無菌医薬品製造に関する国際規格の国内導入に関する研究

文献情報

文献番号
200501071A
報告書区分
総括
研究課題名
無菌医薬品製造に関する国際規格の国内導入に関する研究
課題番号
H16-医薬-043
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
棚元 憲一(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 次雄(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 那須 正夫(大阪大学大学院 薬学研究科)
  • 川村 邦夫(大鵬製薬工業株式会社 製薬技術センター)
  • 中川 恭好(独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部)
  • 佐々木 学(社団法人北里研究所 生物製剤研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
9,260,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品の無菌製造法に関する国際規格を参考に、日本版「無菌医薬品製造に関するガイドライン」を作成する。さらに国際規格を反映した日局微生物試験法の充実を目指し、「微生物の迅速検出法の日局導入」、「日局指定菌株の特性と維持管理」の日局導入評価研究を行う。
研究方法
「無菌操作法による無菌医薬品の製造指針」の省令GMP内容との整合と英訳版の作成を行った。「最終滅菌法による無菌医薬品の製造指針案」に関してパラメトリックリリース適用の要件を検討した。新規最終滅菌法であるパルス光照射の滅菌効果を検討した。新規迅速微生物検出法の検証を行い、適切な日局導入のための検討を行った。日局指定菌株の性状検討のため、抗菌剤・抗生物質に対する感受性測定を行った。
結果と考察
1)「無菌操作法による無菌医薬品の製造指針」を医薬品GMP解説事例集に収載するため用語表現法の確認を行い、最終版を作成した。また、その英訳版作成及び国内外への配布を行った。最終滅菌法のうち、高圧蒸気滅菌医薬品に対するパラメトリックリリース要件を纏め上げた。2)パルス光滅菌は、バイヤル容器においては滅菌効果を認めたが、シリンジ容器では菌が残存した。滅菌には光が透過する容器の材質・厚みが関係し、さらには多少熱が発生するため、耐熱の必要がある。3)微生物迅速検法のうち、蛍光活性染色法は蛍光顕微鏡操作の習熟度及び蛍光顕微鏡1視野あたりの細菌数が結果に影響すること、さらには蛍光活性染色法に比べ、マイクロコロニー法の方が相対標準偏差は小さいことがわかった。4)日局の微生物試験法のうち、用いられる標準菌株が特に問題となる抗生物質力価試験法及び保存効力試験法につき、関連標準菌を用いて抗菌力と抗生物質の力価測定を行い、性状の実態を明らかにした。
結論
以下の成果を得た。1)「無菌操作法による無菌医薬品の製造指針案」の日本語及び英語版を完成させた。「最終滅菌法による無菌医薬品の製造指針案」は高圧蒸気滅菌医薬品のパラメトリックリリース要件を纏めた。2)パルス光滅菌の容器の要件として、容器素材、光透過生、耐熱性の重要性を明らかにした。3)細菌迅速試験法の日局収載に当たり、蛍光活性染色法やマイクロコロニー法の再現性、精度、感度、ラボ間変動等の検証を行った。4)局方収載標準菌株の性状として、抗菌剤及び抗生物質感受性の検討を行った。

公開日・更新日

公開日
2006-04-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200501071B
報告書区分
総合
研究課題名
無菌医薬品製造に関する国際規格の国内導入に関する研究
課題番号
H16-医薬-043
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
棚元 憲一(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐々木 次雄(国立感染症研究所 細菌第二部)
  • 那須 正夫(大阪大学大学院 薬学研究科)
  • 川村 邦夫(大鵬製薬工業株式会社 製薬技術センター)
  • 中川 恭好(独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部)
  • 佐々木 学(社団法人北里研究所 生物製剤研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医薬品の無菌製造法に関する国際規格を参考に、日本版「無菌医薬品製造に関するガイドライン」を作成する。さらに国際規格を反映した日局微生物試験法の充実を目指し、「微生物の迅速検出法の日局導入」、「日局指定菌株の特性と維持管理」の日局導入評価研究を行う。
研究方法
「無菌操作法による無菌医薬品の製造指針案」作成班を立ち上げ、国内版及び英訳版を作成した。「最終滅菌法」に関してはパラメトリックリリース適用の要件を検討した。新規最終滅菌法であるパルス光照射の滅菌効果と医薬品への適用を検証した。新規迅速微生物検出法のプロトコール作成と検証を行い、適切な日局導入を検討した。さらに日局指定菌株について各種性状検討を行った。
結果と考察
1)国際規格を参考に「無菌操作法による無菌医薬品の製造指針案」を作成した。また、その英訳版作成及び国内外への配布を行った。本指針は「医薬品GMP解説事例集」に収載され、国内企業に広く利用されることになる。英訳版は、海外の規制当局や製薬企業に日本の無菌医薬品製造レベルの高さを示すものであり、無菌医薬品の国際流通にも好影響をもたらすものである。最終滅菌法に関しては、高圧蒸気滅菌医薬品に対するパラメトリックリリース要件を纏め上げた。2)新しい最終滅菌法としてのパルス光照射は熱を生じることからタンパク製剤には適用が難しいこと、滅菌効果は用いた容器の材質・厚みに大きく影響されることを明らかにした。3)微生物の迅速検出法では蛍光活性染色法とマイクロコロニー法について日局導入のためのプロトコールを作成した。その検証の結果、蛍光顕微鏡操作の簡便化、計数基準の明確化、操作の習熟度などの課題点が明らかになった。4)日局収載標準菌株につきsmall subunit rRNA塩基配列や全タンパク質のSDS電気泳動パターン、抗菌剤に対する感受性測定等の性状検討を行った。
結論
以下の成果を得た。1)「無菌操作法による無菌医薬品の製造指針案」の日本語版及び英語版を完成させた。最終滅菌法では高圧蒸気滅菌医薬品のパラメトリックリリース要件を纏めた。2)最終滅菌法としてのパルス光滅菌の医薬品滅菌への適用と滅菌要件を示した。3)微生物迅速検出法の日局のため、CFDA-DAPI二重染色法及びマイクロコロニー法のプロトコール作成と検証を行った。4)局方収載標準菌株の各種性状検討を行った。

公開日・更新日

公開日
2006-04-25
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-11-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501071C

成果

専門的・学術的観点からの成果
「無菌操作法による無菌医薬品の製造指針案」を作成した。「医薬品GMP解説事例集」に収載され、国内企業に広く利用されることになる。さらに英訳版作成し国内外への配布を行った。日本の無菌医薬品製造レベルの高さを示すものであり、無菌医薬品の国際流通にも好影響をもたらすものである。新技術を用いた微生物迅速検出法を日局に取り入れるためのプロトコール作成と検証を行った。世界に先駆けて局方に収載予定であり、従来の古典的微生物試験法の本質的な改革につながる試験法である。
臨床的観点からの成果
本研究の成果は直接臨床に結びつくものではないが、微生物学的に、より安全な品質の医薬品供給を行うことにより、国民の安全に寄与するものである。
ガイドライン等の開発
本研究で作成したガイドライン「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」は「医薬品GMP解説事例集」(厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課)に収載され、本年7月1日より施行の予定である。
その他行政的観点からの成果
微生物迅速検出法として作成した蛍光活性染色法とマイクロコロニー法は日本薬局方生物試験法委員会での審議を経て、「微生物の迅速検出法」として局方に収載予定である。また日局指定標準菌株について行った各種性状検討は同様に「日局指定菌株の特性と維持管理」として局方収載を目指す。
その他のインパクト
平成15,16年度の本研究成果は、それぞれ平成16年11月18日に「無菌操作法による無菌医薬品の製造指針の紹介」、及び平成年11月7日に、「製薬現場における微生物管理手法:最近の話題」として、江戸川区総合区民ホールにおいてシンポジウムを開催した。いずれも参加希望者が会場枠をはるかに超える状況であり、普及・啓発に大きく役立った。

発表件数

原著論文(和文)
15件
原著論文(英文等)
44件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
22件
学会発表(国際学会等)
9件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Khan, S.T., Nakagawa, Y. & Harayama, S.
Krokinobacter gen. nov., with three novel species in the family Flavobacteriaceae
Int. J. Syst. Evol. Microbiol. , 56 , 323-328  (2006)
原著論文2
Muroi M. & Tanamoto K.
Structural regions of MD-2 that determine the agonist-antagonist activity of Lipid IVa
J. Biol. Chem. , 281 (9) , 5484-5491  (2006)
原著論文3
Hatao F. et al.
The induction of super-resistance using synthetic lipopolysaccharide receptor agonist rescues fatal endotoxemia in rats without excessive immunosuppression
Shock , 23 , 365-370  (2005)
原著論文4
Kitaguchi, A., N. Yamaguchi, and M. Nasu
Enumeration of respiring milk spoilage bacteria within six hours by fluorescence in situ hybridization following formazan reduction
Appl. Environ. Microbiol. , 71 (5) , 2748-2752  (2005)
原著論文5
Nakajima, K. et al.
Rapid monitoring of microbial contamination on herbal medicines by fluorescent staining method
Lett. Appl. Microbiol. , 40 , 128-132  (2005)
原著論文6
Shimomura-Shimizu M. et al.
Alachlor and Carbaryl suppress lipopolysaccharide-induced iNOS expression by inhibiting NH-B activation
Biochem. Biophys.Res. Commun. , 332 , 793-799  (2005)
原著論文7
Yamaguchi, N., C. Sakamoto, M. Nasu
Rapid and simple quantification of bacterial cells using a microfluidic device
Appl. Environ. Miclobiol. , 71 , 1117-1121  (2005)
原著論文8
佐々木次雄
日本版無菌医薬品の製造ガイドラインの紹介
クリーンテクノロジー , 3-5  (2006)
原著論文9
中川恭好
微生物の保存方法-微生物管理の実際-
防菌防黴 , 34 , 95-103  (2006)
原著論文10
Hatao F. et al.
Prolonged Toll-like receptor stimulation leads to down-regulation of IRAK-4 protein
L. Leukocyte Biol. , 76 , 904-908  (2004)
原著論文11
Hong C-C. et al.
Effects of endocrine disrupting chemicals on lipopolysccharide-induced tumor necrosis factor- and nitric oxide production by mouse macrophages
Biol. Pharm. Bull. , 27 (7) , 1136-1139  (2004)
原著論文12
Kawamura K
A Novel Approach to the Statistical Evaluation of Media Fill Tests by the Difference from No Contamination Data
PDA Journal of Pharmaceutical Science and Technology , 58 (6)  (2004)
原著論文13
Yamaguchi O. et al.
Automated digital image analysis software 'BACS II', for direct counting of bacteria by fluorescent microscopy with multiple excitation
Bioimages , 12 , 1-7  (2004)
原著論文14
佐々木次雄 他
製薬用水中の微生物評価培地“R2A培地”に関する研究
医薬品研究 , 35 (12) , 638-652  (2004)
原著論文15
Araya R. et al.
Bacterial activity and community composition in stream water and biofilm from an urban river determined by fluorescent in situ hybridization and DGGE analysis
FEMS Microbiol. Ecol. , 43 , 111-119  (2003)
原著論文16
Fujihara M. et al.
Molecular mechanisms of macrophage activation and deactivation by lipopolysaccharide: roles of the receptor complex
Pharmacol Ther. , 100 (2) , 171-194  (2003)
原著論文17
Muroi M., Ohnishi T. & Tanamoto K.
Lipopolysaccharide-mimmeric activities of Toll-like-receptor 2-stimulatory substance(s) contained in Escherichia coli lipopolysaccharide preparations
Infect.Immun. , 71 , 3221-3226  (2003)
原著論文18
Ogawa M. et al.
Development of multicolor digital image analysis system to enumerate actively respiring bacteria in natural river water
J. Appl. Microbiol. , 95 , 120-128  (2003)
原著論文19
Ohnishi, T. Muroi M., & Tanamoto K.
N-linked glycosylation critical to the Toll-like receptor 4 function require the presence of MD-2
Clin, Diagn. Lab. Immunol. , 10 , 405-410  (2003)
原著論文20
棚元憲一
局方微生物試験法の現状、国際調和と将来展望-第14改正日本薬局方を中心として-
Bokin Bobai , 31 , 19-25  (2003)

公開日・更新日

公開日
2014-05-27
更新日
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