副作用の発現メカニズムを考慮した対応方策に関する研究

文献情報

文献番号
200501076A
報告書区分
総括
研究課題名
副作用の発現メカニズムを考慮した対応方策に関する研究
課題番号
H16-医薬-024
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
井上 和秀(九州大学大学院薬学研究院・医療薬科学部門・薬効解析学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 永松 信哉(杏林大学 医学部 生化学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,012,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
糖尿病は動脈硬化症を引き起こし、心・循環器系の病態も増悪する。故に、降圧剤による治療は特に糖尿病と高血圧症を併発している患者にとって必須であり、臨床ではカルシウム拮抗薬が広く用いられている。本剤は膵臓β細胞にも作用して、インシュリン分泌を抑制し血糖コントロールに悪影響を及ぼしうる。本研究の目的は、上市されているカルシウム拮抗薬が膵臓β細胞からのインシュリン分泌を抑制するか否かを明らかにし、ついでその副作用を防ぐために、カルシウムチャネルとは独立したインシュリン放出制御メカニズムをATP受容体を切り口として探索することである。
研究方法
Wistar ratから膵摘出後、ラ氏島から単一β細胞を採取培養した。β細胞を各種物質にて15分間刺激し、Fura-2法により、細胞内Ca2+濃度を測定した。ヒトプレプロインスリンのC末端にGFPを導入したcDNAを作製しラットβ細胞をGFP標識し単一インスリン顆粒の動態をTIRFMシステムを用いて解析した。
結果と考察
ATP受容体刺激によるインスリン分泌の効果を検討したが、ATPの効果は条件次第で多様に変化してしまう。その理由の一つに、ATPが培養液中にて分解されている可能性があったので、非水解型ATPγSを用いて検討し、ATP受容体刺激によりインスリン分泌促進を確認出来た。また、血液中ブドウ糖濃度の影響も考えられたので、各種ブドウ糖濃度にATPを加えたラ氏島batch実験を行った結果、低濃度グルコース存在下ではATPのインスリン分泌促進反応は見られなかったが、200mg/dlグルコース存在下においてのみATPはインスリン分泌をATP非存在下の約30%増強した。これで決着を見たかに思えたが、実は株化細胞Min6では逆の効果が予備試験ながら認められている。一方、II型糖尿病モデルのGKラット膵β細胞では、異なるATPの効果が認められた。GKラット膵ラ氏島でのATP受容体の遺伝子発現は生後5-6週齢でのP2X1、P2Y1のmRNAの発現は対照群の約半分以下であった。ただ、他のATP受容体mRNAについては不明であるし、mRNA発現量での議論は危険であるために、実際に受容体タンパク発現量を測定する必要がある。
結論
このように、ATP受容体を介するインシュリン放出メカニズムは存在するが、その詳細は不明であり、更なる研究進展が必要である。

公開日・更新日

公開日
2006-06-19
更新日
-