麻薬植物の不法栽培地域での代替え薬用植物の導入研究

文献情報

文献番号
200501121A
報告書区分
総括
研究課題名
麻薬植物の不法栽培地域での代替え薬用植物の導入研究
課題番号
H16-医薬-064
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
佐竹 元吉(お茶の水女子大学生活環境研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 関田節子(遠島文理大学香川薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 ミャンマー連邦山間地域の麻薬植物のケシ栽培を中止するために、少数民族は重要な営農の一環として、代替え植物を見つけだし、ケシ栽培を中止させることを目的とした。また、野生薬用植物の資源保護やミャンマー連邦での薬用植物の栽培を振興し、健康増進に役たつ知識の普及、国内外での薬用植物の利用の拡大などの行うことを目的とする。
研究方法
ミャンマー北部カチン州に研修薬草園を作り、ケシ不法耕作地域の人を呼んで指導を行う。本研究の代替え薬用植物を選択するために、100種の植物を導入しその生育成果を観察する。現地周辺で常用な薬用植物を見つけだし、その栽培化を試みる。ケシ栽培者の経済的自立のために、生活環境を調査し、有望植物を選択する。3試験場でケシ生育地への移植苗作りを行った
カチン第一独立軍支配下のケシ不法栽培地域の薬草栽培を本格的に開始する。
生活環境の水環境(微生物汚染や農薬汚染)の調査及び成分特性の解明を検討した。
結果と考察
 ミャンマーのカチン州の山間部で、麻薬対策を実行するためにケシ不法栽培地周辺の焼畑地を
開拓し、研修の出来る薬草園を作った。この場所に、適する種類が種類が剪定されたので、セイロンの研修薬草園から多くの種類を移動した。また、ケシ不法栽培者を招いて、代替え植物の栽培法を教えてきた。
 野生薬用植物を調査して、有望なものは栽培化するために野生植物の分布調査が必要であり、さらに収穫品の加工調整法を確立して、現地の人達に教えることも必要である。
 付加価値の高い薬用資源植物の探索と有効成分の分離同定、新規薬用植物の栽培方法の検討を行ている。その他、採集したミャンマーの薬用資源植物の成分を抽出し、活性成分を単離した。
 
結論
当研究は多種類の薬用植物を導入することで、栽培植物の品目は適地的の適作をでき、高品質の生薬を生産することができる。現在、既に日本の漢方製剤連合体が生薬の購入旨の合意がされている。ミャンマーの野生植物が商品価値を持ち国際商品になったときの利益配分は種の多様性条約に基づくように条約を理解してもらうことも考えている。
この分野で国際的な研究を推進していくことは、わが国のみならず国際的な貢献に繋がるものである。
本年度は北部カチン独立軍の支配地域からの要請で東部に新たに研修薬草園・果樹園を作ることができた。JICAの機関誌で本研究の成果が国際的に注目された。ものである。

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
200501121B
報告書区分
総合
研究課題名
麻薬植物の不法栽培地域での代替え薬用植物の導入研究
課題番号
H16-医薬-064
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
佐竹 元吉(お茶の水女子大学生活環境研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 関田節子(徳島文理大学香川薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 麻薬の供給遮断という側面から、麻薬代替作物として、商品価値の高い薬用植物や果樹のミャンマー北部における導入を行う。加えて、現地の自生薬用植物からの選抜も視野に入れ、有用性とともに栽培適性を探る。
研究方法
 麻薬耕作従事者に作物栽培技術を伝達し栽培を担当させる。試験栽培地ごとの営農候補植物を絞るため、生育状況を観察し、収穫物の品質を確認する。流通経路を想定し、多くの栽培種を試験栽培し、作物ごとにより適地への移動を試みる。自生の植物から生理活性物質の探索を行う。
結果と考察
 2001年からはじめ、数年かけて栽培を続けて初めて適性種としての可能性が高い物が確認されはじめた。適性作物がある程度把握できたため、セイロン地区の栽培試験地はいくつかの果樹を住民に残し、閉鎖し、種類を加えながら、更にカチン州内のロッピー及びメイミョウでの試験栽培を開始した。いくつかの種については、更に北方への移動も考える必要がある。自生植物からの耕作候補種の探索にも力を入れ、抗リューシュマニア原虫活性をもつものを見い出した。麻薬栽培地すなわち代替作物耕作地区の自然環境の調査も行い、適性作物の選択に必要な情報が幅広く得られつつある。また耕作者側の生活環境に関する状況も耕作種選抜に必要な情報として収集された。
結論
 各地への各種植物の栽培適性が数年をかけて解明され始めた。適性種の選抜がある程度整ってきたが、今後大量栽培へ移ると候補が減るため、継続して最適栽培種及び栽培地の探索が必要となると考える。そして今後、候補種の栽培・収穫技術改善のみならず、流通経路の開拓につなげていく必要が考えられた。また、自生植物の中にリューシュマニア原虫阻害活性物質が見いだされ、麻薬に対抗するための商品付加価値化の可能性を示した。

公開日・更新日

公開日
2010-05-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
200501121C

成果

専門的・学術的観点からの成果
乱用薬物の生産地であるミャンマーはケシのみならず、覚醒剤MDMAの生産も行っている。このため、この中心的な少数民族の麻薬から離れた経済的自立こそが唯一の方法である。今回の導入し、栽培指導した植物が、活用されることを期待したい。また、自国の薬用植物の活用もミャンマー国民の健康増進に寄与と思われる。新規活性成分の活用も期待される。国際的に孤立化した国に深く入りもめたことは、日本外交にも役立つと思われる。
臨床的観点からの成果
中国で汎用されている生薬がミャンマーのに自生し、中国での輸入が期待されている。これらの植物(重楼、黄精、ミャンマー人参等)の活性に関しては今後の研究課題である。
麻薬患者がケシ耕作地で若年化し、また、麻薬中毒者のエイズ感染率も増加している。麻薬地帯の一掃は、ミャンマーだけでなく周辺諸国の健康増進にも重要な課題である。
ガイドライン等の開発
麻薬代替え植物の栽培指針をミャンマー語または中国語(少数民族の多くは中国系)を作れば、今回の成果は広く、ゴールデントライアングルデ活用されると思われる。日本における薬用植物栽培指針は参考になると思われる。WHOで作成した"WHO guidelines on good agricultural and collection practices (GACP) for medicinal plants”が参考になると思われる。
その他行政的観点からの成果
ミャンマーが国際的孤立されている現状から脱却するためには日本政府の積極的支援が不可欠である。今回山間部の少数民族の族長達と話すと親日的である。国際的要請から動き出した麻薬対策を突破口として、日本の進出を期待したい。
その他のインパクト
朝日新聞の人でミャンマーで麻薬対策に取り組む佐竹元吉が紹介された。(2004.3.1)
JICA機関誌でミャンマープロジェクトが紹介された。(2004.8)
朝日放送系列の”心の灯火”で、ミャンマーで活躍する佐竹が取り上げられた。(2004.8.)
お茶の水ミャンマーフォ-ラムが毎年開催されている。(大学校内で3回、4回、5回が行われた)
ミャンマーの麻薬活動を横浜市教育委員会で、小学生、中学生対象に講演した。(2005.6.)

発表件数

原著論文(和文)
4件
Flowers in Myanmar,1,2,3
原著論文(英文等)
4件
Project for Alternative Plants for Opium Poppy in Myanmar
その他論文(和文)
6件
ミャンマーの麻薬地帯の消滅のための活動
その他論文(英文等)
5件
The surface water quality and information about the environment surrounding Inle Lake in Myanmar
学会発表(国内学会)
5件
日本薬学会2006年回 ケイシ属植物の果実の成分
学会発表(国際学会等)
1件
Forum for harmonization of herabal medicin, First Sympodium in Sanghai
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
2件
東南アジア麻薬担当者会議(外務省)、ミャンマー麻薬担当者会議(外務省)の開催
その他成果(普及・啓発活動)
5件
衆議院議員会館内のミャンマー研究会で講演、

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Motoyoshi Satake
An Ambitious Attempt in the Golden Triangle; Project for Alternative Plants for Opium Poppy in Myanmar
Farming Japan , 39 (3) , 37-43  (2005)
原著論文2
Motoyoshi Satake, I-Jung Lee
Flowers in Myanmar,(1)Medicanal Plant
AROMA RESEARCH , 21 (6) , 94-97  (2005)
原著論文3
Motoyoshi Satake, I-Jung Lee
Flowers in Myanmar,(2)
AROMA RESEARCH , 19 (5) , 83-83  (2004)
原著論文4
Motoyoshi Satake, I-Jung Lee
Flowers in Myanmar,(3)
AROMA RESEARCH , 18 (15) , 88-91  (2004)
原著論文5
赤石、大瀧、佐竹
ミャンマーの水環境
生活工学雑誌  , 7 (1) , 96-99  (2005)
原著論文6
佐竹元吉
ミャンマーの麻薬地帯の消滅のための活動 
Tea Time , 9 , 7-7  (2005)
原著論文7
.N.Tomimaga, F.Akaishi, M.Satake
The surface water quality and information about the environment surrounding Inle Lake in Myanmar
Limnology in press  (2006)
原著論文8


公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-