献血により生じる健康被害の発生防止に関する研究

文献情報

文献番号
200501107A
報告書区分
総括
研究課題名
献血により生じる健康被害の発生防止に関する研究
課題番号
H16-医薬-076
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
河原 和夫(東京医科歯科大学大学院政策科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 比留間 潔(東京都立駒込病院輸血・細胞治療科)
  • 松崎 道男(虎の門病院輸血部)
  • 矢島 新子(有限会社厚生戦略研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
8,284,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、献血者の健康保護に資する救済制度を検討するとともにVVR等の採血に伴う副反応の実態を解明し、同時にこれらの副反応が生じにくい16、17歳男子献血者にとっても安全な採血基準を提示することが目的である。
研究方法
フランス、ドイツ、イギリスの献血者補償制度の調査を行った。日本赤十字社及び医療機関の協力を得てVVRなどの副反応の発生状況及び未成年男子の採血基準の見直しのためのデータを収集した。
結果と考察
3か国いずれも献血で生じた健康被害に関しては被害者に対し、見舞金ないしは償還払いなど、法令に拠る場合または法令に拠らない場合の別はあるにしろ、何らかの形式で補償を支払っていたが、いずれの国でも補償に関し直接政府が関与するという法律の規定はなかった。16、17歳男性の採血基準見直しについては、17歳男性供血者322名に400ml全血採血を実施した結果、採血中・採血後に5例(1.51%)のVVRを認めたが、コントロールの18、19歳群よりも低いなど400mL採血を17歳男性に拡大しても問題がない結論が得られた。また、医療機関での自己血採血時の有害事象は、女性に多く見られ、循環血液量が少ない患者に多く認められることが確認された。診療科別の副反応発生率は産婦人科、循環器外科、整形外科、脳外科領域の疾患で自己血採血時の副反応が起こりやすいことがわかった。
結論
研究成果は、わが国での献血者の健康被害に対する無過失救済制度の創設や採血に伴うVVRの発生予防手法の確立、そして未成年者を中心とした採血基準の見直しに際し、重要な資料となるものである。

公開日・更新日

公開日
2009-07-23
更新日
-

文献情報

文献番号
200501107B
報告書区分
総合
研究課題名
献血により生じる健康被害の発生防止に関する研究
課題番号
H16-医薬-076
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
河原 和夫(東京医科歯科大学大学院政策科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 比留間 潔(東京都立駒込病院輸血・細胞治療科)
  • 松崎 道男(虎ノ門病院輸血部)
  • 矢島 新子(有限会社厚生戦略研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、献血者の健康保護に資する救済制度を検討するとともにVVR等の採血に伴う副反応の実態を解明し、同時にこれらの副反応が生じにくい16、17歳男子献血者にとっても安全な採血基準を提示することが目的である。
研究方法
国内の無過失救済に関する資料を分析し、さらにフランス、ドイツ、イギリスの献血者補償制度の調査を行った。日本赤十字社及び医療機関の協力を得てVVRなどの副反応の発生状況及び未成年男子の採血基準の見直しのためのデータを収集した。
結果と考察
国内の文献分析からは、善意の献血者の健康被害の救済制度については、献血者に対する所得保障という社会保障政策の面から便宜上日本赤十字社の「見舞金制度」を拡充し、段階的に国が関与した救済システムを確立することも一法であると考えられる。また、上記3か国の調査では、いずれも献血で生じた健康被害に関しては被害者に対し、見舞金ないしは償還払いなど、法令に拠る場合または法令に拠らない場合の別はあるにしろ、何らかの形式で補償を支払っていたが、いずれの国でも補償に関し直接政府が関与するという法律の規定はなかった。わが国との法体系の違いが救済制度にも各国の独自性が出ているものと思われる。16、17歳男性の採血基準見直しについては、400mL採血を17歳男性に拡大しても問題がない結論が得られた。また、自己血採血時の有害事象は、女性や低体重者に多く見られた。診療科別の副反応発生率は産婦人科、循環器外科、整形外科、脳外科領域の疾患で自己血採血時の副反応が起こりやすいことがわかった。
結論
研究成果は、わが国での献血者の健康被害に対する無過失救済制度の創設や採血に伴うVVRの発生予防手法の確立、そして未成年者を中心とした採血基準の見直しに際し、重要な資料となるものである。

公開日・更新日

公開日
2009-07-23
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501107C

成果

専門的・学術的観点からの成果
2002年に制定された血液法は献血者の健康被害に対する無過失救済制度の早急な検討を課題として提起している。本研究は、わが国の無過失救済制度創設の問題点や英、仏、独の献血者救済制度を全容を明らかにし、この課題の解決方策を提示した。また、17歳男子の400mL採血の安全性を検証した。これらの成果は、本研究が専門的観点から根拠に基づいて初めて明らかにしたものである。
臨床的観点からの成果
従来、200mL採血しか許容されていなかった17歳男子の400mL採血の安全性を確立し、同時に同年代の自己血輸血の安全性とも対比したものである。これらの成果は、臨床的観点かた安全な献血体制を整備すること並びに医療機関での自己血輸血の安全性向上にも大きく寄与するものである。
ガイドライン等の開発
今後、自己血輸血のガイドラインの改定や日本赤十字社の採血基準の見直しに活用されることが期待される。
その他行政的観点からの成果
善意の献血者保護のための無過失救済制度を確立する際の参考資料として活用されるものである。加えて、わが国の血液事業の柱である安全性と安定供給を達成するために必須である採血基準の見直しのための唯一の資料である。
その他のインパクト
成果は、輸血関連合同班会議でも発表した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
献血者の救済制度の国際比較を行ったものである。
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
献血者の救済制度の国際比較及び自己血輸血をめぐる諸問題に関するもの
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
瞿 麗偉、河原 和夫
中国、上海と日本の輸血後感染者の健康被害救済制度について(Compensation systems for patients infected following blood transfusion in Shanghai
日本輸血学会雑誌 , 52 (3)  (2006)
原著論文2
藤谷 克己、河原 和夫
フランス、ドイツ、イギリスにおける献血者の健康被害に対する補償制度について
日本輸血学会雑誌 , 52 (5)  (2006)

公開日・更新日

公開日
2017-05-22
更新日
-