薬効及び副作用発現の人種差に関わる遺伝子多型に関する研究

文献情報

文献番号
200501065A
報告書区分
総括
研究課題名
薬効及び副作用発現の人種差に関わる遺伝子多型に関する研究
課題番号
H17-医薬-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
千葉 寛(千葉大学大学院薬学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 鹿庭なほ子(国立医薬品食品衛生研究所薬品部第三室)
  • 越前宏俊(明治薬科大学薬物治療学)
  • 家入一郎(九州大学大学院薬学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
11,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は日本人と白人種の肝組織パネル、薬物動態や薬効発現に関するフェノタイプが明らかな患者DNA試料等を用いて、薬効及び副作用発現の人種差に関わる遺伝要因を明らかにしていくことである。
研究方法
ワルファリン感受性の人種差については、アジア人、白人、黒人データを統合し多変量解析を行った。UGTについては、日本人256人について、UGT1A4の5’上流域、エクソン1及びイントロン部分の解析を行った。トランスポーターについては、メトホルミン反応及び非反応群で頻度に相違の見られたSNPがヒト肝におけるOCT1mRNA発現量に与える影響を検討した。CYP3A4及びSLCO1B1については、日本人と白色人種及びヒスパニック(メキシコ系アメリカ人)の肝組織を用い、SLCO1B1及びCYP3A mRNA発現量を比較した。
結果と考察
ワルファリン感受性についてはCYP2C9の多型がビタミンKエポキシド還元酵素(VKORC)の多型と同程度に寄与していることが明らかとなり、これらの遺伝子多型がワルファリンの投与量を予測する上で重要である可能性が示唆された。UGT1A4については、in vitro実験で活性が変化すると報告されているP24TとL48Vの遺伝子多型の頻度に人種差があることを明らかにした。トランスポーターについては、ヒト肝を試料としてOCT1mRNA発現量が408Met>Valで低下していることを明らかにし、408Met型患者では、メトホルミンの効果が減弱する可能性が示唆された。また、BSEPに444Val>Alaを含む4箇所のアミノ酸置換を伴う変異を同定した。一方、CYP3A及びSLCO1B1については、日本人、白人種及びヒスパニック3人種間でSLCO1B1 mRNAの発現量には大きな差異は認められないのに対し、CYP3A4mRNAについては3人種間で大きな差が認められ、白人種>日本人>ヒスパニックの順で大きいことが明らかとなった。
結論
1)ワルファリン感受性の個人差にVKORCとCYP2C9の遺伝子多型が密接に関係していること、2)OCT1の408Met型で糖尿病治療薬であるメトホルミンの治療効果が減弱する可能性、3)UGT1A4 のP24TとL48Vの発現頻度に人種差があること、4)SLCO1B1 mRNA発現量には大きな人種差が認められないがCYP3A4mRNAでは日本人、白人種、ヒスパニックの間で大きな差が認められ、白人種>日本人>ヒスパニックの順で平均値が大きいこと、が明らかとなった

公開日・更新日

公開日
2006-06-27
更新日
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