食肉における家畜・家禽のウイルス疾病に関する研究

文献情報

文献番号
200501057A
報告書区分
総括
研究課題名
食肉における家畜・家禽のウイルス疾病に関する研究
課題番号
H17-食品-010
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
棚林 清(国立感染症研究所 獣医科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡崎克則(北海道医療大学 薬学部)
  • 池田秀利(動物衛生研究所 感染病研究部)
  • 伊藤壽啓(鳥取大学 農学部)
  • 杉山 誠(岐阜大学 大学院連合獣医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食用に供される家畜・家禽などのウイルス性疾病について食肉・食鳥衛生検査所等でも実施可能な検査方法の開発や改良を実施し、食肉などの更なる安全性確保のために検査体制整備のための技術的基盤を提供することや実態調査を実施することを目的とした。
研究方法
ウイルス学的検査の一つであるPCR検査法における検体臓器の乳剤化条件や多種類の病原体ゲノムを一括して検出ための核酸増幅法の検討をした。家禽における高病原性鳥インフルエンザ検査について市販人用インフルエンザ診断キットの有用性を調べた。さらに迅速高感度診断法としてLAMP法の開発を実施した。食用として供される家畜や野生動物におけるA群ロタウイルス、日本脳炎ウイルス及びE型肝炎ウイルスについて血清疫学調査を実施した。
結果と考察
PCR検査法における検体臓器の乳剤化は臓器破砕用ビーズとしてメタルコーンが最も多種類の臓器に適用可能であった。DOP-PCRとPhi29 DNAポリメラーゼによる核酸増幅法は病原体核酸を偏り無く増幅できることが示唆された。市販の人用インフルエンザ診断キットは鳥インフルエンザウイルス検出に応用することは可能であるが検出感度が低くに、現状ではその有用性に問題があった。迅速高感度診断法であるLAMP法のための鳥インフルエンザウイルスに共通した有効なプライマーの候補を選択出来た。食用として供される家畜や野生動物にいてウシではトリやヒトロタウイルスおよびその他の動物由来ロタウイルスが感染していることが分かった。イノシシの25.2%が日本脳炎ウイルスに対する中和抗体を保有していた。エゾシカでE型肝炎ウイルス感染が疑われる個体が1例認められた。
結論
食用に供される家畜・家禽のウイルス疾病の検査に応用可能なPCR検査法の検体処理条件や多種類病原体ゲノム核酸の増幅法の検討結果をふまえ、検査所等でも実施可能な方法にして廃棄原因となっているウイルス疾病の実態調査に応用する。鳥インフルエンザ検査に人用インフルエンザ検査キットの応用はその感度等を考慮して使用することが必要である。またLAMP法による鳥インフルエンザウイルス検出法はさらに有用性を検討し食鳥検査所で実施できるようにする。家畜や野生動物でロタウイルス、日本脳炎ウイルス、E型肝炎ウイルスの抗体が検出されたが、ウイルスの排泄状況についても調査する。

公開日・更新日

公開日
2006-10-10
更新日
-