検査機関の信頼性確保に関する研究

文献情報

文献番号
200501063A
報告書区分
総括
研究課題名
検査機関の信頼性確保に関する研究
課題番号
H17-食品-002
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
遠藤 明(財団法人食品薬品安全センター)
研究分担者(所属機関)
  • 田中之雄(大阪府立公衆衛生研究所)
  • 中澤裕之(星薬科大学)
  • 松木容彦(社団法人日本食品衛生協会)
  • 渡邉敬浩(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 大島赴夫(財団法人食品薬品安全センター)
  • 米谷民雄(国立医薬品食品衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
38,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ポジティブリスト化に伴う精度管理体制の構築,BFRsの生体への影響評価,食品中ダイオキシン類検査,組換え遺伝子技術応用食品検査,精度管理調査(微生物検査,理化学検査,貝毒検査,アレルギー物質検査)のための適正試料作製等の検討により,外部精度管理体制の整備・構築を図り,検査成績の信頼性確保システムをより充実化させ,円滑な行政活動に資することが目的である.
研究方法
農薬添加野菜試料,魚粉末試料を検査機関に配布して検査を実施した.BFRsの生体への影響評価では,培養細胞を用いてGPDH活性測定と細胞内蓄積中性脂肪量を測定し,評価した.GMトウモロコシで検査試料より通知の4種DNA抽出法で得たDNAの質・収量,DNAの分解程度,定量PCRの定量値を比較した.精度管理用適正試料では,理化学検査,微生物検査,貝毒検査並びにアレルギー物質検査の試料作製を試み,基材の選択・安定性・均一性等を検討した.
結果と考察
添加農薬は,正しく検出されたが,X bar-R管理図,Zスコア評価で,適正域外の機関を認めた.ダイオキシン類検査は,TEQ5pg/g程度の試料で,TEQの試験室間RSD%は7%程度であった.BFRsの細胞への影響評価は,TBBPAで脂肪蓄積促進作用を認め,インスリン抵抗性を引き起こす可能性を示唆した.GMトウモロコシより4種DNA抽出法で得たDNAの分解程度に明確な差を認めず,質・収量,定量PCRの定量値に抽出法依存性を認めた.適正調査試料作製は,理化学・微生物学試料作製で試料が改善され,貝毒試料はホタテミンチ基材にオカダ酸添加濾紙ディスク法で作製が可能となった.食品に卵抽出液を添加したアレルギー物質試料は,再現性・回収率ともに良好であった.
結論
ポジティブリスト化に伴う調査試料作製法の妥当性,均一性・安定性が確認された.測定結果には,検査経験年数,溶媒抽出回数,最終検液・検量線濃度などGCへの負荷の程度等が影響を与えた.いずれの化学物質も細胞分化誘導を示さないが,分化誘導刺激後にTBBPAを添加すると,インスリン非存在下でもGPDH活性の上昇を認めた.ダイオキシン類検査の外部精度管理で,分析値の信頼性が保証された.DNA抽出法の違いによる定量値の評価は,特化した評価手法が必要性を示唆した.適正試料作製では,基材の選択,調製方法の妥当性,均一性・安定性が確認され適正試料としての可能を示唆した.

公開日・更新日

公開日
2006-10-10
更新日
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