有害事象に関与する薬物動態相互作用に関する研究

文献情報

文献番号
200501118A
報告書区分
総括
研究課題名
有害事象に関与する薬物動態相互作用に関する研究
課題番号
H17-医薬-027
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 隆一(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 三宅 真二(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部 )
  • 北條 泰輔(国立がんセンター 中央病院)
  • 杉山 雄一(東京大学大学院 薬学系研究科)
  • 頭金 正博(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
有害事象に関わる薬物動態相互作用の添付文書による情報提供の現状と問題点を明らかとするとともに、抗がん剤併用療法における有害事象情報を明らかとし、より安全な薬物治療に資する。また、トランスポーターによる細胞膜透過過程における薬物間相互作用を定量的に予測するための評価方法の確立、並びに医薬品の代謝相互作用を評価するためのインビトロアッセイ系を構築することを目的とする。
研究方法
第二相薬物代謝酵素を介する薬物相互作用について、日米英の添付文書を調査・比較した。国立がんセンター中央病院では5FU/l-LV、CPT-11、FOLFIRI、FOLFOX療法の有害事象発生率を診療録より収集し、単剤投与と併用投与での発生率の違いを解析するとともに、添付文書における副作用発生率と比較した。また、ヒト腎組織から切片を作成し、メトトレキサート(MTX)の取り込みに対するNSAIDsとプロベネシドによる阻害効果を検討した。ヒト肝癌由来培養細胞株HepG2では、CYP3A4のプロモーター領域を用いたレポータープラスミドとヒトCAR、ヒトVDR、ヒトPXRの発現プラスミドを種々の組み合わせで共トランスフェクションし、転写活性を測定した。
結果と考察
日本の添付文書では10成分についてグルクロン酸抱合に関する使用注意/禁忌があり、日米英で同程度の情報提供であったが、機序等の記述を新しくすべきと思われた。抗がん剤併用による有害事象については現在解析中であるが、有害事象を日常診療と添付文書とで比較検討した結果をもとに薬剤管理指導業務に反映させ、安全ながん薬物療法に貢献したい。また、ヒト腎組織切片を用いた輸送実験系を確立し、NSAIDsとプロベネシドによるMTXの取り込み阻害を示した。HepG2細胞におけるCYP3A4の誘導では、リガンド非依存下のhPXRとhVDRは、hCARの転写活性能を抑制した。
結論
第二相薬物代謝酵素に関する添付文書では緊急に改正すべき事項はなかった。抗がん剤併用での有害事象発生率の比較では、投与法や支持療法の実施など条件の違いによる発生率の違いが生じる可能性が明らかとなった。一部のNSAIDsとプロベネシドについては、腎での取り込み過程の阻害の結果、MTXの消失遅延が生じたことが示唆された。また、HepG2細胞を用いて、インビボに近い条件でCYP3A4の誘導を評価するインビトロアッセイ系を構築した。

公開日・更新日

公開日
2006-06-19
更新日
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