魚介類に含まれる食中毒原因物質の分析法に関する研究

文献情報

文献番号
200501060A
報告書区分
総括
研究課題名
魚介類に含まれる食中毒原因物質の分析法に関する研究
課題番号
H17-食品-015
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
相良 剛史(四国大学短期大学部)
研究分担者(所属機関)
  • 西尾 幸郎(四国大学短期大学部)
  • 浅川 学(四国大学短期大学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
当該研究事業では魚介類の食品としての安全性を確保し国民の健康保護を図ることを目指し、シガトキシン(CTX)類およびパリトキシン(PTX)類を対象とした化学的手法による高感度で迅速、かつ簡便な「新規CTX類またはPTX類分析法」の開発を目的とした。さらに、国内外の食用魚介類につき、それら毒性の再評価および有毒種の毒の起源解明について検討を加えた。
研究方法
まず、国内外の魚類90検体につき、CTX類またはPTX類を対象とした毒性スクリーニングを行った。一方、西日本を中心にCTXを産生する底生性渦鞭毛藻Gambierdiscus属およびPTX様物質産生能を有するOstreopsis属の分布を調べ、その毒性を調べるとともに培養を試みた。次いで、有毒魚類および培養藻体から各有毒成分を精製し、市販のPTX標準品とともにHITACHI社製M-8000を用いたLC/MSおよびBruker社製Bio TOFによる至適分析条件を検索した。
結果と考察
供試魚類90検体中13検体からCTX類と示唆される粗毒が、20検体から水溶性の粗毒が得られ、後者のうち10検体の粗毒はPTX様物質であると示唆された。さらに、高知県と徳島県沿岸にGambierdiscus属とOstreopsis属が、千葉県、宮崎県および長崎県沿岸に後者が分布しており、いずれも有毒種と推察された。一方、既報に準拠したTOF-MS分析において精製した有毒画分からCTX関連成分と保持時間のほぼ一致するピークが認められた。また、既報に替わって溶離液に0.1%ギ酸- 100%アセトニトリル(リニアグラジエント)を用いたPTX標準品のM-8000 MSによる分析でm/z 1352([M+Na+H]2+)、TOF-MSによる同様の分析でm/z 2680-2682([M+H]+)、m/z 2703-2704([M+Na]+)およびm/z 1351.7([M+Na+H]2+)が検出された。
結論
本研究事業により、国内外の食用魚介類の毒性を再評価し、国内に分布する有毒なGambierdiscus属とOstreopsis属の詳細を明らかにするとともに精製したCTXまたはPTX関連成分を確保した。さらに、PTXのLC/MSによる至適分析条件をほぼ確立しつつあり、CTX分析法についても良好な成果が得られている。

公開日・更新日

公開日
2006-10-10
更新日
-