医薬品の製造方法等の変更に伴う品質比較に関する研究

文献情報

文献番号
200501116A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の製造方法等の変更に伴う品質比較に関する研究
課題番号
H16-医薬-044
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
奥田 晴宏(国立医薬品食品衛生研究所 有機化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 川西 徹(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 檜山 行雄(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 鹿野 真弓(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 生物系審査部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
6,480,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は製造方法の管理が承認事項となったことを踏まえ、承認申請書に記載すべき製造方法及びその管理方法の概略を明らかにすることを第一の目的とした。その上で、製造方法等の変更が品質に及ぼす影響について考察し、「軽微な変更」の範囲を具体的に明らかにすることにより軽微変更制度の円滑な運用を図るとともに、医薬品の品質の恒常性を維持し、薬事行政に資することを目的とした。
研究方法
ICH安定性ガイドラインおよび欧米の安定性ガイドライン、特に製造方法変更時に要求される安定性試験に関して検討した。
Process Analytical Technology(PAT)に代表される新しい技術及び保証体系に対する製造法の承認書記述及びGMP管理に関する考察を、欧州製薬協(EFPIA)からの「製剤開発」のモックと「提案」に基づきすすめた。
承認申請書へ記載すべき範囲・事項をもとに、ICH-Q6Bガイドラインの適用対象である組換え医薬品を例に、製造方法の記載例を検討した。
前年度において調査をしたFDAでのシステムを参考に総合機構内での横断的な枠組みの構築を検討し、総合機構内関係者の協力・了解を得て軽微変更連絡会議を設置した
結果と考察
欧米においては医薬品の特性及び製造方法等の変更の程度に応じた安定性の事前評価と事後の安定性評価のコミットメントが求められていた。我が国の製法変更に伴い、事後安定性評価を実施する方が品質維持に有効と考えた。
薬事法改正後の生物薬品の承認申請にあたって、製造工程に関して承認申請書へ記載すべき事項を明らかにするとともに、ICH-Q6Bの適用対象であるバイオテクノロジー応用医薬品を例に、承認申請書への製造方法に関する記載例の検討を行った。
新技術・保証体系の導入にあたり、企業、行政とも今後の努力が必要である。企業側においては、デザインスペースの構築・確保という開発行為の充実及び技術移転などの管理監督システムの構築が必須である。
機構全体として、相談に共通した問題点を整理し、Q&A案を作成して審査管理課から事務連絡として発出するよう要請した。また、平成17年12月には業界向けの説明会を開催した。
結論
生物薬品に関しては承認書記載例を作成するとともに、化学薬品に関しては現実に運用する際に想定されるポイントを取り上げ、今後の円滑な制度の運用に供することとした。さらに実際に運用上の問題に関する解決案を示した。

公開日・更新日

公開日
2006-04-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200501116B
報告書区分
総合
研究課題名
医薬品の製造方法等の変更に伴う品質比較に関する研究
課題番号
H16-医薬-044
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
奥田 晴宏(国立医薬品食品衛生研究所 有機化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 川西  徹(国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部)
  • 檜山 行雄(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 鹿野 真弓(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 生物系審査部)
  • 谷本 剛(国立医薬品食品衛生研究所大阪支所 薬品試験部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は製造方法の管理が承認事項となったことを踏まえ、承認申請書に記載すべき製造方法及びその管理方法の概略を明らかにすることを第一の目的とした。その上で、製造方法等の変更が品質に及ぼす影響について考察し、「軽微な変更」の範囲を具体的に明らかにすることにより軽微変更制度の円滑な運用を図るとともに、医薬品の品質の恒常性を維持し、薬事行政に資することを目的とした。
研究方法
2通りの研究アプローチを実施した。一つは各分担研究者による調査研究であり、もう一つは、分担調査研究結果を踏まえつつ、主任及び分担研究者による望ましい我が国の品質規制あり方に関するブレーンストーミングによるアプローチである。各分担研究者は欧米等の医薬品品質に関するガイドラインに関する調査ならびにICHガイドラインM4(品質)及び本研究と時期を同じくして議論されているICHガイドライン Q5E、Q8,Q9を多角的に検討した。ブレーンストーミングには医薬品業界研究者も参画した。なお、谷本博士は平成15年度に参画した。
結果と考察
軽微変更制度の円滑な運用のための枠組みを明らかにした。即ち、目標値・設定値の概念の導入、新薬承認申請時に予め一変申請事項と軽微変更届出事項を区別して申請すること、軽微変更届出の適格性はGMP査察で確認されることなどの運用上の骨子が組み立てられた。操作パラメータを目標値・設定値として取扱い、各値の管理すべき巾に関しては承認書ではなくSOP等に記載することにより、工程管理に関して柔軟な規制を可能とすることが出来た。この取扱いは、化学薬品のみならず生物薬品についても場合よっては適用出来るとされた。
製造場所及び製造方法の記載内容、製造方法に関する一変/軽微届出の区別、製造方法に関する一変申請対象事項を例示した。
生物薬品、化学薬品原薬及び製剤(錠剤、注射液、凍結乾燥注射剤)については承認申請書のモックアップを作成した。
結論
品質に関わる欧米のガイドラインを分析し、更に産業界研究者・審査担当者との議論を通じて、目標値・設定値の概念の導入、新薬承認申請時に予め一変申請事項と軽微変更届出事項を区別して申請すること等の軽微変更制度の運用上の骨子が組み立てられた。更に承認申請書のモックアップを作成した。これらの検討結果は軽微変更に関する通知の重要な基礎資料となった。

公開日・更新日

公開日
2006-04-24
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501116C

成果

専門的・学術的観点からの成果
軽微変更制度の円滑な運用のための枠組みを明らかにした。目標値・設定値の概念の導入,新薬承認申請時に予め一変申請事項と軽微変更届出事項を区別して申請すること、軽微変更届出の適格性はGMP査察で確認されることなどの運用上の骨子が組み立てられた。操作パラメータを目標値・設定値として取扱い、各値の管理すべき巾に関しては承認書ではなくSOP等に記載することにより、工程管理に関して柔軟な規制を可能とすることが出来た。この取扱いは、化学薬品のみならず生物薬品についても場合よっては適用出来るとされた。
臨床的観点からの成果
本研究は臨床的有効性・安全性の基礎となる医薬品の品質保証に関する研究であり、臨床的観点から直接的な成果を期待する研究とは性格を異にしている。
ガイドライン等の開発
化学薬品新薬及び生物薬品新薬を対象とし、製造場所及び製造方法の記載内容、製造方法に関する一変/軽微届出の区別、製造方法に関する一変申請対象事項の例を示すと共に、化学薬品原薬及び製剤(錠剤、注射液、凍結乾燥注射剤)については承認書記載例のモックアップを作成し、平成16年度中間報告書として厚生労働省審査管理課に提出した。これらの研究成果は平成17年2月10日薬食審第0210001号「改正薬事法に基づく製造販売承認申請書記載事項に関する指針について」の基礎資料となった。
その他行政的観点からの成果
平成17年2月10日薬食審第0210001号「改正薬事法に基づく製造販売承認申請書記載事項に関する指針について」の基礎資料となった。
その他のインパクト
本研究は医薬品製造と品質に関する研究であり、改正薬事法の運用と密接に関係していたので、医薬品産業界の関心は極めて高かったことから、改正薬事法に関する説明会において、本研究成果を発表した。

発表件数

原著論文(和文)
6件
原著論文(英文等)
19件
その他論文(和文)
14件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
47件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Ishii-watabe, E. Uchida, A. Kawanishi, T. et al
Detection of Replication-Competent Adenovirus Spiked into Recombinant Adenovirus Vector Products by Infectivity-PCR
Mol. Therapy , 8 , 1009-1016  (2003)
原著論文2
Noritake Hashii, Nana Kawasaki, Toru Kawanishi et al
Specific detection of Lewis x-carbohydrates in biological samples using liquid chromatography/multiple-stage tandem mass spectrometry
Rapid Commun. Mass Spectrom. , 19 , 3315-3321  (2005)
原著論文3
Satsuki Itoh, Nana Kawasaki, Toru Kawanishi, et al
N-linked oligosaccharide analysis by liquid chromatography with graphitized carbon column/linet ion trap-Fouries transform ion cyclotron resonance mass spectrometry in positive and negative ion modes
J. Chromatogr A , 1103 , 296-305  (2005)
原著論文4
Satsuki Itoh, Nana Kawasaki, Toru Kawanishi et al
Characterization of a gel-separated unknown glycoprotein by liquid chromatography/multiple tandem mass spectrometry. Analysis of rat brain Thy-1 separated by sodium dodecyl sulfate-polyacrylamide gel electrophoresis
J. Chromatogr A, , 1094 , 105-117  (2005)
原著論文5
Shingo NIIMI, Mizuho HARASHIMNA, Toru KAWANISHI et al
Expression of Annexin A# in Primary Cultured Parenchymal Rat Hepatocytes and Inhibition of DNA Synthesis by Suppression of Annexin A# Expression Using RNA Intereference
Biol. Pharm. Bull, , 28 , 424-428  (2005)
原著論文6
K. Takagi, R. Teshima, H. Kawanishi, T. et al
Kinetic Analysis of Pepsin Digestion of Chicken Egg White Ovomucoid and Allergic Potential of Pepsin Fragments
Int.Arch. Allergy Immunol , 136 , 23-32  (2005)

公開日・更新日

公開日
2014-05-27
更新日
-