輸血用血液の細菌感染防止と血小板製剤の有効性期限延長に関する研究

文献情報

文献番号
200501088A
報告書区分
総括
研究課題名
輸血用血液の細菌感染防止と血小板製剤の有効性期限延長に関する研究
課題番号
H17-医薬-051
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
大戸 斉(福島県立医科大学医学部 輸血・移植免疫部)
研究分担者(所属機関)
  • 浅井隆善(静岡県赤十字血液センター)
  • 高松純樹(名古屋大学医学部 輸血部)
  • 佐竹正博(東京都赤十字血液センター)
  • 山口一成(国立感染症研究所)
  • 宮田茂樹(国立循環器病センター輸血管理室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、日本では3日で運用されている血小板製剤の有効期限が5日あるいは7日に延長可能であるかを細菌混入防止・検出と血小板機能保持の観点から検討する。合わせて、血液製剤全体の細菌汚染からの安全性向上をもたらすことを目的とする。
研究方法
1.細菌混入防止策 1)初流血除去の有効性の検討、2)白血球除去フィルターと遠心法の細菌除去能検討、3)世界的に汎用されている細菌培養機器(BacT/ALERTとeBDS)の性能検討;9種の細菌を接種し、接種直後と24時間後にサンプル採取をした。4)各種接種細菌の低温(10℃と4℃)保存による増殖抑制の検討
2.血小板保存条件の改善 1)高酸素透過性バッグによる血小板機能のずり応力下血栓形成能による評価
3.血小板製剤保存と血液製剤安全性に関する国際情報の収集
結果と考察
1.初流血(30mL)除去を献血者に実施した。初流血除去群の細菌検出率0.07%は通常採血群0.24%より低頻度であった。2.遠心法による白血球除去の接種細菌低減は白血球除去フィルターよりもさらに効果が小さい。3.10℃での細菌増殖抑制効果は不十分であった。4℃ではグラム陽性菌に対して増殖抑制が効果的に作動した。4.二種の培養式細菌検出装置に大きな差異はなく、機種により検出されにくい菌種が存在(偽陰性)する。接種直後の検体採取で検出時間が短縮可能である。5.高酸素透過性バッグで保存すると7日間保存血小板製剤でも血栓形成能が保持されていた。6.細菌培養検査を導入することにより血小板保存期間を7日間に延長する国が増加している。病原体不活化技術は概して欧州では導入方向で、逆に米国では懐疑的に受け止められている。
結論
皮膚消毒法の改良や初流血除去の導入で輸血血液の安全性は向上してきた。細菌培養検査法を導入することで細菌汚染からの安全性はさらに改善するであろう。しかし、細菌培養検査法も完全ではなく、加えて病原体不活化技術の本質的な核酸破壊能には危惧があり、理想的な病原体除去方式は存在しない。初流血除去、高酸素透過性バッグ、細菌培養試験などを総合的に組み合わせて導入し、安全で切れることがない血小板製剤供給システムを作り上げることが重要である。来年度には血液製剤の細菌混入防止と疑い事例発生時の対応と因果関係検索システム確立を重点的に取り組む。

公開日・更新日

公開日
2007-04-09
更新日
-