安全確保と安全な血液の確保にとって不可欠である。輸血に関連する感染症情報、血液センターの検診医や献血者の意見、海外血液センターの情報などを集約し、効果的な問診のために適切な問診票の改訂を検討する。
研究方法
現行問診票に関する問題点、改善を要する事項を整理し、その結果を踏まえて二つの改訂案を作成した。現行問診票とこれらの改訂案について、血液センターの献血現場の職員217名を対象にアンケート調査を実施し、評価と意見を求めた。
結果と考察
部分的改訂案(案①)と質問を42項目に細分化した全面的改訂案(案②)を作成した。研究班では案②が望ましいとの意見であったが、血液センターの職員は、案①が望ましいが40.6%、案②が51.6%で、案②を支持した人でも「42の質問数は多すぎる」、「回答に時間がかかりすぎる」という意見が多かった。専門用語が多すぎる、字数が多すぎる、との指摘もあったが、個々の質問内容については適切とする回答が多かった。献血者の負担が増加するような改訂には否定的で、献血離れを心配する意見もあった。海外渡航、HIVリスク、病歴、服薬等に関する必要最低限の改正を求める意見が多かった。
案②では献血者の負担が大きいので定期的献血者には問診を簡略化することを前提にしているが、初回献血者に対してはインタビュアー等が献血前に十分な説明をし、献血の同意を得て丁寧な問診を行うこと、さらに、初回の申告情報をシステム入力し、次回以降の献血時に問診履歴を参照できることが必要である。上記の条件を考慮すると、案①のように現行問診票の部分改訂を早急に実施し、問診環境が整備された時期に案②のような全面改訂した問診票を導入するのが現実的であると思われる。
結論
血液センターの職員は、献血者の負担や献血者対応の困難さから、問診票の全面改訂より必要最低限の改訂にとどめる意見が多かった。改訂案の質問内容、表現、用語等については社会心理学者やHIVのカウンセラー等の意見を求めて修正し、さらに改訂案に対する献血者の意識調査を行うことが必要である。その上で現行問診票の問題点に関する部分改訂を速やかに実施し、環境整備を進めつつ全面的な改訂を検討すべきである。

公開日・更新日

公開日
2009-04-20
更新日
-