ワクチンや抗がん剤など特殊な成分の医薬品における非臨床安全性試験の実施手法等に関する研究

文献情報

文献番号
200501111A
報告書区分
総括
研究課題名
ワクチンや抗がん剤など特殊な成分の医薬品における非臨床安全性試験の実施手法等に関する研究
課題番号
H16-医薬-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
井上 達(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,630,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
承認申請のための医薬品の非臨床安全性試験は、通常ICHでのガイドラインに準拠した試験が行われている。しかし既存のガイドラインでは評価が困難である特殊な医薬品もあり、個々の医薬品の特性に応じた適切な対応が求められている。本研究で取り上げるワクチンは、疾病予防のために用いられる性質上、一般の医薬品と異なり安全性確認の限界に近接した試験内容の考慮が求められている。また抗悪性腫瘍剤は対象疾病が致死的かつ緊急性を要し代替医薬品が限られるため非臨床安全性試験の結果が充分に適応されない可能性がある。以上の点に鑑みてワクチンと抗悪性腫瘍剤に注目してこの二つの課題に対してそれぞれ分担研究グループを構成し研究を進めることとしている。
研究方法
数次の班会議を開催し、米国FDA及び欧州共同体におけるガイドライン案の検討とその必要要件について討議しガイドライン案の策定にむけて逐次素案をそれぞれまとめた。
結果と考察
ワクチンの非臨床安全性試験の実施手法等に関する研究については、非臨床安全性評価の主な目的として、1)ヒトに適用される投与量の安全性を評価すること、2)毒性の標的となる恐れのある臓器を特定すること、3)発現した毒性が可逆的なものであるかを検討すること、4)臨床でのモニタリングを実施する際の安全性の評価項目を見出すことなどの留意点を整理し、動物での非臨床安全性試験により開発中のワクチンの有する潜在的な危険性を特定することとした。また抗悪性腫瘍剤の非臨床安全性試験の実施手法等に関する研究については、非臨床における安全性評価について、1)ヒトに適用する際の適切な初回投与量の設定、2)薬剤が有している毒性学的プロファイルの明確化、例えば毒性標的器官の特定と回復性など、3)安全域の推測、4)臨床での副作用モニタリングを実施する際の評価項目を見つけ出すことを主眼として、ガイドライン案の策定に向けて検討を進めることとした。
結論
ワクチンの非臨床安全性試験の実施手法等に関する研究では、既にガイドラインを策定している諸外国の例を参考に整理し、日本における当該ガイドライン策定のための基礎的資料をまとめている。最終年度にむけてガイドラインを策定すべく引続き抗がん剤の非臨床安全性試験の実施手法等に関する研究では海外での抗がん剤指針に関する情報を収集し、本邦での既承認抗がん剤で実施された試験と比較した。最低限必要な情報の種類を検討し、実効性のある内容でガイドラインの骨子を作成する。

公開日・更新日

公開日
2006-04-10
更新日
-