薬物乱用・依存等の実態把握と乱用・依存者に対する対応策に関する研究

文献情報

文献番号
200501082A
報告書区分
総括
研究課題名
薬物乱用・依存等の実態把握と乱用・依存者に対する対応策に関する研究
課題番号
H17-医薬-043
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
和田 清(国立精神・神経センター精神保健研究所薬物依存研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 和田 清(国立精神・神経センタ-精神保健研究所薬物依存研究部)
  • 近藤あゆみ(国立精神・神経センタ-精神保健研究所薬物依存研究部)
  • 松本俊彦(国立精神・神経センタ-精神保健研究所司法精神医学研究部)
  • 尾崎 茂(国立精神・神経センタ-精神保健研究所薬物依存研究部)
  • 庄司正実(目白大学人間社会学部)
  • 小林桜児(神奈川県立精神医療センターせりがや病院)
  • 近藤千春(藤田保健衛生大学衛生学部)
  • 宮永 耕(東海大学健康科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬物乱用・依存対策の立案・評価の際の基礎資料として資するために、薬物乱用・依存等の実態を把握し(研究1)、薬物乱用・依存者に対する対応策について検討した(研究2)。
研究方法
(研究1)1.全国住民調査を実施し、2.全国精神病院調査、3.児童自立支援施設入所児調査の準備を行った。(研究2)4.5.6.薬物依存治療専門病院、民間治療施設2施設における予後調査を開始した。7.「治療共同体(TC)」導入に際しての問題点を検討した。8.薬物関連精神障害の臨床における司法的問題の整理・検討を行った。9.薬物依存者に対するその家族の対応法について検討した。
結果と考察
(研究1)1.飲酒1年経験率は84.0%(男性88.9%、女性79.2%)であった。喫煙1年経験率は33.3%(男性48.1%、女性19.2%)であった。鎮痛薬、精神安定薬、睡眠薬の1年経験率は、それぞれ55.1%、8.3%、6.4%であった。違法性薬物乱用の生涯経験率は、有機溶剤1.5%、大麻1.3%、覚せい剤0.3%、コカイン0%*、ヘロイン0.03%*、MDMA0.1%、いずれかの薬物2.4%、有機溶剤を除いたいずれかの薬物1.6%であった(*は統計誤差内)。2.メチルフェニデート(MPH)乱用・依存症例では、覚せい剤の代替薬物として乱用される例があること、また早期に重症の依存症候群を呈する可能性が示唆され、うつ病への保険適用を含めてMPD処方に関する医療者側の意識が見直されるべきである点を指摘した。3.面接調査との比較で、質問紙による乱用経験率の推定は妥当であることを示した。(研究2)4.5.6.予後調査であるため、来年度の調査結果を待たずに評価することは出来ないが、想定通り、退院・退所後の追跡調査は非常に困難であることが判明した。7.TCをわが国に導入する場合、直訳的導入ではなく、わが国なりの工夫の必要性が確認された。8.問題に対する司法家の見解を提示した。⑨親・家族としてのイネーブリング(尻ぬぐい的支え)の徹底排除の勧めとその実践が重要であることが示された。
結論
大麻の生涯被誘惑率・経験率の上昇が、全体での生涯経験率を押し上げており、乱用薬物から見た乱用状況が、従来の有機溶剤優位型(我が国独自型)から欧米型(大麻優位型)に変化してきている可能性がある。薬物乱用・依存者に対する第二、三次予防的な対応の制度的遅れが著しく、具体的対応の早急な立案・実施が必要である。

公開日・更新日

公開日
2007-04-02
更新日
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