植込み型生命維持装置の安全対策に関する研究

文献情報

文献番号
200501077A
報告書区分
総括
研究課題名
植込み型生命維持装置の安全対策に関する研究
課題番号
H16-医薬-023
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
笠貫 宏(東京女子医科大学 循環器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 茂夫(医療法人狭山中央病院 院長)
  • 杉浦 敏文(静岡大学 電子工学研究所 生体医療計測)
  • 加納 隆(三井記念病院 MEサービス部)
  • 平尾 見三(東京医科歯科大学 循環制御内科学)
  • 豊島 健(日本メドトロニック株式会社 カーディアックリズムマネージメント)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,760,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ペースメーカー、除細動器等の植込み型生命維持装置は、患者を健常者同等まで回復させ、QOLを著しく改善できる。しかし、本質的には重篤な基礎疾患を有した患者が病院の監視を離れることになり、装置に不具合が生じると、直接生命を脅かされる宿命にある。当然これらは高度な技術によって製造されているが、工業製品に変わりはないため、技術的かつ経済的限界もある。本研究では、このような不具合に対し、科学的根拠に基づいた分類、評価法を制定するとともに、不具合の情報蓄積伝達システムを構築して、医療従事者、装着患者、行政さらに国民に至るまで、情報を共有することで、全者が納得できる、不具合に対するより合理的な対処法の確立を目指している。
研究方法
ペースメーカ協議会会員企業から提出された484例の不具合事例について、不具合の発生率、装置の動作変調の内容と患者に現れた症状の重篤度、原因となった要因等から不具合の評価スコアを算出し、各事例で実際に取られた安全対策措置の内容と対比し、不具合の客観的評価法の検証を行った。また、医療機関1425施設、また、日本心臓ペースメーカー友の会会員から無作為抽出された688名の会員に対して不具合に対する姿勢、対処法等に関するアンケート調査を行った。
結果と考察
不具合の評価スコアは、従来の回収事例等を適切に区別できた。また、アンケート調査の結果、13%の医療機関が副作用/不具合等報告制度の具体的報告方法が分からない、また51%が、安全性/回収情報等のウェブサイトの存在を知らないと答えていた。また、医療機関で、患者に使用する装置のメーカー名、機種名まで教えている、としていたのは19%であったのに対し、患者側は90%がメーカー名を、73%が機種名を知っていると答えるなど、両者の間に不一致があった。さらに医療機関の91%、患者の90%が不具合データベースの公開を希望していた。患者が自分の装置の機種名を知っていながら、80%は「不具合報道を見聞きした際、自分の装置と同一物かどうか分からない」と答え、報道方法に問題があることも分かった。
結論
今年度の研究で、評価スコアから不具合の客観的評価が出来ることが分かった。また、アンケート調査から、不具合に関する医療機関、患者双方の問題点が明らかになった。
これにより、今回考案した不具合の評価スコアの導入、不具合情報の公開方法、患者への使用装置の告知方法などについて、製造販売業界、医療機関、患者等を交えて討議する場を、第21回日本不整脈学会学術大会(東京)で設定した。

公開日・更新日

公開日
2006-06-19
更新日
-