文献情報
文献番号
200501073A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床及び非臨床のデータに基づく医薬品の催奇形性のリスク分類に関する研究
課題番号
H17-医薬-026
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 裕之(筑波大学・大学院人間総合科学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 江馬 眞(国立医薬品衛生研究所 安全性生物試験研究センター)
- 三橋 直樹(順天堂大学医学部附属 静岡病院)
- 北川 浩明(虎の門病院)
- 林 昌洋(虎の門病院)
- 濱田 洋実(筑波大学臨床医学系)
- 佐藤 信範(千葉大学薬学系研究院)
- 村島 温子(国立成育医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
・添付文書とFDA分類、オーストラリア分類を比較すること。
・FDA分類Cの薬剤の生殖毒性試験記載を精査すること。
・産科医、薬剤師が薬剤の催奇形性を評価する手段を調査すること。
・妊娠中のリスクが過大評価、過小評価されている薬剤のリストアップ。
・妊娠と薬相談クリニックで禁忌薬などを絶対過敏期に服用した例の調査。
・ 海外データのないクラリスロマイシン(CAM)服用例の催奇形性を評価すること。
・FDA分類Cの薬剤の生殖毒性試験記載を精査すること。
・産科医、薬剤師が薬剤の催奇形性を評価する手段を調査すること。
・妊娠中のリスクが過大評価、過小評価されている薬剤のリストアップ。
・妊娠と薬相談クリニックで禁忌薬などを絶対過敏期に服用した例の調査。
・ 海外データのないクラリスロマイシン(CAM)服用例の催奇形性を評価すること。
研究方法
・ 日本の添付文書の記載は、A; 注意事項なし、B; 慎重投与、C; 有益性投与、D; 投与回避、X; 禁忌として分類し、FDA分類などと比較した。
・ 抗ウイルス剤など9剤を医師用卓上参考書(PDR)から抽出し、生殖発生毒性試験に関する記載を精査した。
・ 薬剤の催奇形性リスク評価の実情を221施設でアンケート調査した。
・ 過大評価、過小評価の薬剤を薬剤全体から抽出した。
・ 聖路加国際病院の「妊娠と薬相談クリニック」を受診した患者のうち178症例を収集した。うち出産結果の報告があった77症例について解析を行った。
・ クラリスロマイシン(CAM)服用例とβラクタム系抗生物質服用例を対照として検討した
・ 抗ウイルス剤など9剤を医師用卓上参考書(PDR)から抽出し、生殖発生毒性試験に関する記載を精査した。
・ 薬剤の催奇形性リスク評価の実情を221施設でアンケート調査した。
・ 過大評価、過小評価の薬剤を薬剤全体から抽出した。
・ 聖路加国際病院の「妊娠と薬相談クリニック」を受診した患者のうち178症例を収集した。うち出産結果の報告があった77症例について解析を行った。
・ クラリスロマイシン(CAM)服用例とβラクタム系抗生物質服用例を対照として検討した
結果と考察
・ Xは、FDA分類;8剤(5.6%)、オーストラリア分類;0剤(0%)、添付文書;35剤(24.3%)であった。FDA・オーストラリア両分類Iいずれかかと2ランク以上の不一致は20薬剤(26.4%)であった。添付文書の記載は禁忌が多く、使用を制限する傾向があった。
・ 9剤の内、催奇形性が4剤、胚/胎児/新生児死亡が4剤で認められ、明らかな影響がないのは1剤であった。
・ FDA分類、オーストラリア分類を使用していたのは産科医で85名、39名、薬剤師で100名、79名であった。欧米の情報に頼らざるを得ない状況が明らかになった。
・ 主に実際に臨床で問題なのはリスクを過大に評価している場合であった。
・ 66例が絶対過敏期に薬を服用していた。奇形は見られなかった。禁忌薬の使用は、235種類中28種類で全体の約12%であった。
・ CAM群に奇形有りは5例、奇形発現率は5.05%であった。対照群に対するCAM群の奇形発現率はRR 2.09, 95%CI 0.78?5.57であった。
・ 9剤の内、催奇形性が4剤、胚/胎児/新生児死亡が4剤で認められ、明らかな影響がないのは1剤であった。
・ FDA分類、オーストラリア分類を使用していたのは産科医で85名、39名、薬剤師で100名、79名であった。欧米の情報に頼らざるを得ない状況が明らかになった。
・ 主に実際に臨床で問題なのはリスクを過大に評価している場合であった。
・ 66例が絶対過敏期に薬を服用していた。奇形は見られなかった。禁忌薬の使用は、235種類中28種類で全体の約12%であった。
・ CAM群に奇形有りは5例、奇形発現率は5.05%であった。対照群に対するCAM群の奇形発現率はRR 2.09, 95%CI 0.78?5.57であった。
結論
本邦の薬剤添付文書の改正、独自のリスク分類の作成の必要性が確認され、まず、具体的な比較をし、データベースの構築が必要であることが確認された。
公開日・更新日
公開日
2006-06-19
更新日
-