ファーマコゲノミクスの合理的使用のための医薬品開発と医薬品行政のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200501069A
報告書区分
総括
研究課題名
ファーマコゲノミクスの合理的使用のための医薬品開発と医薬品行政のあり方に関する研究
課題番号
H16-医薬-038
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
津谷 喜一郎(東京大学大学院薬学系研究科医薬経済学)
研究分担者(所属機関)
  • 東 純一(大阪大学大学院薬学研究科臨床薬効解析学)
  • 具嶋 弘(株式会社バイオフロンティアパートナーズ)
  • 増井 徹(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 額賀 淑郎(東京大学大学院医学系研究科生命・医療倫理人材養成ユニット)
  • 劉 世玉(グラクソ・スミスクライン株式会社研究本部臨床遺伝学研究室)
  • 玉起 美恵子(アステラス製薬株式会社研究企画部)
  • 内田 英二(昭和大学医学部第二薬理学)
  • 渡邉 裕司(浜松医科大学臨床薬理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
PGx/PGtの今後のあるべき姿はどんなものか? そのためにはどうすべきか? 本研究はファーマコゲノミクスを合理的に使用するための医薬品開発と医薬品行政のあり方に関する情報を、世界的に収集・分析し、今後、日本で必要な行動を提示することを目的とする。
研究方法
3年計画の3年目として、2005年2月にCIOMSから発行された”Pharmacogenetics - Towards improving treatment with medicines”の翻訳作業に協力し2005年12月に『ファーマコジェネティクス-薬物治療の改善を目指して』として発行ならしめるのと平行して、そこで整理された事項に基づき、PGxを用いた臨床試験を中心として、各playerの意識調査、倫理面の調査研究、解決すべき論点とその解決法を探索する形で、研究を進めた。
結果と考察
一般人対象にしたインターネットによるアンケート調査で、PGx研究に協力したいという回答が約50%を占めた一方で、ゲノム情報に基づいた個別化適正医療という概念が十分に情報発信できていないことも明らかになった。日本臨床薬理学会会員を対象としたアンケートが、個人情報保護法などを反映した形で作成された。大学病院医師などに対する意識調査が行われ教育など改善すべき点が明らかとなった。「遺伝子例外主義」の世界の動向を整理し、それは批判すべきものであるが、そこでは一般の認知(perception)を十分考慮しなければならない。途上国と先進国では臨床研究における研究参加者にとっての利益のあり方が異なる。米国での調査から、sample repositoryは有害事象が発生した時点での対応が主目的であり、多型の頻度と治療アウトカムの重要性によりPGx情報の臨床への適応可能性が左右される。またメガファーマにおけるsample repositoryに関する現状が分析された。一般人を対象としたPGx啓発のためのwebsite (http://pgsi.umin.jp/)が作成された。
結論
各国からのmemberが参加し作成されたCIOMS reportでも最も議論の多かったのは倫理に関することであった。遺伝子例外主義」の是正をlong termのgoalにおいた地道な国民啓発活動と、倫理委員会メンバーを含むPGx臨床試験の関係者の教育、PGx臨床試験システムの透明化が、PGxの合理的使用に結びつくであろう。

公開日・更新日

公開日
2006-06-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-01-19
更新日
-

文献情報

文献番号
200501069B
報告書区分
総合
研究課題名
ファーマコゲノミクスの合理的使用のための医薬品開発と医薬品行政のあり方に関する研究
課題番号
H16-医薬-038
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
津谷 喜一郎(東京大学大学院薬学系研究科医薬経済学)
研究分担者(所属機関)
  • 東 純一(大阪大学大学院薬学研究科臨床薬効解析学)
  • 小野 俊介(金沢大学大学院自然科学研究科)
  • 具嶋 弘(株式会社バイオフロンティアパートナーズ)
  • 増井 徹(独立行政法人医薬基盤研究所)
  • 額賀 淑郎(東京大学大学院医学系研究科生命・医療倫理人材養成ユニット)
  • 劉 世玉(グラクソ・スミスクライン株式会社研究本部臨床遺伝学研究室)
  • 玉起 美恵子(アステラス製薬株式会社研究企画部)
  • 内田 英二(昭和大学医学部第二薬理学)
  • 渡邉 裕司(浜松医科大学臨床薬理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ファーマコゲノミクスを合理的に使用するための医薬品開発と医薬品行政のあり方に関する情報を、CIOMS Working Group on Pharmacogenetics (PGt)への参加と議論を含めて世界的に収集・分析し、今後、日本において作成が予想される指針・ガイドラインなどにむけて、必要となる事項や留意点などを明らかにし、提示することを目的とした。この領域の健全な発展には市民の理解が必要であり、コミュニケーションのマテリアルの開発も目的とした。
研究方法
本研究期間においては、CIOMS WGの会議に、第4回(2003.9, ポーランド・ワルシャワ)、第5回(2004.4, 英国・ウィンザー)に参加し、日本・アジアの現状と考え方を伝え、CIOMS reportの完成に貢献した。PGtを用いた臨床試験の現状について、Medline 、米国訪問、インタビューなどを通じて、メガファーマのsample repository、アジアの動向、さらに一般人と医療関係者の意識を含めて調査した。遺伝子例外主義や発展途上国の臨床研究の倫理について主に文献をベースに議論し論点を整理した。
結果と考察
CIOMS reportは、2005年2月に"Pharmacogenetics: Towards improving treatment with medicines"としてジュネーブで発行された。全12章とアジアを中心とするcountry reportを主とするAnnexからなる。世界におけるこの領域の現状と今後にむけての考え方が示された。日本語訳の作業に協力し2005年12月に『ファーマコジェネティクス-薬物治療の改善を目指して』が、「関連用語の英日比較対象一覧」などを含んで発行され、好評を得た。一般市民に対するアンケートにより、PGxに関する社会的認識の概要が明らかにされた。一般人啓発のためのwebが作成された(http://pgsi.umin.jp/)
結論
日本では、遺伝子例外主義の是非をめぐる議論を積み重ねていく必要がある。また「遺伝子例外主義」だけでなく「PGx万能主義」もPGxに対する社会的コンセンサスを得る上で障害となるであろう。PGx-based medicineの限界を認識することが大切である。日本での議論の多くはPGxに特有の事項ではない。現存の医療で用いられるパラメータと同じ視点で議論すべきと思われる。

公開日・更新日

公開日
2006-07-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-01-19
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501069C

成果

専門的・学術的観点からの成果
従来、医薬品の開発、実際の使用におけるファーマコジェネティクスの影響の大きさが注目されてきたが、倫理的、法律的、社会的側面(ELSI)のあり方が明らかでなかった。「遺伝子情報は他の医学情報とは異なり特別に取扱うべき」という「遺伝子例外主義」が強調されてきた。本研究はCIOMS (国際科学協議会)の活動への参加を通して、世界レベルの議論に貢献し日本にフィードバックし、学問水準を世界的レベルに引き上げた。
臨床的観点からの成果
PGxは、薬物治療を個別化することにより、安全性を高め、また有効な人に選択的に投与するものである。本研究は、直接、臨床に結びつくものではないが、その社会的インフラを構築するものであり、この研究が進むことによって、全般的な安全性・有効性、さらには経済性が高まるものである。
ガイドライン等の開発
本研究班は、2002年2月にロンドンで設立されたCIOMS Working Group on Pharmacogenetics に日本として対応することを目的の一つとしてスタートした。本研究班メンバーも参加し世界各地での会議により、”Pharmacogenetics - Towards improving treatment with medicines”が、2005年2月にジュネーブで発行された。
その他行政的観点からの成果
ICHは、日本の薬事行政にインパクトを持つものであるが、従来、ややもするとICH topicが、CIOMSなどですでに議論されていながらも、日本がその経緯を知らないままに選択され不利益をこうむることがあった。本研究は、ごく初期から日本が関与し、議論を通じ世界の動きを日本に伝えたたもので、2005年からICH topic選択へ向けての作業が始まったときもスムーズな進行がなされた。

その他のインパクト
直接開催したものは、2005年2月21日に東京大学で開催された「フォーラム:PGx治験の問題と解決法」だが、1st Annual DIA Japan Workshop for Pharmacogenomics ( September 2004)、Session on Pharmacogenomics : DIA Congress on the Development and Utilization of Pharmaceuticals(Sep 2005)など、多くの会議の企画・組織に関わった。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
10件
その他論文(和文)
10件
その他論文(英文等)
5件
学会発表(国内学会)
9件
学会発表(国際学会等)
3件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計4件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-