遺伝子組換え医薬品等のプリオン除去工程評価の方法に関する研究

文献情報

文献番号
200501110A
報告書区分
総括
研究課題名
遺伝子組換え医薬品等のプリオン除去工程評価の方法に関する研究
課題番号
H16-食品-019
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子細胞医薬部)
研究分担者(所属機関)
  • 永田 龍二(国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子細胞医薬部)
  • 堀内 基広(北海道大学大学院 獣医学研究科 プリオン病学講座)
  • 菊池 裕(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
11,401,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
細胞培養医薬品等の製造に用いられるウシ等反芻動物由来原材料に混入する危険性のある異常型プリオン(PrP-Sc)に対する安全性確保において、製造工程中のPrP-Sc除去工程の評価は重要である。本研究では、PrP-Sc除去工程に関する総合的なリスク評価を行い、科学的見地から安全性を確保するための合理的方策を提示することを目的とする。
研究方法
(1)ヒトT98G細胞株のプリオン蛋白質(PrP)及びスプライス変異型PrP各mRNA量を定量的PCRで定量した。細胞内分布は間接蛍光抗体法で調べた。(2)スクレイピー263K株感染ハムスター脳由来ミクロソーム画分(MF)、MFをサルコシル1%で処理した画分、又はMFを同3%で抽出した画分をPBS又は人免疫グロブリン5%に添加し、孔径0.22μmのPVDF膜で加圧ろ過した。(3)学術論文等の公表資料を対象に調査研究を行った。
結果と考察
(1)GPIアンカーシグナル配列が欠落したスプライス変異型PrP mRNAをT98G細胞が発現し、継代を重ねた後に長期間培養すると発現量が増加することを確認した。変異型PrP mRNAの発現量はPrP mRNAの0.002~0.004%であった。また、変異型PrPの核への移行が推定された。(2)MFからサルコシル3%で抽出したPrP-Sc画分をクリアランス評価のスパイク用試料とする有用性を検証した結果、より厳密な評価ができることが示唆された。PrP-Sc試料の種類と添加する試料溶液の組成との組合せで除去効果の評価結果が変化し得ることを実証した。(3)ろ過工程でのPrP-Scの除去効率に関する既報告内容を精査した結果、医薬品等製造工程中のろ過工程で通常用いられる条件下では、孔径の小さなろ過膜(例えば15nm)によるろ過がPrP-Sc除去に有効であること等の傾向を明らかにした。(4)ろ過工程及びクロマトグラフ工程を例として、実生産規模を適切に反映したクリアランス評価用スケールダウン試験系を設計した。(5)最近報告されたウシやヒトの血液中に微量存在するPrP-Scを検出する試験方法は、医薬品等のPrP-Sc安全性を確保する新たな方策の候補であることを明らかにした。
結論
医薬品等製造工程のPrP-Scクリアランス評価や除去工程に関する新規の知見や有用な結果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2006-04-14
更新日
-