血液新法に伴う輸血管理体制と安全管理・適正使用マネジメントシステムの構築

文献情報

文献番号
200501094A
報告書区分
総括
研究課題名
血液新法に伴う輸血管理体制と安全管理・適正使用マネジメントシステムの構築
課題番号
H16-医薬-018
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 孝喜(東京大学医学部附属病院輸血部)
研究分担者(所属機関)
  • 今中 雄一(京都大学大学院医学研究科 医療経済学)
  • 大塚 節子(岐阜大学医学部附属病院 輸血部)
  • 紀野 修一(旭川医科大学附属病院 輸血部)
  • 窪田 良次(香川大学医学部附属病院 輸血部)
  • 佐川 公矯(久留米大学医学部附属病院 臨床検査部)
  • 坂本 久浩(茜会昭和病院)
  • 高松 純樹(名古屋大学医学部附属病院 輸血部)
  • 半田 誠(慶應義塾大学医学部附属病院 輸血センター)
  • 程原 佳子(滋賀大学医学部附属病院 輸血部)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学大学院 医療管理学)
  • 稲葉 頌一(神奈川県赤十字血液センター 所長)
  • 松崎 道男(虎の門病院 輸血部)
  • 比留間 潔(東京都立 駒込病院 輸血・細胞治療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成17年に改訂された「輸血療法の実施に関する指針」及び「血液製剤の使用指針」は、「安全かつ適正な輸血」の実践を強く要請している。
しかし、現実に推進されている医療機関は多くなく、自己血輸血の普及・適応の拡大も進んでいない。本研究では、輸血管理体制や輸血療法委員会の活動状況など、輸血に関する総括的アンケート調査に基づく「安全かつ適正な輸血の管理・使用マネジメントシステム」を各医療機関に提示し、さらには各医療機関の輸血療法委員会および各地域の合同輸血療法委員会を活性化し、適正輸血を推進することを目的とした。
研究方法
各医療機関の輸血管理体制および輸血療法委員会に関する項目を含む輸血に関する総括的アンケート調査を実施。また、2005年の自己血輸血を含む血液製剤の使用量、輸血使用患者数、血液製剤の廃棄量、院内同種血採血回数、末梢血幹細胞採取回数、血漿分画製剤の使用量などの輸血療法の実績に関して調査。
300床以上で、血液製剤の使用量が3000単位以上の全ての医療機関777を含む、1355の病院を対象とした。
結果と考察
300床未満303施設および300床以上554施設、計857施設(63.2.%)より回答を得た。
輸血検査・輸血用血液の一元管理体制が83.9%の施設で確立していた。9割以上の施設で輸血療法委員会または同様の委員会が設置されていたが、専任の輸血責任医師がいるのは75施設と少なく、適正輸血推進のリーダー不足の実態が判明した。
 「安全かつ適正な輸血医療」を実現するためには、各施設に輸血療法を指導できるような輸血療法委員会が設置され、有効に機能することが肝要と考える。適正輸血の重要性は認識されつつあることから、有用な実践マニュアルの最終案を作成し、輸血療法委員会の活動を明確に方向付けることが重要な鍵になる。
結論
「安全かつ適正な輸血医療の実践」が具体化し難い背景に、専任の輸血責任医師が存在
する医療機関が少なく、輸血療法委員会も、十分な成果が得られていないことが判明した。
輸血管理体制を構築するための人員の配置、院内適応基準の策定などとともに、輸血療法委員会による指導体制の強化が重要と考えらる。
本研究班では、安全かつ適正な輸血療法を実践するための輸血実施管理体制及び輸血療法委員会に関する実践的マニュアルの最終案を作成する予定である。
今後、各施設における輸血療法委員会を通じた適正輸血の推進、各地域の合同輸血療法委員会の活性化による適正輸血の推進について、活動を続けていきたいと考えている。

公開日・更新日

公開日
2009-04-20
更新日
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