ワクチン製造株の品質管理に関する研究

文献情報

文献番号
200501092A
報告書区分
総括
研究課題名
ワクチン製造株の品質管理に関する研究
課題番号
H16-医薬-015
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 篤(国立感染症研究所 ウイルス第3部)
研究分担者(所属機関)
  • 田代 眞人(国立感染症研究所 ウイルス第3部)
  • 岡部 信彦(国立感染症研究所 感染症情報センター)
  • 沼﨑 啓(国立感染症研究所 ウイルス第3部)
  • 海野 幸子(国立感染症研究所 ウイルス第3部)
  • 大隈 邦夫(化学及血清療法研究所 品質管理部)
  • 仁田 義弘(武田薬品工業 生物製剤部)
  • 李 富雄(北里研究所 製造第3部門)
  • 五味 康行(阪大微生物病研究会 研究技術部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 生ワクチンは、多くの動物実験とヒトでの臨床試験を経て有効且つ安全と認められた製造承認株から製造される。しかし、ウイルスを含む微生物は、本来的に環境に適応する能力、すなわち変異し易い生き物であるためワクチン株を継代中あるいは増殖中にさへ変化を起こす可能性がある。そのためワクチン品質間の差をまったく無くすことは生物学的に不可能である。しかし、医薬品として一度認可を受けた後は、可能な限り一定品質のワクチンを製造することが必須である。性状の不安定さがつきまとう生ワクチンの製造管理にシードロッドシステムを導入して、品質的に同等であるワクチンを製造するための株の管理方法を確立することを目的とした。
研究方法
 生ウイルスワクチンの製造継代歴は製造所の秘密事項に属するため、仮想製造履歴を使って国内ワクチン製造所とシードロットシステムを導入するとしたらどの様な方法が望ましいのかを検討した。
 仮想製造履歴を使ったシステム導入に添う形で、製造所社の分担研究者、協力研究者と感染研所属分担研究者、協力研究者が個別に会議を行い、それぞれ製剤についての具体的検討を行った。製造承認株から現在までに至る製造に用いた種株の個々の継代履歴を基に、シードロットシステムの導入方法と導入した場合にどれくらいの期間、どのくらいの量を供給可能かをを検討した。
結果と考察
 本研究班では、製造各所社のワクチン株の継代履歴をもとに、生物学的製剤規準にある「製造承認株からの継代は5代以内」という大原則を壊さない範囲でシードロットシステムを実行する具体的方法を製造所各所社の各生ウイルスワクチン毎に検討し、実質的運用の筋道を作った。しかし、製剤によってはシステムを導入すると5代の枠内ではあるが従来よりも継代が進んだものがワクチンとして市場に出さざるを得ないものがあり、ワクチンの安全性と有効性について製造承認株と同等であるかどうかを慎重に見極めながら進める必要があった。
結論
 シードロットシステムを生ワクチンの製造現場に導入することで品質的に同等であるワクチンを安定的に製造・供給することが可能になる。その結果、国民の健康管理上に貢献できると思われる。

公開日・更新日

公開日
2009-07-24
更新日
-