食品中に残留する農薬等の規格基準に係る分析法における不確実要素に関する調査研究

文献情報

文献番号
200501055A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中に残留する農薬等の規格基準に係る分析法における不確実要素に関する調査研究
課題番号
H17-食品-008
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
松岡 英明(東京農工大学大学院共生科学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 りえ子(国立医薬品食品衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安心・安全確保推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品検査における化学分析結果が、国際的に正当性を得るためには、その分析値の不確かさを提示することが重要である。しかし、食品中の残留農薬等の分析に適用できる推定法は定まっていなかったため、その確立が急務となっていた。本研究は、食品中の残留農薬等の分析の不確かさについて、Codex及び諸外国の取り組み状況等の国際的な情勢を調査し、これらを参考として、整合性・合理性のある食品中の残留農薬等の分析結果の不確かさの推定法を検討することを目的としている。
研究方法
本年度は3年計画の初年度であり、Codex残留農薬委員会及び分析及びサンプリング法委員会、Eurachem/CITAC、等で討議ないし作成された文献を調査するとともに、当該文献の邦訳を行った。同時に、微生物試験の不確かさに関する状況についての調査も実施した。また、残留農薬等分析法バリデーションの手法について、国際的なガイドライン及び国内の情報も収集するとともに、LC/MSにおけるマトリックスによる感度の変動が、分析値の不確かさに及ぼす影響を評価するためのデータ収集を行った。さらに、分析試料の前処理技術に関する調査研究およびデータ収集を行った。
結果と考察
文献調査・邦訳の結果、食品中の残留農薬等の分析における不確かさの推定には、トップダウン法の推奨が国際的動向であることを確認した。マトリクスの影響を除くために使用される標準添加法では、回帰直線の信頼区間を計算する方法を適用し、その不確かさと検出限界を求める方法を検討し、さらに、分析対象物の添加濃度、前処理の精度が大きく影響することを明らかにした。また、実際に標準添加法の適用が考えられる試料と農薬の組み合わせを選び、適切な分析条件を提示した。前処理技術としての超音波分離法に着目、脂肪成分や微生物の分離条件に関する基礎データを得た。
結論
トップダウン法による不確かさ推定では、バリデーションにより求めた室間精度あるいは室内精度、内部精度管理データから不確かさの計算法について指針を作成すれば、現在試験室が保有しているデータが使用でき、合理的な方向である。また、標準添加法で得られた分析値の不確かさを求める式により、LC/MSあるいはLC/MS/MSによる分析値に不確かさを付与することができるようになったことは、我が国における残留農薬分析の信頼性向上の資するものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2006-10-10
更新日
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